┌┬───────────────────────────2019年5月
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│└┼┐ 資産家のための資産税ニュース 第89号
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辻・本郷 税理士法人の資産税の専門家が
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「資産家のための資産税ニュース」 毎月15日配信です。
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■□ 愛は配偶者を救う?~「配偶者居住権」の創設 ■□
(このコラムは60秒で読めます。)
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【1.「配偶者居住権」は、配偶者の保護が目的!】
昨年の民法改正により、「配偶者居住権」が創設されました。
「配偶者居住権」とは、自宅の所有者に相続が開始した後も、引き続きその自宅に配偶者が無償で住み続けることができる権利をいいます。
連れ合いが亡くなったら自宅に住めなくなる?ということ自体、あまり思いが及ばないかもしれませんが、例えば相続財産が自宅だけという場合に他の相続人から権利を主張され、自宅を売却してお金で分けるため配偶者が立ち退きを求められる、という事態が実際に生じており、苦楽を共にしてきた配偶者の保護を目的として創設されたのです。
【2.どのように活用されるのか?】
「争続」対策のうち特に再婚のケースが活用事例として挙げられます。例えば、
夫は再婚した妻に自分の亡き後も安心して自宅に住んでもらいたいが、妻の亡き後に自宅が空家になったら前妻との間の長男に継がせたい…、このように夫が考えた場合、配偶者居住権を設定したうえで所有権は長男に相続させることで、問題解決が期待できます。
「争続」の他にも、二次相続対策としての活用も考えられます。配偶者にも
ある程度の蓄財があるため、二次相続を考えると自宅は一次相続で子供に承継させたほうが税負担が軽くなりそうだ、しかし、配偶者の心情として自分の名義でない自宅では安心して眠れない…、このジレンマを解決する方法としても期待できます。
【3.配偶者居住権の評価は?】
配偶者居住権が設定された場合、不動産の評価額を「配偶者居住権」と
「負担付所有権」とに分けて評価をします。例えば、配偶者が70歳のときに相続が開始し、自宅の土地評価額が4,000万円であった場合には、配偶者居住権は約1,800万円、
負担付所有権は約2,200万円の評価となります。なお、この配偶者居住権の割合は、相続開始時点での配偶者の年齢が若ければ若いほど高くなります。配偶者は終身・無償で自宅に住めるわけですから、配偶者居住権の評価額を「家賃○円を平均余命まで×年間
ずっと支払わずに住める価値」と考えれば分かりやすいかもしれません。
逆に、配偶者が亡くなるまで売ることもできない、貸して家賃を得ることもできない「負担付」の不動産については、何ら負担のない不動産より評価が低くなって然るべきであり、負担付所有権は更地と比較して相続税の負担も少なくなる可能性があります。
「配偶者居住権」の法施行日は2020年4月1日ですが、注目度はすでに高まっています。
これを機に、自宅のあり方について一度家族でお話合いをされてみてはいかが
でしょうか。
(担当:税理士 前田 智美)
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