2021年1月15日
東京五輪と医療崩壊
村田光平(元駐スイス大使)
13日付英紙「The Gardian」は日本における新型コロナ感染の状況悪化を取り上げ、IOCの最古参委員のDick Pound氏の五輪開催の先行きを懸念する新たな立場に言及しております。
また、同紙は日本における感染者及び死者が諸外国に比べ格段と
少ない背景を「ファクターX」と称してきたことは「ファンタジー」に過ぎないと断じております。
コロナ患者が一万人近くも入院先が決まらない医療崩壊の現状は誠に深刻です。米国、欧州等で見られる惨状が日本とは無縁とは断言できなくなった雲行きです。
PCR検査の抜本的拡充が不可欠であることが漸く理解されだしたようです。PCR検査抑制は昨年2月のBach IOC会長の来日の際、五輪延期が決定した際の暗黙の了解であり、喧伝される「厚労省の頑迷な立場のせい」ではないとは大方の見方です。
コロナ禍危機が深まる中での東京五輪中止決定は、計り知れない影響を生むこと必定で、かねてより指摘されてきた危機管理体制を必要とする深刻な事態の現出です。
日本の潮目の変化をもたらしうるこうした状況の下での市民社会の役割に益々期待が寄せられます。
追伸 福島における放射能汚染の現状に関する著名な専門家Arnie Gundersen 氏から寄せられたメッセージです。