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         2019/03/01発行

        世界の最新トレンドとビジネスチャンス

        第148回

        ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 世界を変える「ブロックチェーン」の可能性(前編)

        浜田和幸

        ウェブで読む:https://foomii.com/00096/2019030110000052476

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         国際関係やビジネスのあり方を一変させる可能性を秘めた

        技術開発が急展開を見せている。その主役の名は「ブロックチェーン」である。日本では投機的な印象が強いビットコインと錯覚されることもあるが、ビットコインを可能にした基盤技術がブロックチェーンであり、ブロックチェーン技術そのものは中立的なものに他

        ならない。

         では、ブロックチェーンとはどんな技術なのか。一言で言えば、「皆で使える台帳」のこと。例えば、銀行の台帳は銀行と預金者しか使えない。しかし、ブロックチェーンはインターネットにつながっていれば「誰でも、どこからでも使える」のが強みである。

         

         皆のパソコンのパワーを少しずつ分け合って作られるのが特徴といえよう。「P2P」の代表選手と言っても過言ではない。結果的に、多く分けている人には多くの収入が入る仕掛けでもある。

        収入が得られるので、皆がパソコンのパワーを分けてくれる     インセンティブも働くわけだ。

         しかも、すべての取引記録を皆で持ち合い、支え合っているため、相互の監視が効くことになる。言うまでもなく、パワーもデータも皆で持ち合っているので、たとえ1個が壊れてもブロックチェーンは壊れることがない。「ブロック」とはそうした台帳の1ページにあたる。それらがつながって「チェーン」を形成するのである。

         ヨーロッパのエストニアがブロックチェーン技術の活用先進国として知られる。選挙の投票においても、医療機関を受診する際にも、ブロックチェーンを活かした個人認証カードが機能している。そのため、日本を始め世界各国から視察団が引きも切らない。しかし、ブロックチェーン技術を活用している国はエストニアに限らない。

         例えば、「第二のドバイ」と異名をとる中央アジアのアゼルバイジャンでもブロックチェーンの実用化が急ピッチで進んでいる。具体的には、不動産登記、電子公証人サービス、公共料金の徴収など、実に多方面に渡る分野で日常生活に利便性をもたらしている。

         

         こうした実用化の動きを見て、世界の多くの国々で新たなビジネス基盤造りの実証実験が進展するようになってきた。何と、原油や天然ガスの商品取引や芸術品のオークションにもブロックチェーンの利用が始まったのである。オークション大手のサザビーズでは贋作防止にブロックチェーン技術を最大限に活かしている。

         

         実は、ブロックチェーンの出発点は2009年に起こったリーマンショックである。金融業界への不信感が高まり、信頼できる「分散型の金融システム」への期待が高まったことが背景にある。即ち、「皆で支え、皆で使い、皆で見張る、そして改ざんができない台帳」を作ろうという動きが生まれたわけだ。まさに革命的な動きと言えるだろう。

         

         ここ数年、国家の規制にとらわれない企業連合の誕生に世界の耳目が集まるようになってきた。アマゾンにしてもマイクロソフトにしても国家の枠を超えた研究開発の動きを強めている。彼らは資金面でも人材面でも国家を超えた存在となる可能性を秘めているわけで、その動きを加速させつつあるのが「ブロックチェーン技術」である。となれば、ビジネスのあり方や国家のあり様も変わらざるを得ない。

         アメリカのクリントン元大統領といえば、ビジネス的嗅覚が人一倍鋭いことで知られる。言い換えれば、お金儲けには目が無い存在である。そのクリントン氏曰く「ブロックチェーンは90年代末のeコマースに匹敵する。いや、それ以上かも知れない。まさに “金の卵を産むガチョウ”だろう」。アメリカのみならず世界を回り、ブロックチェーン技術の伝道師のような旗振り役を務めているのがクリントン元大統領だ。

         

         とはいえ、この分野で最先端を走っているのは中国である。習近平国家主席曰く「ブロックチェーンと人工知能(AI)、そしてIOTが世界の経済構造を変えている。中国はこの分野で世界NO1を目指す」。(中国社会科学院の2017年次学界での発言)

        国家の肝いりということもあり、中国では国営のCCTVが

        2018年6月の番組で「ブロックチェーンはインターネットの

        10倍の価値を生むだろう」と報道。

        その報道の直前4月には100億元(1697億円)を投じたブロックチェーン工業というベンチャー企業も旗揚げした。

         それ以外にも、中国政府の動きは素早く、アリババ、テンセントといったIT企業と組んで、ブロックチェーンと分散型プラットフォームの開発を促進する決定を下し、国家予算の投入にも積極的な姿勢を見せている。この技術の応用分野は金融から医療、教育まで幅が広い。アリババとテンセントが出資した保険会社「衆案保険」は既に100以上の病院と提携し、診断記録、金融、支払い業務をブロックチェーンで行うサービスを始めている。

         日本ではあまり知られていないが、アリババはブロックチェーン技術に関する特許では世界1の座を占めている。何と、IBMやマスターカードより多い技術特許を獲得済みだ。2017年の国際特許406件(2016年は134件)の内、中国企業は56%を押さえているのである。

         「グレイター・ベイ・エリア」と呼ばれる香港、マカオ、

        深圳?、広州地域では中国の中央銀行にあたる人民銀行が進める「ベイエリア貿易金融ブロックチェーン・プラットフォーム」の拠点化が着々と進んでいる。先見性とスピードの速さでは中国が官民一体の強みを発揮しているといえよう。日本の存在感が薄いのが気にかかる。

         

        以下、次号「第149回」に続く!

         

          

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        著者:浜田和幸

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