2021年3月2日
五輪は原発と表裏の関係にある
元駐スイス大使 村田光平
内外の良識ある市民社会は東京五輪は中止以外にはあり得ないと判断しております。
何が何でも開催という横車の押し方は下記の原発推進と完全に一致しており五輪は原発と表裏の関係にあることを改めて示しております。
生命軽視の不道徳そのものです。
歴史の法則はその結末を予見させております。
この度樋口英明元裁判長より新著「私が原発を止めた理由」(旬報社発行)をお送りいただきましたが、御礼のメッセージと所感を
お届けいたします。
本書で示された「原発の耐震性は一般住宅より低いという衝撃の事実」、及び「原発敷地に限っては強い地震は来ないという盲信に依拠した原発推進」の2点を理解し、了解すれば論議は不要になります。あとは横車を押しているのが原発推進の実態です。
原子力に関しては専門家よりも市民の直観の方が信頼できることが度重ねて立証されております。
原発に関しては市民社会が反原発の立場から、正しいことを申し入れても無視されるだけですが、不道徳の永続を許さない歴史の法則が唯一の慰めです。
現に最近実感される潮目の変化は将来の展望に希望を与えております。
(樋口元裁判長宛メッセージ)
樋口英明先生
御著書「私が原発を止めた理由」をお送りいただき誠に有難うございます。
この度の国と東電に損害賠償の支払いを命じた東京高裁の判決は日本の潮目が変わりつつあることを改めて感じさせております。
その源流は、とりわけ先生の福井地裁の大飯原発運転差止め訴訟判決に発するものであると確信いたします。同判決は社会全体が進むべき道を照らすものとして幅広く評価されたからです。
フクシマ事故は意図的に忘れられようとしておりますが、
内外の市民社会はこれを許しません。
原発事故は国富の喪失をもたらす安全保障問題であり、
世界に存在する440余基の原発の廃炉を急ぐべきであるというのが福島事故の教訓です。
日本で進められている脱原発の国際化が緊急の課題であることは
否定できません。
先生のご著作が日本でのこのような気運の醸成に大きく貢献することを期待してやみません。
村田光平
所感をお届けいたします。
3月25日の五輪聖火の出発日が緊急宣言の延長の期限(3月21日)に影響を及ぼしていることが看取されました。5日に報じられたThe Time 紙の「東京五輪を中止するときが到来」との記事は
反論の余地がありません。
昨年2月のBACHIOC会長の来日の際、日本での感染者発生数を減らすためPCR検査能力を低く抑える方針が決定されたとの巷間の噂の正しさは、検査拡大による変異株対策の欠如の現状が立証しております。これは必要不可欠なことであるはずです。
フクシマ事故収束への全力投球、さらには新型コロナ危機への全力投球を妨げている東京五輪の影響は深刻であり、緊急な対応が求められます。
五輪の商業主義についてはバイデン米大統領の「五輪出席については科学に基づいて判断する」との最近の発言が想起されます。
五輪改革論議が始まっておりますが、遂にその廃止まで国際機関で傑出した経済専門家として活躍した実績のある方が訴えだしているとの情報に接しました。
五輪中止に備えての危機管理が求められます。
皆様のご理解とご支援をお願い申し上げます。