48回
アメリカ政府が進める人体改造計画と使命を終えたオリンピック(後編)
浜田和幸
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2017/01/06発行
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ところで、2020年の東京オリンピックを巡ってはさまざまな問題が噴出している。「スポーツと文化の祭典」と言われているが、「利権争いの温床」と化している面も否定できない。
見方によっては、各国が人体改造計画の成果を競い合う場となっているともいえそうだ。
なぜなら人間の運動能力を極限まで高めるために、多くの国々があらゆる技術を導入し、国家の威信をかけてメダル獲得に血眼になってきているからだ。
その行き過ぎの一端がドーピング問題であろう。
わが国では、ドーピングの予防と撲滅を目指す反ドーピング条約を率先して締結している。
ところが、中国やロシアなどでは、そうした動きとは逆行する形で、競技成績を上げるためであれば、ドーピング検査をすり抜けることのできる興奮剤など、新種の医薬品の開発と導入にしのぎを削っているようだ。
ごく最近もロシアのアスリート1000人以上が2011年から
15年の間に開催されたオリンピックやパラリンピックで違法な薬物を使用していたことが世界反ドーピング機関(WADA)によって明らかにされた。スポーツマンシップはどこへ行ったのか。
いずれにせよ、超大国アメリカとすれば、科学技術力を結集し、金メダル獲得数で中国やロシアとの熾烈な戦いに勝利を目指さなければならない、との思いに駆られるのも理解できる。
ということでDARPAには、戦場の兵士の能力向上に生かされる技術をオリンピックの出場選手にも導入しようとの考えもあるようだ。
ところで、国連の気候変動がもたらす影響予測の報告書を見ても、「2050年には人類が危機的な状況に直面する」との見通しが明らかにされている。
こうした異常な環境の変化を生き抜くためには、人類がロボットの力を借りることが欠かせないとも言われているほどだ。
人間とマシーンとのハイブリッドにより、激変する地球環境を生き延びることが可能になるとの発想である。
こうした予測が公表されるのは、環境問題を真剣に捉えようとしない各国政府や人類全体に対する警鐘の意味が込められているに違いない。とはいえ、今後15年から25年先には、国連が指摘するように、人類史上、最も危険な環境破壊の瞬間が訪れるという可能性を否定することはできない。
そのような人類滅亡の危機を乗り越えるためには、人間のサイボーグ化という対策もあれば、人工知能をフルに生かしたロボットが人類に代わり、厳しい地球環境の下でも生き残るという時代を受け入れざるを得ないのかも知れない。
いずれにせよ、こうした状況を見越し、DARPAでは新たな抗体の研究開発にも着手している。この研究は人体のサイボーグ化と共通する部分もあるが、様々なウィルスや生物化学兵器に対して、生き残りを可能とするような抗体を自動的に生み出す人体に改良しようとするものである。
近年、西アフリカを発症地とするエボラ出血熱が世界的な脅威となったことを踏まえ、DARPAでは感染者から採取した血液を分析し、速やかに抗体を製造するメカニズムを確立しようとしている。
また、別の視点になるが、アメリカのCIAでは2024年に人類や地球環境を大きく揺るがすような金融パニックが発生する可能性を指摘している。
ペンタゴンとは一線を画す形で、CIAも地球が直面する未曾有の挑戦にどう備えるか警鐘を鳴らしていると言えるだろう。
人間のもつ可能性を最大限に競い合う場であるはずのオリンピックそのスポーツと文化の祭典での裏側では、代理戦争とも揶揄されるような人体改造計画競争が静かに継続されているのである。
スポーツマンシップの欠如というより、人間の倫理観そのものが
失われてしまったのであろうか。
アメリカ政府が進める人体改造計画は薬物の力を借りることなく、人間の機能それ自体をロボット化するわけで、人間の限界を超えることを目指してようだ。
その意味ではスポーツ競技としてのオリンピックは使命を終えたといえるだろう。
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