┏◆◇━2019年3月━◇◆
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┃ 経営者のための 事業承継ミニ情報 ◇第36号◇
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┗◆◇━━━━━━━━━◆◇━辻・本郷 税理士法人━◇◆┛
会社の経営権である株式を、後継者にどう承継すれば良いのか?
その際に、どんな点に気を付ければ良いのか、
承継の際の税金について、どう取り扱えば良いのか?
そんな疑問の解決に役立つ情報を、毎月1回配信いたします。
このミニ情報をご覧いただき、円滑で、そして税務上も有利な事業承継対策を
実現していきましょう。
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後継者の海外出向、海外留学時にはご注意ください!
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企業経営者としての育成のために後継者を海外子会社の役員として出向させたり、または後継者本人の意思により海外留学したりする場合があります。
しかし、平成27年7月より「国外転出時課税」制度が設けられており、後継者が国外転出する場合には不測の課税を受ける場合がありますので、注意が必要です。
【1】国外転出時課税の概要
1億円以上の評価額の株式(※1)を所有する居住者が国外転出(※2)をする場合には、出国時に株式の譲渡があったものとみなして、株式の含み益に所得税が課税されます。
※1) 株式や投資信託等のほか、未決済のデリバティブ取引商品などが含まれます。
※2) 1年以上の予定での国外転出など、日本においては非居住者となるよう
な国外転出に限られます。数か月程度の短期滞在は含まれません。
納税管理人の届出をしない場合には、出国日までに所得税の準確定申告及び納税が必要となりますが、出国日までに納税管理人の届出をした場合には、所得税の確定申告及び納税の期限は、出国日の翌年3月15日までとなります。
なお、出国から5年以内(10年まで延長可)に帰国し、引続き株式を所有している場合には、帰国後4か月以内に所得税の更正の請求をすることで課税は取り消され、納税した所得税は還付されます。また、納税の猶予を受けることができる制度も設けられております。
【2】納税猶予制度
国外転出の日までに納税管理人の届出をしている場合、出国後最初の所得税の
確定申告の際に一定の書類を提出するほか、納税猶予を受ける所得税と利子税に相当する担保を提供すれば、国外転出時課税による所得税の納税が猶予されます。
納税猶予期間中は、毎年3月15日までに納税猶予の継続届出書を提出する必要があります。また、納税猶予期間中に株式を譲渡・贈与した場合、その譲渡・贈与があった時点で納税猶予は打ち切られ、4か月以内に納税しなければなりません。
なお、担保提供については、自社やグループ会社により納税保証をすることで担保提供に替えることもできます。
【3】実務上の対応
事業承継に直面している企業においては、後継者が1億円以上の自社株式を所有しているケースが多々あります。事業承継税制の特例措置(自社株式の贈与税等の納税猶予制度)が昨年から施行されたことにより、今後ますますその割合は増えていくかと思われます。
そのような後継者を国外子会社へ出向させたり海外留学をさせる場合、必ず国外転出時課税のことを気にかける必要があります。10年以内の帰国が明らかであれば、一時的とはいえ多額の納税による資金負担を避けるためにも、納税猶予制度の利用を視野に入れ、まずは出国時までに納税管理人の届出をしていただくのが望ましいと思われます。
なお、出国時に1億円以上の株式を所有していなくても、海外出向中・海外留学中に後継者が株式の贈与、相続を受けるようなケースにおいても国外転出時課税が適用される場合があるので注意が必要です。
詳しくは、下記弊社担当までご連絡ください。
(担当:新見 拓也)
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