┌┬───────────────────────────2021年3月
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│└┼┐ 資産家のための資産税ニュース 第111号
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└──┴┴────── 辻・本郷 税理士法人 www.ht-tax.or.jp/
辻・本郷 税理士法人の資産税の専門家が
相続・贈与税、資産にかかわる最新の情報をお届けする
「資産家のための資産税ニュース」 毎月15日配信です。
(※15日が休日の際は、前営業日に配信いたします)
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■□ 国外財産保有者も都市集中 ■□
~そして厳しい税務調査も~
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国外に5,000万円超の財産を保有している方は、税務署に「国外財産調書」の
提出が義務付けられており、国税庁が毎年その提出状況を公表しています。
【1.令和元年分は10,652人が提出(総財産額4兆2,554億円)】
まだまだ未提出者も多いのではとも言われておりますが、前年に比べ691人
増加し、初めて1万人を突破しました。超富裕層への偏りも想定されますが、
単純平均で一人当たり約4億円です。
【2.提出者の約64%は東京局管内】
東京・神奈川・千葉・山梨を所轄する東京国税局管内の提出者が圧倒的に多く、
金額ベースでも約73%を占めています。ここに大阪国税局・名古屋国税局を
加えると、総額の92%が東名阪の3局に集中している状態です。
【3.475件にペナルティ】
令和元事務年度の所得税の税務調査において、「国外財産調書の提出がない」
「提出はしているけど該当財産の記載がない」という理由で、475件について
過少申告加算税等の加重措置(+5%の加重)が行われています。
前年は245件でしたので倍増しており、国外財産への調査強化の動きが見て
取れます。
【4.令和2年度改正】
過少申告加算税等の加重措置は、令和2年4月1日以後に相続取得した国外財産に係る相続税についても適用対象となり、一定事由に該当する場合の加重割合も、5%から10%へ変更されています。
【5.調書未提出で告発事案も】
国外財産調書の提出は「内国税の適正な課税の確保を図るための海外送金等に係る調書の提出等に関する法律」で定められており、未提出や虚偽記載の場合
には「1年以下の懲役又は50万円以下の罰金」という罰則規定もあります。
令和元年には、国外預金に係る国外財産調書不提出犯として、大阪国税局の
査察調査で全国初の告発も行われており、今後も国外財産に係る申告漏れに
対しては、課税当局の厳しい目が向けられることになりそうです。
(担当:税理士 鈴木 淳)