福島放射性汚染水の地下貯蔵
令和3年3月25日
村田光平
(元駐スイス大使)
皆様
F1の原発建屋の崩落の可能性につき入口紀男熊本大学名誉教授にお願いしてご見解をお寄せいただきましたので共有させていただきます。 私が赤字を付した部分だけでも想像を絶する危険な可能性が指摘されております。
(入口紀男先生の見解)
【福島第一原子力発電所の原子炉は倒壊しやすい】
福島第一原子力発電所の敷地は、もともとは波打ちぎわをはるか下方に見下ろす高台でしたが、海水を取り込むために「海抜 12メートル」まで削って造成した土地です。低い土地にした理由は、原子炉はタービンの冷却水として
一基あたり「 1秒間に約 70トンの海水」が必要であるからです。したがって、この敷地は地下水脈も浅く、液状化して沼地になりやすい土地です。
大地震で原子炉建屋が、いつ沼地に浮く状態となってもおかしくありません。
原子炉が倒壊すると原子炉下部に溶け落ちたデブリ(核燃料がジルコニウムケースなどと一緒に溶け落ちたもの)が環境にそのまま出て来る恐れがあります。
それは東日本の国土が広範囲にわたって壊滅する時でしょう。
もう少し詳しく申し述べます。
1号機~ 3号機は、その中に合計 280トンのデブリが溶け落ちています。
これは厚さ10インチの圧力容器の鋼板をメルトスルーで(高熱で突き破って)落下したものです。
デブリがどこにどのように溶け落ちているかは誰にもわかりません。ただ、1号機~ 3号機は事故直前まで稼働していましたので、およそ半量の 140トンが未反応であろうと考えられます。その 140トンの未反応のデブリは、濃度と形状によっては、
あるとき周囲の水を中性子減速剤として核分裂連鎖反応を起こし得ます。すると熱エネルギーと同時に広島原爆約 7,000発分の
放射性物質(セシウム 137換算)が生成される可能性があります。その可能性はこれから 100万年間続くでしょう。
デブリの残り 140トンは使用済みであり、広島原爆約 7,000発分(セシウム137換算)の放射性物質をすでにもっています。
格納容器は厚さ1インチの鋼板でできていますが、メルトスルーのときに壊れた(環境と連通して内部が 1気圧となった)ことが分かっています。
デブリは格納容器の底を高熱で突き破っている恐れもあります。格納容器の下は数メートルのコンクリート基盤です。
格納容器が倒壊すると、デブリが環境に出て来る恐れがあります。デブリは、10メートルの至近距離に10秒間近づくと
人は死ぬでしょう。また、デブリは周囲に水があると、その形状によっては核分裂連鎖反応を起こさないとも限りません。
その連鎖反応を起こすと、風向きによっては膨大な量の放射性物質が東日本の国土の広範囲に飛び散る恐れがあります。
東京新聞は 3月20日の記事で大地震に対して福島第一原子力発電所のもつ建屋の劣化、ずれるタンクなどについていくつか指摘しているようです。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/92694
しかし、福島第一原子力発電所の真の脅威は、そのようなことより、前記しましたように、敷地が沼地化し、原子炉が倒壊して「恐怖の大気開放炉」(open-air super reactor spectacular)となりかねないことでしょう。
そのことは、すでに 2013年8月7日に、欧州放射線リスク委員会のクリス・バズビー(Christopher Busby)がRTの記事で「彼らにできることは、溶け落ちたデブリが核分裂の速度を上げないように、海水を注入し続けることだ。
そして祈るしかない。しかし、やがて水は池を埋め尽くし、その水は湿地帯を作り、原子炉建屋の基礎を不安定にし、崩壊して
冷却ができなくなる。そして「恐怖の大気開放炉」。このようなことは十分に予測できる」と指摘していることです。
https://www.rt.com/op-ed/tepco-fukushima-sea-water-reactor-194/
—–Original Message—–
Sent: Wednesday, March 24, 2021 7:04 PM
入口紀夫先生
F1の原発建屋の崩落の可能性に関する下記発信が注目されております。
先生のコメントを頂ければ幸甚に存じます。
村田光平