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        ┌┬───────────────────────────2020年5月

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        │└┼┐  資産家のための資産税ニュース 第101

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        └──┴┴────── 辻・本郷 税理士法人 https://www.ht-tax.or.jp/

         

        辻・本郷 税理士法人の資産税の専門家が

        相続・贈与税、資産にかかわる最新の情報をお届けする

        「資産家のための資産税ニュース」 毎月15日配信です。

        (※15日が休日の際は、前営業日に配信いたします)

         

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        ■□ 高齢者に耳よりな話 ■□

         

        今月は、少し前の裁決ですが、高齢を理由として重加算税賦課が取り消された未公開裁決事例(平成30年11月12日)を紹介します。(ニュースPRO【1767】2019.7.2参照)

         

        相続人は、年齢は非公表ですが高齢の配偶者(おそらく80歳前後と推測されます)、子供2人の合計3名です。税理士に申告を依頼し、当初の申告を通常通り済ませたのち、相続税の税務調査を受けました。

        その税務調査では配偶者名義の預貯金が名義預金との指摘をうけ、修正申告したところ、隠蔽があったとして重加算税も賦課されました。

        ところが配偶者は、事実を隠蔽した事実はなく、重加算税の取り消しを求めた、という事例です。結果的に配偶者の主張は通り、高齢であることなどを理由に重加算税賦課は取り消されました。

         

        ポイントは下記の通りです。

        【税務署の主張】

        ・税務署の作成する質問応答記録書に、名義預金は相続財産となる旨の説明を税理士から受けていたことを認め、署名捺印をしている。また、税理士が税務署に提出した 上申書にも、同様の記載があった。

        ・質問応答記録書の筆跡と、名義預金の口座開設申込書の筆跡が酷似しており、この 口座の存在を認識していると推認できる。

        ・調査担当者から通帳等の資料の提出を求められたが応じなかった。

         

        【配偶者の主張】

        ・配偶者は、被相続人と結婚して以来、長年にわたり農業に従事し、財産形成に寄与して きた。預貯金の一部も贈与を受け、自分のものと認識していた。

        ・税理士との面会ではもっぱら被相続人名義の財産のみの確認を求められ、

        配偶者名義の 預貯金が相続財産となることを認識していなかった。

        ・資料の提示を拒否した事実はない。

         

        【国税不服審判所の判断】

        ・配偶者が高齢で、被相続人と長年2人で農業に従事し、その所得がすべて被相続人に 帰属するという法的知識を有していたことは認めがたく、質問応答記録書の内容が不自然である。

        ・質問応答記録書に、名義預金が相続財産となることの説明を受けたと記載があるが、 具体的な説明内容や、具体的な根拠が記載されておらず、信用性を認めることができない。

        ・上申書は、税理士が配偶者に面談することなく、税理士が推測して作成していた。

        ・税務署が提示がなかったと主張する通帳等の資料については、実際に提出されている。

         

        以上のことから、高齢等により法的知識をもっているとは認められず、名義預金の指摘は受けましたが、配偶者は名義預金の存在を隠蔽している事実はないという主張が認められ、重加算税の賦課決定処分は取り消しとなりました。

         

        これからますます高齢化が進んでいきますので、参考にしたい裁決ですね。

         

        (担当:税理士 山口 拓也)

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