┌┬───────────────────────────2020年10月
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│└┼┐ 資産家のための資産税ニュース 第106号
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└──┴┴────── 辻・本郷 税理士法人 https://www.ht-tax.or.jp/
辻・本郷 税理士法人の資産税の専門家が
相続・贈与税、資産にかかわる最新の情報をお届けする
「資産家のための資産税ニュース」 毎月15日配信です。
(※15日が休日の際は、前営業日に配信いたします)
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■□ 空いてもすぐ埋まるアパートに ■□
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【1.アパートの土地は減額されます】
相続税の計算で、賃貸中のアパートの土地は貸家建付地と言って、以下の算式に
より一定の金額が減額されます。
自用地としての価格 × (1 - 借地権割合※a × 借家権割合※b × 賃貸割合)
※a ご所有の土地の路線価に記載されています。
※b 一律30%に決められています。
【2.空室があったときは】
原則、空室部分に対応する土地については、【1】の減額はできません。
ただし、例外的に以下の4つの条件を満たせば、一時的な空室として賃貸しているものとみなされて、貸家建付地の減額をして良いとされています。
(1) 各独立部分が課税時期前に継続的に賃貸されてきたものであること。
(2) 賃借人の退去後速やかに新たな賃借人の募集が行われ、空室の期間中、
他の用途に供されていないこと。
(3) 空室の期間が、課税時期の前後の例えば1ヶ月程度であるなど、
一時的な期間であること。
(4) 課税時期後の賃貸が一時的なものではないこと。
【3.空室の期間について】
上記【2】にかかわらず、物件が古く地の利が悪い云々のため
いくら募集をかけてもなかなか入居者が見つからない、などの理由により、
1ヶ月以上空いていても貸家建付地として相続税の申告をしてきました。
しかし、平成29年5月11日、大阪高等裁判所である判決がおり、
最長で59か月、最短で5か月の空室のある賃貸マンションの貸家建付地の減額を、「空室期間が一時的なものであったとはいえない」と、納税者側が敗訴しています。
この判決では、とりわけ空室期間の長短を重要な要素として考慮しなければ
ならないと判示され、課税側がこの判決を盾に、空室の期間が課税時期の
前後1ヶ月程度でない場合、貸家建付地の減額を認めないのではと
言われています。
【4.相続税対策として空いてもすぐ埋まるアパートに】
生産緑地の2022年問題、そして、コロナ禍で変化する生活様式により、
賃貸市場は不確定な状況です。上記の判決もあり、賃貸経営上のみならず
相続税対策としても、空室を作らないことはもちろんのこと、空いてもすぐ埋まるアパートにすることが重要です。
対策として、
(1) 所有アパートの健康診断
(2) リニューアルの検討
(3) サブリースの検討
(4) 管理会社の変更
(5) 建て直し等
がありますが、
場合によっては、売却も視野に入れた方が良いケースもあります。
混沌とした今、賃貸事業もただ所有する時代から経営する時代になっています。
前述の対策については、プロの意見を取り入れるべきです。
辻・本郷 税理士法人では、不動産のプロのアルファステップが
ご相談にのります。是非、担当者にお声がけください。
(担当:税理士 宮村 百合子)