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        ┏◆◇━2018年8月━◇◆

        ◆┛

        ┃    経営者のための 事業承継ミニ情報 ◇第29号◇

        ◆┓

        ┗◆◇━━━━━━━━━◆◇━辻・本郷 税理士法人━◇◆┛

         

        会社の経営権である株式を、後継者にどう承継すれば良いのか?

        その際に、どんな点に気を付ければ良いのか、

        承継の際の税金について、どう取り扱えば良いのか?

        そんな疑問の解決に役立つ情報を、毎月1回配信いたします。

         

        このミニ情報をご覧いただき、円滑で、そして税務上も有利な事業承継対策を

        実現していきましょう。

         

         

        ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

         

        企業オーナーの遺言の必要性

         

        ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

        平成30年度の税制改正で事業承継税制(納税猶予制度)が大幅に拡充され、また、

        民法改正では遺留分制度の見直しにより相続人に対する贈与の遺留分算定基礎への持ち戻しを相続開始前10年間にされたものに限定するなど、まさに中小企業の事業承継を後押しする制度が拡充され、世の中が事業承継を推進しようと動いています。

        このような中、事業承継対策の一つとして、企業オーナーの遺言の必要性を

        無視することはできません。

         

         

         

         

        【1.企業オーナーの遺言が大切な理由】

        事業承継の時期が決定しているか否かに関わらず、オーナーの相続というものはいつ起こるかわかりません。

        オーナーの所有する自社株や事業用資産について、後継者に対して生前贈与等で承継しきれていない場合、その間にオーナーに相続が起こる可能性があることも想定して、会社の経営権である自社株や事業用資産を後継者へ集約させるためには遺言の存在が欠かせません。特に自社株について、遺産分割が未分割である場合、相続人間で「準共有」という状態になります。この場合の議決権の行使については、簡潔に表しますと、共有持分者の相続人の過半数(多数決)で決めることになりますので、相続人間に意見が対立するようなことがあれば、議決権を行使することができず、会社運営に支障をきたすことになります。

         

        最悪のケースとして、例えば、後継者の長男が、次男・三男と対立して、代表取締役を解任されてしまうといったケースも想定されるのです。これを避けるためには、遺言で遺産分配の方向性を定めておくことが重要です。

        遺言があれば、相続はいつ起こるかわからないといったところの最大のリスクを回避することができるのです。

         

        【2.納税猶予制度の適用を考える場合】

        納税猶予制度が緩和され、この適用を検討しているオーナーや後継者は増えています。

        しかし、将来、相続税の納税猶予制度の活用を考えている場合も遺言の大切さを理解して頂く必要があります。

        例えば、納税猶予制度を受けることを想定しているものの、後継者へ自社株を渡すタイミングとしてはまだ早いので、特例措置の期間内である10年以内にタイミングを見はからって贈与を行って贈与税の納税猶予を検討していたとします。ところが結果として、何も実行していない状況でオーナーに急遽相続が発生してしまうようなケースです。

        後継者としては、当然に相続税の納税猶予を適用するつもりでいたものの、遺言もなく、自社株の相続について相続人間で遺産分割協議がまとまらない場合には、要件を満たさなくなり、納税猶予の適用を受けることができません。

        したがって、納税猶予制度の適用を検討しながらも、すぐに贈与を行わない場合は、オーナーの急な相続を想定して、少なくとも遺言で後継者が自社株を相続できるよう手当しておくべきであるといえます。

         

        (担当:松浦 真義)

         

         

         

         

         

         

         

         

         

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