┏◆◇━2016年6月━◇◆
◆┛
┃ 経営者のための 事業承継ミニ情報 ◇第8号◇
◆┓
┗◆◇━━━━━━━━━◆◇━辻・本郷 税理士法人━◇◆┛
会社の経営権である株式を、後継者にどう承継すれば良いのか?
その際に、どんな点に気を付ければ良いのか、
承継の際の税金について、どう取り扱えば良いのか?
そんな疑問の解決に役立つ情報を、毎月1回配信いたします。
このミニ情報をご覧いただき、円滑で、そして税務上も有利な
事業承継対策を実現していきましょう。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
利益3倍変わると良いね!?自社株評価の改正の動向
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
平成28年度税制改正大綱の検討項目に、
「自社株評価については適切なあり方について早急に総合的な検討を行う」
と書かれていました。
その流れで、中小企業庁も事業承継ガイドラインの見直し作業に入りました。
果たして、平成29年度には改正されるのでしょうか?
その方向性をみていきたいと思います。
【1】 利益比準3倍は?
平成12年の改正で、類似業種比準株価の計算上の利益について、3倍の比準が
行われました。その理由は、比較する上場会社の企業価値は収益力に影響されるからということでした。そもそも平成12年度改正は、上場企業よりも相対的に収益力の低い中小企業に配慮して評価額を引き下げようという趣旨から来ていたようです。
しかし、実態は、その逆で優良企業にとっては株価が高くなっているようです。
そこで、その実態に応じて利益に対して、1倍ないし3倍のいずれかを選択させてもいいのではないかという議論も行われているようです。
【2】 配当還元価額方式における「資本金等の額」は?
平成18年の評価通達の改正により、配当還元方式の項目について、
「資本金の額」から「資本金等の額」に変更されました。
これにより、例えば株式移転により新会社を設立する場合に大きな問題が
発生する可能性があります。
この場合の完全子会社となる会社の株主が50人以上の場合には、完全親法人に
おける完全子法人の株式の取得価額は、完全子会社の簿価純資産価額となり、
完全親法人の資本金等の額に加算されてしまいます。
その結果、本来50円で評価されるべきものが何と5,000円で評価されるケースもあるという話も聞きました。
このようなケースでは一株当たりの配当金額を10%で割直した数字で算定する
ことも合理的であると思われます。
【3】 同族関係者はどこまで?
現在、同族関係者とは、6親等内の血族及び3親等内の姻族をいいます。
この範囲が広すぎるのではないかという問題です。
自社株評価をする上で「中心的な同族株主」に該当しない、議決権割合5%未満の株主が取得する株式の評価は、配当還元方式によります。
ですから、その株式を取得する納税義務者が、同族関係者に当たるか、中心的な同族関係者に当たるかにより、その税負担が大きく異なります。
核家族が中心の現在においては、いとこ(4親等内の血族)や、はとこ(5親等内の血族)には、幼少期を除いてほとんど会う事はありません。
このような状態の中で、いとこや はとこ はもう他人に近い存在であり、事業経営への影響はほとんど無いと思われます。
そうであれば、「4親等内の血族と2親等内の姻族」に改正してもいいのではという意見も傾聴に値すると思います。
上記以外にも、退職給与引当金等の債務控除の問題、現物出資等の受け入れ
差額の控除の問題、種類株式の評価の問題等があります。
おそらく、鬼が笑うでしょうが、平成29年度税制改正の目玉は事業承継の
自社株評価になるかもしれません。
乞うご期待です。
参考文献:品川芳宣 稿
「事業承継対策から見た取引相場のない株式の評価見直しの論点とその方向性」
『月刊 税理』 2016年6月号 2~9ページ
(担当:税理士 木村 信夫)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■辻・本郷 税理士法人
http://www.ht-tax.or.jp/
■本メールマガジンに関するお問合せ先
発行責任者:楮原 達也
連絡先:03-5323-3608
Eメール:shokei@ht-tax.or.jp
受付:辻・本郷 事業承継法人部
(c)HONGO・TSUJI TAX & CONSULTING ALL Rights Reserved