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                                     第37回

         

          迫りくる水危機と新たなビジネスチャンス(前編)

         

                                      浜田和幸

        ──────────────────────────────

        アメリカ国務省の委託で国防情報局(DIA)が中心となり、水問題

        に関する包括的な調査レポートがまとめられた。

        タイトルは『水に関する国際的な安全保障』。

        それによれば、「今後10年の間に、アメリカにとって重要な国々

        で相次いで水危機が訪れる」とのこと。

        具体的には「水不足」「水質の悪化」そして「洪水」であり

        「2040年までには深刻な水危機が世界を飲み込む」といった

        衝撃的な分析が物議をかもしている。

         

        この分析には国防総省やCIAなどの専門家も参加しており、「水の惑星」と言われながら、水不足に翻弄される地球の未来に安全保障

        や国際関係の視点からも警告を鳴らしているわけだ。

        世界的に水資源が枯渇するのは避けられないとの見通しから、投機

        マネーが積極的に動き始めるようになった。

        例えば、水関連企業を組み込んだクレモアS&Pグローバル・

        ウォーター・インデックスに代表される金融投資商品や個別の

        大手水企業を組み合わせた金融商品が次々と売り出されている。

         

        水の有効活用や環境に配慮した水の利用方法に関しても、企業が

        社会的責任として対応すべきとの見方も出てきた。

        ノルウェー政府が運用する世界最大規模の年金基金においても資金

        運用の投資先を選定する際に、こうした水問題や環境対策にどの程度配慮しているかを判断材料にするとの決断が下されているほどだ。

         

         

        例えば、ノルウェー年金基金では投資先の1100の企業に関して、水問題対策という観点から将来の経営リスクを分析し、問題の発生を未然に防ぐ作業に着手している。

        4000億ドルを超える資産を運用しているノルウェー年金ファンドがこうした動きを始めるようになったことは世界の他の年金基金や投資ファンドにとっても大きな試金石となっているようだ。

         

        こうした新しい動きは地球規模での水不足に対応する水の利用に

        関する規制強化、そして必然的に水の浄化に伴うコストの上昇を

        もたらしつつある。

        そこで、このような事態にどの程度企業が対応できる能力があるの

        か見極める必要が生じてきたこともうなずけよう。

        世界の人口は増え続けており、早晩100億人に達する。

        エネルギー需要や製造業の拡大も留まるところが見られない。

         

        となれば、水に対する需要が減少することなどあり得ない話。

        と同時に地球環境の変化や公害、汚染の深刻化により、水そのもの

        の供給や安全性が問われるようになってきた。

        投機マネーは稀少資源となりつつある水に引き寄せられているので

        ある。

         

        パシフィック研究所がまとめた報告書によれば、「世界の半導体メ

        ーカー大手14の工場のうち11はアジア太平洋地域に

        密集している。

        問題はこれらの地域が水の品質に関して言えば、厳しい事態に直面

        していることである。

        半導体大手のインテルやテキサス・インスツルメンツなどは超純水と呼ばれる不純物のない高品質の水を必要としているが、その手当

        が徐々に難しくなってきている。

        製造に欠かせない水が確保できないために、これらアジア太平洋地域では工場がしばしば操業中止や停止に追い込まれる事態が発生し

        始めているようだ。

        衣料品メーカーの間でも水問題対策が真剣に検討されるようになってきた。

        GAPではジーンズ製造に際してどの程度の水ですむかという節水ガイドラインを新たに設けることで企業の水問題に対する意識を消費者に積極的に訴えようとし始めている。

        石油がなくても人々の生活や経済活動は続けることができる。

        しかし水がなければ、いかなる活動も維持できなくなる。製造業から金融業に至るまで、水を大切にする企業の姿勢が問われる時代になったと言えるだろう。

        先に述べたノルウェー年金基金では水問題に大きな影響を受けると思われる7つの産業を指摘している。

        これらの産業は今後高いリスクを背負うことになるに違いない。

        どのような産業かと言えば、第1に食品、第2に農業、第3に製紙業、第4が製薬業界、第5が鉱業、第6が機械製造業、第7が発電である。

        これら7つの産業界は今後世界的な水問題に対する消費者や環境保護団体の意識の高まりに的確に対応しなければ、生き残っていけなくなると思われる。

         

        そのような観点からノルウェーの年金基金のファンドマーネジャーたちは投資先の企業の長期戦略を水問題という視点で評価し始めたわけである。

        同じくノルウェーの保険大手ストアーブランドでは1995年という早い段階で環境技術に特化した投資ファンドを立ち上げた。

        その後、投資先を選定するにあたっては水問題や水の管理に十分な配慮を行っていない企業は除外するとの厳しい条件を課すようになっている。先見の明ありと言えよう。

         

         

         

        また、アメリカ最大の年金基金として世界にその名を知られているカルパース(カリフォルニア退職者年金組合)においても、投資先

        の選定に当たっては水に対する姿勢や環境エネルギー問題に

        どのような配慮をしているかを最重要判断材料にしているという。

        こうした大手の年金基金の動きに影響を受け、世界各国の年金基金や投資ファンドも水問題を無視できない時代になったと実感し始め

        ているわけだ。

         

        オランダの年金基金APGにおいても、総合的な投資分析の過程に

        おいて水関連のリスクを評価する手法を取り入れ始めた。

        特に消費者の意識の変化に対応し、企業がどのような水問題に

        関する広報活動や長期的な環境対策に力を入れているかを判定する

        ことが欠かせないと言い始めている。

         

        以下、次号「第38回」)に続く

         

         

         

         

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        著者:浜田和幸

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