Vol.156 2019/09/06
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浜田かずゆき の
『ぶっちゃけ話はここだけで』
トランプ大統領からまたもやアメリカ製ミサイルを
押し付けられる安倍首相
ぶっちゃけ、トランプ大統領のわがまま政策の押し付けには
安倍首相も頭を抱えている。
「アメリカ産のトウモロコシを大量に買え」という話ではない。
先般初来日したエスパー新国防長官がもたらした「中距離ミサイル配備」という無理難題のことだ。
目下のアメリカにとって最大の脅威は経済、技術、軍事面で急速に力を増している中国である。
そのため、米中間の「関税戦争」はとどまる兆しが見えない。
「今後は軍事的な対立もありうる」というのがアメリカの安全保障の専門家の見立てだ。
そこでトランプ政権が打ち出したのが「中距離ミサイルのアジア配備計画」である。
何しろエスパー新国防長官はアメリカ最大のミサイル製造メーカー「レイセオン」で敏腕ロビイストとして活躍してきた人物。
いわば、トランプ氏が不動産のディール・メーカーで名を挙げたとすれば、エスパー氏はミサイル売り込みのプロとして名声を確立したわけで、「似た者同士」といえるだろう。
エスパー長官は日本を皮切りに、韓国やオーストラリアを回り、中国の脅威を訴えながら、アメリカ製の地上配備型中距離ミサイルの受け入れを打診。
トランプ政権には「アジアの同盟国を総動員して中国を軍事的に封じ込めることができれば、貿易・通商分野でも対中交渉が有利に展開できる」との読みがある。
しかし、日本以外のアジア諸国の反応は厳しいものだった。
オーストラリアでは首相自らが「アメリカの要求は受け入れられない」と明言。
そもそも、オーストラリア北部から中国までは6000キロ以上の距離があり、対中抑止にはならない。
韓国政府に至っては「今や日本との経済関係が最悪になっており、もしアメリカのミサイルを新たに配備すれば、中国の猛反発を招き、韓国経済は壊滅状態になる」との理由で、アメリカの要求を拒否する姿勢を崩さない。
台湾やフィリピンという選択肢もないわけではないが、いずれも政治・外交的課題が大き過ぎる。
結局、アメリカの無理難題を聞いてくれそうなのは日本の安倍首相というわけだ。
ただでさえ、PAC3やイージス・アショアなど高額なミサイル防衛システムを買わされてきた日本だが、どこまで抑止力や迎撃力があるのかはあいまいなまま。
アメリカの提示したデータを鵜呑みにし、自ら命中精度を確認することもなく購入、配備を続けてきたのが日本であり、このままでは同じ轍を踏むことになりそうだ。
そもそも、中国、ロシア、北朝鮮の中距離ミサイルは全て移動式であるにもかかわらず、今回、アメリカが売り込んできたのは固定式である。
ぶっちゃけ、これでは抑止力にならない。
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