Vol.096 2018/04/13
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浜田かずゆき の
『ぶっちゃけ話はここだけで』
【今週の目次】
1.“ほほえみ外交”ではロシアも負けていない
2.米朝首脳会談に懐疑的なアメリカの元国務副長官
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1.“ほほえみ外交”ではロシアも負けていない
ぶっちゃけ、マッチョぶりが半端なく、強面のプーチン大統領である。
去る3月の大統領選挙では史上最高の75%もの得票率で再選を果たした。
笑いが止まらないはずだったが、イギリスで起きたロシアの元スパイ暗殺未遂事件の影響で、欧米各国から相次いで「ロシア人外交官の追放」措置を繰り出され、今や欧米との対立姿勢を打ち出さざるを得なくなった模様だ。
既に200人近くのロシア人外交官が任地から追放されている。
対抗措置として、ロシア外務省もこうした欧米諸国の駐ロシア外交官を国外追放。
この4月頭、東京で開かれたロシアの新駐日大使ガルージン氏の
歓迎会の場でも、本人曰く「イギリスでの事件はでっち上げだ。
ロシアは自国の元スパイを外国で暗殺するようなことはない。
そんなことをして何が得られるというのだ。これはロシアを孤立させようとする陰謀としか思えない」。
知日派として知られるガルージン大使は思わぬタイミングでプーチン大統領の弁護をせねばならず、本国からの指示を受けていたためか、歓迎会の会場には何と45分も遅れて到着する有様。
日ロ関係の前途多難ぶりを暗示させるような歓迎会となった。
しかし、ロシアのプーチン大統領は柔道黒帯で、負けず嫌い。
欧米諸国がそうくるなら、こちらにも考えがある、と反転攻勢に打って出た。
何かといえば、トルコのアンカラでロシア、イラン、トルコ3か国の首脳会議を開催し、ロシア主導の「ユーラシア同盟」の強化に乗り出したのである。
その場で、プーチン大統領はトルコ初の原子力発電所を200億ドルの資金を投じて建設することを発表。
お返しに、トルコはロシア製の地対空ミサイルS-400の早期導入を決定。
また、モスクワにおいてユーラシア同盟の大会を開き、中国、ベトナム、インド、インドネシア、イスラエル、セルビア、ベラルーシ、カザフスタン、キルギスタン、南米諸国などから閣僚級の指導者を集め、大々的な「シリア再建計画」を打ち上げた。
この発想のだいご味は、シリアの内戦終結を視野に入れ、イラン、イラク、シリアをつなぐ天然ガスのパイプラインを建設することにある。
天然ガスの供給源はカタールに他ならない。
サウジアラビアからイランとの関係が原因で制裁を受けるカタールであるが、トルコやロシアと手を結ぶことで、活路を見出そうとの魂胆であろう。また、注目すべきは、このシリア再建計画に中国が食い込んできたことである。
習近平国家主席が進めるアジアとヨーロッパ、アフリカを一体化する新経済圏構想「一帯一路」計画の要衝にシリアを位置付けようという目論見だ。
ぶっちゃけ、地球儀を俯瞰するばかりで、トランプ頼みのどこかの首相とは大違いだ。
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2.米朝首脳会談に懐疑的なアメリカの元国務副長官
ぶっちゃけ、金正恩委員長とトランプ大統領の首脳会談は本当に開催されるのか、大いに疑わしい。
確かに、平昌オリンピックを契機に北朝鮮の「ほほえみ外交」には拍車がかかっている。
韓国の芸術団一行が平壌を訪問すると、金委員長夫妻が先頭に立ち、「悲願の朝鮮半島統一も近い」と大歓迎をする北朝鮮であった。
しかし、多くの脱北者の証言によれば、北朝鮮では韓国の音楽や
TV、映画のソフトを持っていることが分かれば没収、罰金は当たり前で、時には監獄行きとなるらしい。
「南の文化汚染から国民を守る」という理由である。
表向き、南北の融和ムードが広がっているが、アメリカ政府の見方は厳しいままだ。
先ごろ、ハワイで開催された「パシフィック・フォーラム」の研究
会合に参加し、アメリカ政府の現役、OB、民間の研究者らと意見交換を通じて、そのことを痛感した。
例えば、アーミテッジ元国務副長官曰く、「北朝鮮は韓国を騙せても、アメリカを騙せない。アメリカはあらゆる情勢分析を進めている中で、金正恩が“非核化”という耳障りのいい言葉で、アメリカと対等の交渉テーブルにつこうとしているが、核ミサイルを放棄する考えがないことを把握している。」
事前の議題すり合わせで、米朝間の認識の違いが明らかになり、「首脳会談に向けての交渉が不成立となる場合もある」という。
また、協議が進み、首脳会談がもたれた場合でも、「予測不能のトランプ大統領が金正恩委員長の言動に腹を立て、席をけって会談が決裂する可能性も高い」。
アーミテッジ氏は率直にそうした厳しい見立てを披露してくれた。
そうなった場合には、「アメリカは日本と共に北朝鮮への軍事的行動に踏み切ることになる」とのことで、その準備が着々と進んでいるようだ。
とはいえ、先に「北朝鮮からの中距離弾道ミサイルが向かっている」との誤った警報が発令され、市民がパニック状態になったばかりのハワイである。
地元の大学や企業からの参加者からは不安の声が聞かれた。
というのも、ホノルルには核ミサイル攻撃に備えたシェルターが完備していないからだ。
警報を受け、避難をしようにも、ホテルやオフィスビルの地下に退避するのが精いっぱい。
イスラエルやスイスなどと違い、核シェルターが義務化されていないのである。
日本から年間300万人の観光客で賑わうハワイだが、非常事態への備えという観点で見れば、決して「安全なパラダイス」とはいかないようだ。
ぶっちゃけ、米朝交渉が決裂すれば、アメリカ本土やハワイよりも北朝鮮のミサイルにさらされる危険度は日本の方がはるかに高いはず。
ゆめゆめ準備を怠らないようにしなければ。
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