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        ソムリエの追言 ㉛
        「ワインとグラスの関係 その2」 
        ________________________________________
        高いグラスはどこが違う?どこが良い?
        グラスは形だけではなく、その色や薄さも大事です。
        中には一脚何万円もするグラスもありますね。
        職人さんが微妙な力加減で口で吹いて作る為、とても薄いグラスになります。
        機械ではあの薄さが出せません。
        薄いグラスですと、洗うときにも気をつけないと割れてしまいます。 
        レストランやバーでグラスが割れるのは、間違いなく洗っている時と拭いている時です。テーブルの上でお客様が割ってしまうのは、あまり多くありません。
        
        レストランで働いている人は結構な数を割ってしまいます。
        私も今までにグラスはいくつ割ったか、分からない位かも知れません。
        ヨーロッパでは割ってしまうからか、洗った後はグラスを拭きません。 
        ドレーナーと呼ばれる水切りにかけておくだけなので、水滴がついたままです。
        
        道上に言わせると、日本のレストランでは常にグラスを拭いているので、神経質すぎると感じます。ヨーロッパでは、水滴が乾燥してできた跡はあまり気にしませんが、食事中でも食後でもグラスが汚れない様、飲む前にナプキンで口をふいてから飲むのが習慣づけられています。 
        
        グラスの向こうに手紙を置いて文字を見てください。良いグラスは薄さが均一な為、向こう側の文字にゆがみがありません。機械でつくったグラスでも、良いものは手づくりほどではありませんが、薄いので文字がゆがみません。
        あまり高くなくても向こうの文字がゆがまないのが良いグラスだと思います。 
        
        ガラスに色が入っていない透明なグラスを使うと、よりワインの色が明確に分かります。例えば白い紙に書かれた手紙の上に、赤ワインを入れたグラスを傾けてかざします。向こう側に書かれた文字がどれ位鮮明に見えるかでブドウ品種の判断の基準になります。 
        
        鮮明に見えるワインで代表的な物は、ブルゴーニュのボーヌやロワールのサンセールで、向こうが見えないのが、ボルドーのメドックやカオールです。 ヴィンテージによっても違い、端まで文字が判らない方が若いワインで、熟成しているワインは端の方は澄んだ色合いになってきます。 
        
        例えば熟成が進んだブルゴーニュの場合、中心はやや見づらいものの、端の方では、はっきりと判るワインが多いです。
        同じブルゴーニュでも、ジュヴレ・シャンベルタンや、モレ・サン・ドゥニ村の名前がついているワインは色が濃いのでなかなか向こう側が見えません。
        向こうがまったく見えなかった場合は、メドックやカオールのワインであることが考えられ、良い年のワインであると思われます。
        (近年ですと2005年、2009年、2010年の可能性)良い年のワインはブドウの実がよく熟しているため、ワインの色は濃くなり、ほんの少し口に含んだだけで、口いっぱいにワインの風味が広がります。
        ブドウの実自体が濃くなるので、ワインそのものの味も濃くなるのです。 
        
        熟成が進んでいると、端の方から徐々にグラデーションが始まっているので、端の方の文字は少し見ることが出来ます。 
        カオールは黒ワインと呼ばれるほど濃い色をしたワインで、若いヴィンテージですと、端の方の文字まで判別する事はまず出来ません。メドックと同じボルドーでも、ジョンカード白ラベル2014年の様に少し樹齢の新しいワインですと明るい色合いになる等、もちろん例外もありますが、多くのワインに当てはまります。 
        
        ワインを入れたグラスを回してみてください。グラスの壁にワインの涙(雫)ができます。
        

         
        
        この涙は徐々に落ちてきますが、これが早く落ちてくる場合は粘性が低く、逆に太くゆっくりと落ちてくるワインは粘性が高く、エキス分(グリセリン)を多く含んだ濃いワインと言う事になります。 
        グリセリンは良質ワインにより多く含まれ、ワインにやわらかさを与えてくれます。 もちろん、これだけでワインの良し悪しが決まるわけではありませんが、 こうした粘性の高いワインからは、樹齢が古いブドウからつくったワインで、 しっかりとしたボディ、 果実エキスの凝縮感、熟成によってもっと美味しくなるのかな、という期待感を感じさせてくれます。 
        
        例えば、ジョンカードの白ラベルと紅白ラベルを比べた場合、白ラベルの涙は少しだけ留まり、細く流れ落ちます。
        紅白ラベルはかなり長い間留まっていて、白ラベルに比べて太くゆっくりと流れます。この2種類を比べた場合、紅白ラベルの方が長期熟成に向いたタイプのワインだと判ります。 
        

         
        
        
        実際に飲んでみても、紅白ラベルの方がボディや果実エキスの凝縮感を強く感じ、余韻も長く、濃厚なワインである印象です。 
        
        ワインや液面の端の色合い、ワインの涙をみると、飲まなくてもブドウ品種やどれ位熟成しているのか、そのワインの大体の事が分かってきます。
        高級なグラスですと、ワインの色もより楽しめると思いますが、
        グラスが唇に触れる感覚や、温度を楽しむ上でも非常に重要な要素になります。 
        
        ワインに限らずビールでも同じだと思います。 私はビールでも薄いグラスで飲んだ方が、美味しく感じます。「なぜか?」周りの人にも聞いてみました。
        「味がフレッシュに感じる」、「唇にふれた時に優しく感じる」、「ビールの熱をそのまま伝えやすい」等、様々でした。 薄いグラスで飲んだ方が品良く感じますし、グラスが厚いとせっかく冷えているビールの冷たさがグラスに奪われてしまい、ぬるくなってしまいます。
        
        試しにシャンパングラスでビールを飲んでみてください。持つとびっくりするぐらい軽くて、薄いグラスでです。いつもと違い口当たりが優しく、グラスの脚を持つのでぬるくならないですし、最後まで冷えたビールを飲む事が出来ます。
        

         
        ビールの場合は薄いグラスの方が口をすぼめて飲むので、口の中に泡が入らない様にビールが飲めるのも関係していると思います。
        泡が最後まで残るとビールが酸化しづらく、最後までフレッシュな状態で飲めます。 
        
        確かにワインは、職人の方が手作りでつくる薄いグラスで飲むと美味しいと思いますが、1つ2,000~3,000円のグラスがあれば十分楽しめると思います。
        
        あまり知られていませんが
        先週グラスの形状についての違いを書かせていただきましたが、
        グラスの違いは、実はカクテルにも当てはまります。
        同じカクテルグラスでも、すぼまっているグラスと膨らんでいるグラス。 一般的には、すぼまっている方が辛口のカクテルで、膨らんでいる方が中口~甘口のカクテルに使うと書いてあります。しかし見た目だけで、カクテルグラスを選ぶと味わいが変わってしまいます。 
        例えば、辛口の「ホワイトレディー」はジンとオレンジのリキュールとレモンジュースのカクテルですが、すぼまっているグラスを使うと、よりお酒の味わいが広がりやすく、酸味を強く感じます。
        膨らんだグラスですとお酒の味わいがあまり広がらず、少し飲みやすくなります。 ワイングラスと違って、なかなかそこまで書いた本はありませんが、プロのバーテンダーは、そこまで考えてグラスを選びます。 
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        【 道上 雄峰 】
        幼年時代フランス・ボルドーで育つ。 
        当時日本のワインが余りにもコストパフォーマンスが悪く憤りを感じ、自身での輸入販売を開始。
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