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        第72回

        中国返還20年を迎えた香港の行方(後編)

        浜田和幸

        ウェブで読む:http://foomii.com/00096/2017071410000039833

        EPUBダウンロード:http://foomii.com/00096-40428.epub

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        習近平主席が「中国の夢」と同様に提唱している「一帯一路」と銘打ったアジアとヨーロッパを結ぶ「現代版シルクロード」経済圏構想についても、香港は当初から積極的な対応を見せている。

        真っ先に参加表明を行うと同時に、「一帯一路」計画の資金面を賄う「アジアインフラ投資銀行」にも出資を決めた。

        「一帯一路」計画に関して、ヨーロッパではドイツが最も熱心に動いている。ユーラシア大陸をカバーするインフラ整備事業にビジネスチャンスを見出そうと、ドイツ企業は「現代版シルクロード計画」に大きな期待を寄せている。7月7日、8日にドイツで開催されるG20首脳会議でもメルケル首相は習近平主席との間で多くのプロジェクトに調印する段取りだ。

        そこでアジア方面に関しては香港の出番というわけだ。

        香港の戦略は「一帯一路」のインフラ整備をタイやベトナムと組んで展開しようとするもの。

        香港貿易発展評議会(HKTDC)が中心となり、香港の資金力を活かして「現代版シルクロード」の沿線国とコンソーシアムを形成する考えである。

         

        ターゲットになっているのは8ヵ国。具体的には、タイ、ベトナムに加えて、インドネシア、サウジアラビア、UAE、ポーランド、ハンガリー、チェコといった国々となっている。

        陸路に限らず「海のシルクロード」を想定した布陣に他ならない。 中国の「一帯一路」経済圏構想は香港の成長戦略にとって欠かせない世紀の大プロジェクトとなりつつある。香港の公共交通を司るMTR公社は中国の鉄道公社と提携し、シンガポールとクアラルンプールを結ぶ高速鉄道の建設事業に参入を図ろうとしている。中国の高速鉄道は日本の新幹線技術から学び、今では本家を抜く勢いで進化を遂げつつある。インドネシアでは中頓挫しているようだが、香港との連合体を通じて、更なる販路拡大を目指しており、国家の全面的バックアップを受け、日本のはるか先を目指していることは間違いないだろう。

         

         香港は今では中国のインフラ輸出プロジェクトに不可欠ともいえる役割を演じている。日本では関心が薄いようだが、世界最長の陸橋は中国と香港の協調融資で建設が進んでいる。香港、珠海、マカオをつなぐ全長55キロの陸橋は2017年末には完成予定だ。総額106億ドルの建設費は北京とマカオ、そして香港の銀行が調達した。

        要は、中国にとって、香港は世界インフラ整備のソフトパワーの源泉と位置付けられているのだ。中国とアジアをつなぐ連結金具の役目を香港が果たしていると言っても過言ではない。

        そのため、習近平主席といえども、香港の活力や人材のネットワークを潰すような押さえつけはできないはず。

        一方で、「中国への挑戦を許さない」と豪語しながら

        他方では香港との連携を模索するのが習近平主席である。

          

        「一国二制度」は香港基本法で定められた50年の契約であるが、中国政府は既に意味を失ったとの認識を明らかにしている。

        表向きの期限は2047年のため、まだ30年の拘束期間は残っているにもかかわらずだ。

        その意味は、100年単位で未来を見据える中国的な国家戦略が影響している。

        当然のことながら、この間、中国の変化も大きいことが想定されよう。場合によっては、「中国の香港化」という事態もありうるかも知れない。

        なぜなら中国国内の経済発展は否応なしに中国国民の意識改革をもたらし、その自由化路線は刻一刻と加速しているからだ。

        アリババや百度など中国の新興企業の躍進ぶりを見るにつけ

        共産党一党独裁体制を維持する必要は年々薄まっているようにも思える。

        ましてや、これからの中国の発展に欠かせない「一帯一路」経済圏という「中国の夢」を実現する上で、香港の経験や人材は必要条件である。

        香港返還20周年は中国本土が自己変革を余儀なくされる時代の幕開けを伝えていると言えるだろう。

         

        次号「第73回」(721日発行)もどうぞお楽しみに!

         

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        著者:浜田和幸

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