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        第39回

         

        ヒラリー・クリントン:仮面の下に隠した野心の原動力は

        戦争とマネー(前編)

         

        浜田和幸

         

        ウェブで読む:http://foomii.com/00096/2016102110000035617

        EPUBダウンロード:http://foomii.com/00096-36224.epub

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        11月8日の投票日まで1か月を切った2016年の米大統領選挙。有力候補者が互いをののしり合い、国民の大半から支持を得られない、という前代未聞の選挙戦となっている。そんな中、アイルランドのブックメーカー(賭け業者)であるパディーパワーは早々とヒラリー・クリントン候補の勝利を見越し、彼女の当選に賭けた利用者に100万ドル以上の賞金の支払いを始めた。同社の予測では、舌禍のせいで、ドナルド・トランプ候補の当選確率は一時の40%から18%にまで低下。

         

         最終コーナーでどのような逆転レースが展開されるものか、予断を許さないが、現状では、アメリカ史上初の女性大統領の誕生が

        秒読み段階に入ったといえよう。

        最後となる3回目のTV討論会でも、非難合戦が続き

        ヒラリー優位は変わっていない。そんな彼女を理解する上での

        キーワードは「戦争、マネー、中国」である。

         その背景には、アメリカの対中評価に関する変化が横たわっている。2013年、ペンタゴンが実施した「経済戦争シミュレーション」で、中国の巧みな金融外交が注目を集めた。アメリカ、ヨーロッパ、ロシア、アジア、中国という5つのチームが軍事、金融、外交力を競い合う「ウォーゲーム」であったが、最終的に勝利したのは中国チームであったからだ。

         

         史上最大のドル保有国となった中国はアメリカとの交渉において、一定水準のドルを保有しながらも、臨機応変に国際市場でドルを放出する戦略で圧倒的に優位な立場を確保したのである。

        この意外な結果には、軍事関係者は大きな衝撃を受けたようだ。

        ヒラリーも中国の潜在パワーを無視できないと感じたに違いない。

         

         しかも、アメリカにとっては中国を味方につけておかなければ国内の景気回復や経済の安定がおぼつかないという別の深刻な問題が隠されている。アメリカの財政赤字は年々雪だるまの如く膨らむ一方であるからだ。深刻化する経済危機を乗り越えるためにも、オバマ政権は緊急経済対策を次々と打ち出してきたが、その財源は新たな国債発行で賄うしかない。その国債を最も大量に引き受けているのが中国なのである。万が一、中国がアメリカのドルや国債を手放すということにでもなれば、それはアメリカの突然死を意味する。

         

         ヒラリーが国務長官時代に北京を訪問した際にも、アメリカの国債を継続して買い支えてくれるように懇願したのは有名な話。今や超大国アメリカの生殺与奪権を中国は握っているに等しい。一方、中国にとっても国内の経済発展を持続させるためにはアメリカからの資金や技術の提供が欠かせない。ある意味で、両国は「持ちつ持たれつ」の関係になっているわけだ。

         

         ヒラリー・クリントンは国務長官時代、人一倍エネルギッシュな活動を外交面で展開して得点を稼いだ。オバマ大統領の中国訪問の蔭でクリントン国務長官は2010年5月に開幕の中国の最大の関心事項であった上海万博を成功させるため、アメリカ政府館が必要とする多額の資金を自らが音頭をとり集めて回った。その結果、メンツを重んじる中国が史上最大の万国博覧会を成功裏に開催できることになったのである。

        当時のクリントン国務長官が株を上げたことは言うまでもない。

         

         とはいえ、最近の世界情勢を見ると、アメリカにとっても日本にとっても、「中国、ロシア、IS(イスラム国)、北朝鮮」が4大脅威としてクローズアップされる傾向にある。中国による南シナ海での岩礁の埋め立てや軍事基地化はこうした懸念に拍車をかけている。そのような状況下、アメリカがどのような外交、安全保障政策をこれから展開するのか。日本にとっても重大事である。

         

         2015年の夏、日本で大きな話題となった安保法制の議論も、中国の脅威を巡る論争の結果、アメリカとの共同作戦が欠かせないとの結論に至ったことは記憶に新しい。そして、その結果、日本はアメリカから大量かつ高額の兵器の購入を決めた。ところが、日本以上に中国との関係強化を目指しているのが、アメリカに他ならないのである。

         中国とアメリカは互いに最大の通商貿易相手国となって久しい。つまり、アメリカは中国を立てながら、中国の脅威を利用して日本に軍事技術を売り込んでいるというわけなのである。

         

         マイクロソフトやゼネラル・エレクトリックなどアメリカ企業は中国沿岸部において「スマートシティ構想」を強力に推し進めている。北京郊外の新首都建設計画においてもアメリカ企業の参入が際立つ。加えて、教育面の交流においては、中国からアメリカへの国費留学生数は1万人を超える勢いで、私費留学生に至っては30万人を突破。学術面において米中の交流は拡大の一途を遂げているわけだ。

         しかし、アメリカと中国が急接近を遂げ、世界の諸問題に対して、2国間だけで大筋を決めてしまうというような流れができてしまうことは日本のみならず、世界にとって決して好ましいとは言えないだろう。日本とすれば、他のアジア諸国やヨーロッパとも連携を深め、米中2国間の世界制覇に向けた動きにはくさびを打ち込む必要がある。

         

         思えば、2012年のアメリカの大統領選挙中においてはオバマ候補もクリントン候補も中国に対しては厳しい発言を繰り返していた。労働組合を支持母体に持つ民主党とすれば、中国からの激安商品がアメリカ市場を席巻することによりアメリカの労働者が働く場を失っているとの批判に表向き耳を傾けざるを得なかったのである。

         

         そのため「大統領になった暁には、中国に対し人民元の切り上げや知的所有権の侵害、そして環境対策を強硬に求めていく」という公約を打ち出していた。しかし、その後、オバマ大統領もクリントン国務長官も選挙期間中の公約など、どこかに忘れ去ってしまったかのような中国寄りの姿勢に終始するように。

                        

         

         

         

         

         

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        著者:浜田和幸

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