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        ソムリエの追言56
        「シャンパーニュとスパークリングワインの一般的な
        造りかた」
        
        「シャンパーニュって、高級スパークリングワインのことですよね。」 
        
        「そうでもあるけど・・・ そう、造り方をみれば、シャンパーニュ・高級スパークリングと通常のスパークリングワインの違いが判(わか)りますよ!」
        
        ●外国の方の読者も多くいらっしゃるので、漢字にふりがなをつけてお送りしております。 
        
        というわけで、今回は【 シャンパーニュとスパークリングワインの造りかた 】です!   
        
        ワインをつくる 醸造過程(じょうぞうかてい)は基本的に一緒(いっしょ)です。
        そこに泡(あわ)が出るか、出ないかの差はどこからくるのでしょうか?
        シャンパーニュの造り方で話を進めます。
        
        

        シャンパーニュで使うブドウは 3種類です。 
        黒ブドウのピノ・ノワール ピノ・ムニエ 白ブドウのシャルドネ。
        -------------------スパークリングワインでは、この3種を含めて、その地域の規則にあったブドウや独自で選んだブドウで良いわけです。
        
        まずは、そのブドウで原酒(げんしゅ)となる辛口の白ワインを造ります。
        シャルドネなどの白ブドウから、梗(こう)と呼ばれる枝(えだ)の部分を取り、皮を軽く破(やぶ)る破砕(はさい)を行い、プレスして、果汁(かじゅう)と 果皮(かひ)・種(たね)に分け、果汁に酵母(こうぼ)を加えて、発酵(はっこう)させてワインとします。
        
        ピノ・ノワール ピノ・ムニエ などの黒ブドウも同じようするのですが、果皮の色がなるべく着かないように優しくプレスし、白ワインにします。このように、品種(ひんしゅ)ごとに白ワインをつくって行きます。また、シャンパーニュは畑(はたけ)によるブドウの実の格付(かくづ)けがあるので、畑ごとにも白ワインを造っていく場合もあります。
        
        出来上がった原酒である白ワインをブレンドしていきます。
        通常は黒ブドウが7、白ブドウが 3の割合です。※1
        このブレンドが実はシャンパーニュにとって重要なところ。 更なるポイントはリザーブワインという毎年残しておいた原酒です。 出来上がったばかりの原酒のブレンドに、リザーブワインを足して調合(ちょうごう)していくことで、できるだけ、毎年同じ味わいに、そのシャンパーニュのスタイルに仕上げていくのです。 
        
        ですから、シャンパーニュのスタンダードには、年号(ねんごう)がないんです。いろんな年のブドウが使われているわけですね。 ブレンドしてできたワインにシャンパーニュたる泡を加える工程をみてみましょう。 泡は炭酸(たんさん)ガスです。炭酸ガスを作り出すために、原酒ワインに蔗糖(しょとう:砂糖の主成分でもある糖分)と酵母菌(こうぼきん)を加えます。 このワインを1本1本瓶詰(びんづ)めし、栓(せん)をし寝かします。
        
        すると、ボトルの中で、発酵がおこり、アルコールと炭酸ガスが発生するのです。瓶内(びんない)2次発酵と呼ばれます。赤・白の通常のワインつくりでは、このガスを外に逃がしていました。それをボトルの中に閉じ込めておくのです。
        
        ----------- 一方、大量生産(たいりょうせいさん)のスパークリングワインの場合は、ボトルではなく、密閉(みっぺい)したタンクの中で発酵による炭酸ガスを造ります。 ※2 
        約6~8週間の瓶内発酵の後、発酵の役割を終えた酵母の死骸(しがい)が滓(かす)となって沈殿(ちんでん)していきます。 その滓を取り除くのですが、ただ取ればいいというわけではないんです。 
        その滓が実はワインに風味をつけ、炭酸ガスを安定(あんてい)させる役割を持っています。
        
        ですので、なるだけ滓と一緒にしておくことが必要なのですが、最終的にはその滓をキレイに取り除きます。ここで登場するのが、ピュピトルと呼ばれる、澱(おり)下げ台です。逆V字型の板にボトルの口が下向きに並べられるようになっています。上の図参照
        
        毎日ボトルを少しずつ揺(ゆ)らしながら回転させ※3、側面(そくめん)にたまっている滓を移動させるとともに、傾きの角度を徐々に変えていき、最後には逆さまにして、滓を瓶口に集めます。
        取り除く方法は、シンプルです。栓を開ける。でも、その前に、瓶口の滓がある部分だけを凍(こお)らせてまとめておきます。 栓を開ければ炭酸ガスの勢(いきお)いで、きれいに滓が飛び出していきます!※4
        
        ------------------ 大量生産のスパークリングワインの場合は、タンクなので、移し変えることにより滓を取り除けます。
          
        この栓を開けた瞬間(しゅんかん)を利用して、甘味を添加(てんか)する工程を行ないます。  「門出(かどで)のリキュール」なるお洒落(しゃれ)な名前の液体を加えます。 ただの原酒ワインに糖分を加えたものなんですけど、カッコよく聞こえますね。 この糖分の量によってシャンパーニュの甘辛度(あまからど)が決まるわけです。 あとは、おなじみの独特のコルクを打ち、最低でも15ヶ月寝かせて風味を落ち着かせて出荷(しゅっか)します。 
        
        ------------------ 大量生産のスパークリングワインの場合は 熟成(じゅくせい)期間は短く、造ってすぐに出荷、飲むことが出来る点が魅力(みりょく)になります。
        
        シャンパーニュはこうして泡が造られますが、スパークリングは密閉タンクで造るものと、シャンパーニュと同じ瓶内2次発酵で造るものもあります。 シャンパーニュと同じ方法で造った場合をトラディショナル方式と呼び、ラベルにMethode traditinonnelle 又はMethode champenoise と書いてあります。
        
        その他クレマンと言うスパークリングもあります。
        クレマン・ド・ボルドー等はシャンパーニュと ほぼ同じ方法で作っています。
        
        こちらのほうが、泡のきめ細かさ、持続性など品質的にも優れ、高い価格で取引されています。 
        
        ※1白ブドウ シャルドネ だけでつくるブラン・ド・ブラン 
           黒ブドウだけでつくる ブラン・ド・ノワールもあります。 
        ※2 発明者(はつめいしゃ)の名前からシャルマ方式と呼ばれます。
        ※3 ルミアージュ(動瓶:どうびん)と呼ばれます。なんと1/8ずつ回転させるのだとか。
            人間の手でおこなう伝統的(でんとうてき)なものと、機械(きかい)で行なうものも。 
        ※4 口抜き。滓抜き デゴルジュマン と呼ばれます。 
            マイナス20℃の塩化(えんか)カルシウム水溶液(すいようえき)で凍らせます。  
         
        
        
        

        【 道上 雄峰 】
        幼年時代フランス・ボルドーで育つ。 
        当時日本のワインが余りにもコストパフォーマンスが悪く憤りを感じ、自身での輸入販売を開始。
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