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                           2018/02/16発行

        世界の最新トレンドとビジネスチャンス

        第100回

         

        ロシアのプーチン大統領と中国の習近平国家主席の共通点:王朝の復活(中編)

         

        浜田和幸

         

        ウェブで読む:http://foomii.com/00096/2018021610000044070

        EPUBダウンロード:http://foomii.com/00096-44622.epub

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         海外からの批判に対するプーチンや習近平の反論手法には共通点がある。習近平の場合。「体つきがどんどん大きくなる中国を見ると、中には憂慮し始めた人々もいるし、いつも色眼鏡をかけて中国を見ている人々もいる。彼らは中国が発展し勃興すれば、必然的に一種の脅威になるとし、中国を恐ろしい悪魔のメフィストテレスのように描く。まるで、いつの日か中国が世界の魂を吸収してしまうとさえ考えているようだ。これは『アラビアン・ナイト』のようなもの。実に困ったものだ。ことほど左様に、偏見とは取り除くのが難しい」。

         

         とはいえ、そのような弱音を吐露した上で、歴史を味方につける発言を繰り出し、形勢逆転を目指すのが習近平流だ。曰く「人類の歴史を振り返ってみると、人々を隔てるのは山河でもなく、大海でもなく、人間同士の相互理解、相互認識を遮る見えない壁である。ライプニッツが言ったように、各自の才能を相互交流して初めて、共に知恵の明かりを灯すことができる」。

         

         これはドイツ訪問中の発言であり、巧みにドイツの哲学者を発言に織り込んでいる。しかも、「5000年の歴史を持つ中華文明」という表現を使い、あっという間に中国の歴史を1000年も長くしてしまう。更に、「異なる文化の相互交流を通じてこそ、異なる国々の人々は中国の孔子、ドイツのゲーテ、イギリスのシェークスピアを知ることができる。世界文化の一層の交流推進は人類の進歩と平和的発展の原動力になる」と続ける。かつて文化大革命の時代においては孔子の教えを徹底的に批判し、孔子廟を次々と破壊したものだが、そうした歴史はさらりと水に流して忘れてしまったような口ぶりだ。

         

         2010年、ロシアのクレムリンで開かれた「中国語年」行事の開幕式ではプーチン大統領らロシア側の要人を前に「文化は交流によって豊かになる。心は交流によって通じ合う。友情は交流によって深まる」と挨拶。読書好きで知られる習近平。ロシアの作家がことのほかお気に入りのようで、プーチンとの対話でも、ロシア作家に言及することがしばしばある。

         

         例えば、「プーシキン、ゴーゴリ、ツルゲーネフ、ドストエフスキー、トルストイ、チェーホフ、ショーロホフなど、今でも彼らの作品の素晴らしいストーリーをはっきりと記憶している。私の思想に活力を与え、インスピレーションの元となり、正直で剛直な精神の糧となっている」。

         

         習近平はよく言う。「私のようなポストにあれば、基本的に自分の時間はない。中国では一時『時間はどこに行ったの』という歌が流行った。私にとって問題は、自分個人の時間はどこに行ったのかだが、もちろん仕事に占められている。そんな中、唯一できることは読書である」。その唯一の自由になる時間をロシア作家の作品に当てているというのである。狙った相手を徹底的に持ち上げる。

        本心がどこにあるかは別にして、そうした相手に取り入るための「積極的なお世辞」は外交上の必要悪と言えるもの。

         もちろんプーチンも負けてはいない。「孔子や老子など中国古代の思想家はロシア人民にとってなじみのある存在である」と応じている。要は、中ロの2人の指導者は事あるごとに互いの距離感を縮める言葉を「交流」」しているのである。

         理由は明白であろう。対外的な批判を打ち返すには、単独で対応するよりも味方を募り、協調するにこしたことはないという作戦だ。言い換えれば、両氏は「窮鼠猫を噛む」ではないが、かつての敵対関係を水に流し、強力な反欧米のスクラムを形成しつつあるわけだ。その共同戦線を張るためには、お互いの歴史や文化を知らねばならない。

         

        習近平は2013年、モスクワ大学の講演で次のように述べている。

         「中ロ関係は世界で最も重要な2国関係であり、しかも最も良好な大国関係である。双方の20年以上の絶えまない努力によって

        両国は全面的な戦略協力パートナーシップを築いてきた。歴史が残した国境問題を徹底的に解決し、中ロ善隣友好協力条約に調印し、長期的な発展に強固な基礎を固めた。中ロ関係は終始、中国外交の優先方向である」。これ以上ないと思えるような中ロ関係礼賛の

        言葉のオンパレードだった。

         プーチン大統領も「ロシアは繁栄かつ安定した中国を必要としている。一方、中国も強大かつ成功したロシアを必要としている」と阿吽の呼吸で応えている。更に、プーチン曰く「中国の声は世界に響き渡っている。我々はそれを歓迎する。なぜなら、平等な国際社会を作るという視点を共有しているからだ」。

         しかも、注目すべきは、その協力のあり方をアピールする際に、共通の敵としての「日本」を持ち出すという「歴史カード」を切っていることである。何かと言えば、抗日戦争における旧ソ連のパイロット、クリシェンコ氏のことだ。日本では無名の存在だが、彼は中国軍兵士と共に戦い、戦死した軍人に他ならない。彼の残した言葉を今更の如く繰り返すのである。

         

         曰く「私はわが国の災禍を体験するかのように、中国の働く人々が今被っている災難を体験している」。習近平はこのロシア人パイロットのことを「中国人は英雄として忘れていない」と持ち上げる。その上で、「中国人の親子が半世紀にわたり彼の墓を守り続けている」と紹介しているのである。

         

         そうした延長線上にロシアと中国は日本に対して共同戦線を展開する傾向も見られる。2015年以降、地中海はもとより、ウラジオストック周辺の日本海においても、中国とロシアの共同軍事演習の機会が増えている。その背景には、この2人の指導者の強い軍事力信奉傾向と、アメリカ主導の戦後体制に挑戦し、新たな政治、経済の仕組みを形成しようとする強い意志が隠されている。北方領土の共同経済開発についても、ロシアは日本が積極的に対応しないなら、「中国企業を誘致する」との脅しを平気でかけてくる。

        以下、次号「第101回」に続く!                   

          

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        著者:浜田和幸

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