Vol.156 2019/09/06
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浜田かずゆき の
『ぶっちゃけ話はここだけで』
香港での大規模デモが収まらない本当の理由
ぶっちゃけ、「100万ドルの夜景」を誇った香港の終わりが見えてきた。
多い時には200万人もが街頭に繰り出すデモのせいで、都市機能はマヒ。
日本でも、世界の他の都市でも考えられない事態である。
いったいなぜ、これほど大規模なデモが3か月も続くことになったのだろうか。
確かに引き金は「逃亡犯引き渡し」条例だった。
香港で捕まった犯罪者を中国本土に戻し、裁判を受けさせるという、どこの国にもある話である。
しかし、そうした法律が無実の香港人にも適用され、中国政府に引き渡されるのではないか、と懸念する人々がデモを呼び掛けたところ、想像を超える参加者が繰り出した。
香港の林鄭行政長官は9月4日、正式にこの条例を撤回すると発表したが、これで事態が鎮静化する保証はない。
なぜなら、ここまでデモが長引いた背景には中国本土への不信感もあるには違いないが、より大きな要因を香港社会の極端な不平等さに見出すことができるからだ。
裕福な香港人もいることは間違いないが、
香港の貧困率は20%を超えている。
子供の貧困率に至っては23%強である。
過去10年間、平均賃金は横ばいだが、家賃は3倍に膨れ上がった。
若年失業率は8%を超え、彼らは就職も、住宅購入も、結婚も、子育てもままならない。
そんな不満や不平を抱く若者が巷にあふれていた。
一方、隣接する深センはアジアのシリコンバレーと呼ばれるほどの急成長ぶりを誇っている。
1979年には人口わずか3万だった寒村が今や2000万人の人口を擁する。
これは香港の3倍以上だ。
今や、香港の若者にとっては深センでIT企業に就職するのが「夢」というまでに格差が広がってしまった。
社会の所得配分の不均衡を示す「ジニ係数」で比較しても、
香港は中国本土よりはるかに不平等社会になっている。
今回の大規模デモの底流には、そうした鬱積した不満が見て取れる。
1997年の時点では香港のGDPは中国のほぼ30%であったが、今や3%にまで下落し、その規模は年々縮小している。
「自由や民主化を求めるデモ」というメディアの形容は美しいが、実態は「絶望の街」に転落した香港への怒りが充満しているのである。
ぶっちゃけ、その責任は香港のタックスヘイブンを利用し、中国への投資というマネーゲームの拠点として香港を利用してきた欧米の金融機関にあるといっても過言ではない。
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