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        ソムリエの追言 60
        「開けたワインが酸っぱい!これってアリ?」 
        「これも・・・酸味が強い」
        

        我々スタッフの表情に不安が募(つの)る。 いつもは、味の異変があるボトルは2本と続かない。 返品のきっかけとなった1本と合わせて3本目。 6本中、3本が酸味のバランスが悪い。 
        バランスどころか、顔をしかめてしまうほど 刺すように鋭い。
        明らかに、ワインに異変が起こっている。 この箱のワインだけならいいのだが・・・。
        
        誰もがそう思った瞬間。 
        社長の道上が決断した。
        「大至急、倉庫のワインを確認して来い!」
        翌朝、ワインを保管してある配送倉庫へ向かいます。 
        そこで、倉庫担当者I氏と共に、ワインのチェックを行っていきます。 無作為に箱の中のワインを選び、その場で、テイスティング。 「これは、大丈夫・・」 1本、また1本と開けては、テイスティングを繰り返す。
        
        そして、出た結論は。
        「在庫のワインについては異常なしです!!」 
        あってはならないのですが、 ワインには、時に不良品が存在します。
        「ブショネ」の次に多いとされている欠陥が 「酸味の異常」です。
        
        ワインの成分中の主な酸は、 
        リンゴ酸
        酒石(しゅせき)酸
        乳酸
        があります。 
        
        リンゴ酸はその名の通り、爽やかな酸味で 青リンゴの果汁を思わせます。 
        酒石酸は、苦味を伴うもので、ミネラルとともに 結晶化することがあります。
        乳酸は、ヨーグルトのような柔らかな酸味です。
        この部分の酸味を、ワインを飲むときに感じますが、 全体のバランスが取れるようになっています。 涼しい地方のワインは、どうしても酸味が強くなります。 また、ブドウが熟しきっていない場合も、酸味が強くなります。 ただし、その分、香りに「ハーブ」や「ピーマン」などの 【青さ】を感じるものが採れるはずです。
         
        冒頭の話しの中にもあがっていますが、 酸味が突出して、舌を刺すような刺激の場合は 要注意です。 主な欠陥として 「酸化」と「酸敗」があります。 
        その酸味が欠陥としてのものかどうか、 初めてのワインで判断が微妙なときは、 色や香りとともに判断していきます。
        

        「酸化」の場合は 外観に茶色のニュアンスが強くなり、 白は濃く、赤は薄くなります。 香りも本来のフレッシュでフルーティな香りが薄れていて やがて、かび臭さも。味わいは、気が抜けたような味わいで、その中で酸味が目立つ。 原因は、コルクの不良や輸送過程の取り扱いなどがあげられています。
        
        「酸敗」の場合は、 ワインに濁(にご)りが発生します。 香りはマニキュアの除光液のような、ツンとする刺激臭があります。 原因は、酢酸菌の微生物(びせいぶつ)汚染と考えられています。 
        以上のような場合と考えられる時は、 購入店にすぐに相談した方がいいでしょう。 
        何らかの対応を取ってくれるはずです。
         
        こうしてみると酸味は、ワインにとって邪魔な存在?
        いえいえ、 ワインの張りを支えているのは、この「酸味」。 そして、急激な酸化や、バクテリアの汚染からも守っている役目を 持っているのです。 そして、この酸があるからこそ、長期熟成のワインが楽しめるといったことも 忘れてはなりません。
        

        とはいえ、「酸味の異常」の見極めも、 ワインを数多く飲むことによってしか判断できない欠陥といえますね。 
        私事ですが、初めて飲んだ白ワインの「酸っぱさ」といったら、 「これが、人間が飲むものなのか?」と思ったほどです。 その後、しばらく白ワインを、飲む気になりませんでした。
        
        もしかしたら、そのワインも・・・。
        
        

        【 道上 雄峰 】
        幼年時代フランス・ボルドーで育つ。 
        当時日本のワインが余りにもコストパフォーマンスが悪く憤りを感じ、自身での輸入販売を開始。
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