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        BIS論壇 No.327『コロナ後の世界』中川十郎 2020年9月9日

                                                8月8日の内閣府の公表によれば、日本の4~6月期の第二次速報値は、GDP年率予想

        1次の27.8%マイナスから、年28.1%減と記録的な落ち込み幅がさらに広がった

        リーマンショック直後の2009年1~3月期の年率17.8%減を10%以上大きく上回り、戦後

        75年で最悪の落ち込みだ。GDPがコロナ前の水準に戻るには3~5年かかるとの悲観的な

        見方が大勢を占めている。

        特に外食や衣料品、レジャーなどは大幅マイナスが続く。筆者がかねて使用している御茶ノ水界隈の料理店は3社のうちの1社を9月に閉鎖するという。支配人は外食の危機を唱え、年末に向けて外食産業はさらなる閉鎖や倒産に直面すると悲観的な見方をしている。

        BRICSも中国を除き、インド、ブラジル、ロシア、南アでコロナ感染者が上位を占め、南アでの感染者は合計60万人を超えた。アフリカ全体の半数以上を占め、経済に大きな影響を受けている。同国の4~6月のGDP年率換算成長率は実に51%減と、コロナが資源安に追い打ちをかけている。7月にIMFに43億ドル(約4500億円)の融資を申し込んだ。

         コロナ後を見越し、ドイツはVWが世界販売の4割を中国で占めているにも関わらず、中国依存を転換。インド太平洋戦略で日本や韓国との関係強化を打ち出している。「一帯一路」での関係国への過剰債務問題、香港国家安全維持法の強行や、新疆ウイグル自治区の人権問題などを問題視し、ドイツは脱中国策を進めつつある。欧洲全体でも中国との関係は曲がり角を迎えEUは2019年には中国を「競争相手」とする新たな対中戦略を確立した。

        中国を主力市場としていた韓国サムスンも天津でのテレビ生産を11月に中止。ベトナムやメキシコ、ハンガリーのテレビ工場などに生産機能を移管。「脱中国」を加速中だ。

        すでにスマートフォンやパソコンでも中国生産を取りやめている。今後、製造やサプライチェーンの中國からの移管が加速するとみられる。

         一方、中國ではデジタル関連企業が自動車産業と共に経済をけん引しつつある。

        米欧日が中心だった世界の産業界の重心はコロナ禍を機に中国を中心にアジアへ移動しつつある。コロナ禍で世界のコロナ対策の財政支出は10兆ドル(約1060兆円)を超えOECD加盟国の政府債務は130%に上昇。日本は200%に近く最悪だ。コロナ後はテレワークやグローバルサプライチェインの分散化、企業や行政のデジタル化が不可欠になる。

        次期政権の総裁有力候補の菅氏は「安倍政権の7年余りは日本史上の汚点であることを心に刻み、森友、加計、桜を見る会など底なしの腐敗」(白井 聡)から脱却することに全力投球すべきだ。デジタル化のハードのみならず、ソフト面の強化。さらに経済、政治に倫理、道徳を持ち込み、失敗したアベノミクスを脱却。貧富の拡大阻止。4割の非正規雇用の正規化。先進国で最も遅れているPCR検査の拡大によるコロナ感染症対策に全力を投入すべきだ。あわせ、リーマンショック以来10%も落ち込んでいると言われる賃金の引き上げに400兆円という企業の内部留保を活用する方策を真剣に検討すべきだろう。

        制作協力企業

        • ACデザイン
        • 日本クラシックソムリエ協会
        • グランソールインターナショナル
        • 草隆社

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