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        第40回

         

        ヒラリー・クリントン:仮面の下に隠した野心の原動力は

        戦争とマネー(後編)

         

        浜田和幸

         

        ウェブで読む:http://foomii.com/00096/2016102810000035618

        EPUBダウンロード:http://foomii.com/00096-36225.epub

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        その意味でアメリカにとって真に頼りになるパートナーは日本であることを改めて強く認識させる努力が今ほど必要とされている時はない。なぜなら、近年、アジア太平洋諸国では急激な経済成長が実現し、アジア各国間の域内連携も強まる一方となっているからだ。この地域では、日本を含め関係国の間で160を超える経済協定が網の目のように結ばれているが、実はアメリカはそのほとんどから排除されている。イラクやアフガニスタンでの長引く戦争やテロに足下をすくわれ、アメリカはかつてのようにアジア地域におけるプレゼンスを維持できなくなって久しい。

         

         要は、「最も経済成長が期待できるアジア太平洋地域から閉め出された」との認識がアメリカの中枢に急速に芽生えてきたのである。アメリカの議会調査局では、相次いでTPPの必要性に関する報告書がまとめられた。こうした報告書からは、TPPに寄せるアメリカの過剰なまでの期待感が読み取れる。曰く「アジアとの経済ならびに戦略的な関係強化こそが、アメリカにとって21世紀に生き残る最大の道筋になる」。

         

         いずれにせよ、アジア太平洋地域はすでにアメリカの貿易、安全保障にとって死活的重要性をもつに至っている。

        米通商代表部(USTR)によれば、アジア太平洋地域は全世界の国内総生産(GDP)の60パーセントを占めている。また、国際貿易の50%近くがこの地域で営まれている。

         さらに言えば、1990年以降、アジア太平洋地域においては、域内の貿易額は3倍に拡大し、世界各国からこの地域に投資された資金総額は4倍に膨れ上がっている。アメリカとしても、このアジア太平洋地域との経済連携を抜きにしては自国の経済発展はありえないとの認識に至ったのも当然であろう。

         

         一方、この地域では中国の存在感が日増しに大きくなっている。アメリカは軍事戦略的な観点からも中国の不穏な動きに神経を尖らせることも多くなってきた。そのため、軍事、経済の両面から、中国の台頭を可能な限り封じ込める必要性を感じていることは論を待たないはずである。しかも、冒頭に紹介したように、ペンタゴンのシミュレーション一つをとってもアメリカを凌駕するほどの中国の潜在力が話題になるほどだ。

         中国の巨大な市場に食い込む努力も重ねているようだが、傍若無人な振る舞いの多い中国の言動にオバマ政権も共和党も危機感を募らせてきているのも事実だ。中国がTPPに対して慎重かつ懐疑的な姿勢を示していることを「もっけの幸い」とし、アメリカは中国抜きのTPPを強力に推し進めようとしているのである。

         

         ここで欠かせないのが日本の役割であろう。ところが、このところヒラリーもトランプも「TPPには反対」と言い出した。国内の労働組合の意向を慮ってのこと。国務長官時代にはTPP推進の旗振り役を務めたヒラリーの変わり身の早さには恐れ入る。

         

         とはいえ、どのような形にせよ、ヒラリーであろうとトランプであろうと、アメリカ式のビジネスモデルを世界で最も急成長とされているアジア太平洋地域に広め、最終的には世界をアメリカ式に標準化させることに異論があろうはずはない。

        換骨奪胎したアメリカ主導の自由貿易構想を進めることは規定路線である。

         加えて、アメリカの進める「緑のニューディール政策」にとって欠かせない環境技術に関しては水浄化や太陽光発電など日本が世界をリードしているものが圧倒的に多い。それゆえ、こうした技術力を軸に日米連携プレーを深め、中国の環境問題を解決に導く方向を目指すべきなのである。

         

         戦後70年の節目として出された「安倍談話」も大きな注目を集めたが、中国による海洋開発に対して周辺国が強い懸念を表明するケースが多くなり、日中関係も相変わらずきな臭い問題を抱えたままだ。こうした「古くて新しい課題」をどのように解決すべきであろうか。資源の有効開発を軸にアメリカを巻き込むという新たなアプローチが欠かせないのではないか。

         

         他方、日米関係にも暗雲が見え隠れするようになった。NSAによる安倍首相の自宅を含む政府高官をターゲットにした盗聴疑惑やアメリカ主導のTPP交渉の足踏み状態を含め、日米同盟の真価が問われるようになってきたからだ。アメリカではTPPに中国の台頭を封じ込める安全保障の意味を持たせようとしている。言うまでもなく、中国の軍事大国化への懸念は日米共通の課題。しかしながら、今、ここで中国脅威論を振りかざすのは短絡的過ぎるのではなかろうか。

         

         うがった見方をすれば、アメリカは財政危機という深刻な国家的危機に直面しており、国防予算の削減が緊急性を帯びているため、中国脅威論を煽ることで、高額だが信頼性の疑わしい軍事関係技術を日本やベトナムに売込み攻勢をかけているようにも思われるのである。実戦での命中率が2%しかないパトリオット・ミサイルや操縦の難しさで多くの事故も報告されるステルス戦闘機F35など、その典型といえよう。

         アメリカは長年にわたって「世界の警察官」を自認してきたが、解決策の見えない国内問題から目を背けさせるためにも「アジアへのリバランス」という政策を掲げ、アジア太平洋地域を重視する姿勢を内外に示しているに過ぎないのではないか。

         

         しかもアメリカは「世界の警察官」としての影響力を残したいため、お人好しの日本に財政的負担を更に被せようとする本音が見え隠れするのである。この点はトランプ候補が訴えた「安保タダ乗り論」からも読み取れる。

         

         しかし、実はヒラリー候補も同様の考えの持ち主であることを忘れてはならない。何しろ、ヒラリーへの政治献金リストの上位には常にロッキード・マーチン、ノースロップ・グラマン、レイシオン、ボーイングなど、軍産複合体企業が名前を連ねているのだから。

         

         どちらの候補が次期大統領の座についても、日米関係が厳しい局面に突入することを覚悟しておく必要がある。

         

                        

         

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        著者:浜田和幸

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