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        ソムリエの追言 ㉓
        「頑張れ日本!コスパの壁を乗り越えて」 
        ________________________________________
        
        「国産」野菜、「国産」米、「国産」車。 
        「国産」と言えば、無条件に品質の高さと安心感があるような気がします。
        国産品と聞いてマイナスのイメージを持つのは、
        残念ながらワインぐらいではないでしょうか? 
        
        フランス現地のスーパーで、 5ユーロ(約500円)出せばそこそこ美味しいワインが見つかると聞きます。 新世界と言われる南アフリカ共和国でも、1994年のアパルトヘイト廃止後、マンデラ大統領の尽力もあり、経済制裁からの脱却、現地でコストパフォーマンスの良いワインが世界の注目を集めています。
        
        「近年、国産ワインの品質向上は目覚しく、品評会でも高い評価を得るようになった!」 と言われて随分経ちますが、実際のところどうなのでしょう?
        私は「国産ワイン」と聞けば、まずコストパフォーマンスの悪さが気になってしまいます。 
        
        以前、山梨へ旅行に行った時のこと。
        旅行に行けば、その地方の特産や食文化に触れたいものです。 ワイナリーを見学して、ワイン好きの友達にお土産を買おうと計画していました。 しかし、試飲をしてみるとどうも目指している味の方向性が違うというか、 気に入ったワインは1本も見つかりませんでした。
        値段も高かったので、結局お土産は定番の信玄餅を買ってしまいました。 
        
        もしかしたら、こういうのは観光客向けの商売で、 本当は現地の人はもっと安くて美味しいワインを飲んでるのでは・・? と疑いたくなるほどです。
        
        日本の純国産ワインには、 海外からの輸送料や関税がかからないので、その分安いはずです。 しかし、山梨や長野のワイナリーで直接販売しているワインも 1,500円以上の物がほとんどでした。 どうして高いのでしょうか? 
        
        もちろん、スーパーやコンビニに行けば500円ぐらいで大手メーカーの「国産ワイン」と書かれたワインのような物は売っていますが、これらは海外から濃縮マスト(果汁)やブレンド用のバルク(樽)ワインを大量に仕入れて混ぜているので、薄くて甘くて、 「これが本当にワイン?一緒にしないで!!」 と言いたくなるような物ばかりです。
        
        昔、外国産のワインに不凍液が混入されていた事件で、国内産と書かれたワインからも不凍液が検出され、外国産ワインをブレンドしていた事が問題となり、 国内のワイナリーも大打撃を受けました。 それにも関わらず、いまだに大手ワインメーカを中心に、 外国産のワインがブレンドされ「国内産」と表記されて売られている現状があります。
        
        2009年の国税庁の統計によると、国産ワインと呼ばれるワインのうち、 国内で栽培した葡萄を原料にしたものはわずか22%。 実に8割弱の国産ワインは、海外産の濃縮マストやブレンド用のバルクワインを原料にしてつくられています。
        
        国産葡萄から作られたワインとバルクワインはブレンドして出荷されます。 
        ブレンド比率が分らないので正確な数字は分りませんが、 純粋に国産葡萄だけで作られたワインは全体の10%にも満たないのではないでしょうか。 
        日本のワインの年間生産量がおよそ1億本、 その中で本当の意味での国産ワインは、1,000万本にも満たないということになります。 ボルドーの格付けシャトーが、大体年間に20万本から30万本生産している事を考えると、一国の生産量としては本当に少ないです。 
        
        極端な例ですが、輸入ワインと国産ワインはボルドーとブルゴーニュの関係に似ていると思います。生産量が少なければ、それだけ品質に関係のない部分での希少価値が高くなってしまうのです。
        
        
        生産原価が釣り合わない!?
        値段が高い事がいけないとは言いません。 
        それに見合った美味しさがあれば良いのですが、 国産ワインはとにかく生産原価、人件費、土地代・・・ ワインの品質以外にかかる費用が高すぎるのです。 
        
        日本では、いわゆるシャトー物(ブドウ生産者が自社でワインのビン詰めまで行なった物)はほとんどありません。大手の国産ワイナリーですら、特定の契約農家から葡萄を買い上げてワイン生産を行なうのが一般的です。 
        
        ヨーロッパでは、このように生産者から安く葡萄を買い上げて自社でブレンド・ビン詰めをして大量に販売されるワインをネゴシアン物と呼びます。 飲むと頭が痛くなりそうな粗悪なものが多いのですが、安価で販売されています。 
        
        しかし日本では、ヨーロッパと違って流通している葡萄のほとんどがワイン生産には向かない、巨峰やデラウェアなどの食用葡萄です。果実は果汁をたっぷり含んだみずみずしい味わいですが、これをそのままワイン造りに転用すると、どうしても水っぽい味わいになってしまいます。 
        
        農家にとってみれば、食用葡萄の方が高く売れるので、収穫量も少なく手間と費用がかかるうえに、売値の安いワイン用の葡萄は、わざわざ作りたがらないのです。 
        
        そこをワイン造りに情熱を持ったワイナリーが一生懸命説得して、頭を下げて醸造用の葡萄を作ってもらう。ワイナリーにとっては食用に比べれば安いものの、それなりの値段で購入せざるを得ないという現実があります。 
        原料が高いのですから、最終的なワインの販売価格も上がってしまうという仕組みです。 
        
        
        日本の未来は 
        そうは言っても私も日本人の一人として、 自分の国の産業を応援したい気持ちがあります。 
        
        純国産で、安くて美味しい「葡萄酒」が飲めればそれに越した事はありません。 MICHIGAMIワインでも、他の商品と比較して、 味と値段でバランスが取れる純国産ワインがもしあれば、ぜひとも扱いたいものです。 
        
        ワイン大国のフランスで、人々の生活の一部として、文化として、あれだけワインが確立されているのには、歴史やテロワールの影響もあると思いますが、一番はそこに美味しいワインを愛し、ワインを飲む人々がたくさんいたからではないでしょうか? 
        
        大手ワイナリーを中心に、 量産を避けて高値で販売する傾向にあるようですが、 多くの日本人が国産のお米を愛するように、 安くて美味しい国産ワインが、 当たり前に飲める日がくる事を願っています。 ガンバレ、日本!「国産ワインについて」 
        
         
        

        【 道上 雄峰 】
        幼年時代フランス・ボルドーで育つ。 
        当時日本のワインが余りにもコストパフォーマンスが悪く憤りを感じ、自身での輸入販売を開始。
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