奥 義久の映画鑑賞記
2021年3月
*私自身の評価を☆にしました。☆5つが満点です。(★は☆の1/2)
2021/03/05「野球少女」☆☆☆
大ヒットドラマ「梨泰院クラス」でブレークした韓国の若手スター イ・ジュヨンが天才野球少女スインに扮し、プロ野球選手を目指す物語。130K以上を投げる女子ピッチャーは珍しいが、男子のピッチャーは145K~160Kを投げる。このスピード差の克服と厳しいトレーニングで夢はつかめるのか?理屈抜きで楽しめるスポコンドラマ。
2021/03/06「あのこは貴族」☆☆☆
山内マリコの同名小説の映画化。都会の異なる環境を生きる二人の女性が自らの意志で人生を切り開く姿を描いている。箱入り娘の華子に門脇麦、大学中退で夜の世界の経験もある社会人女性に水原希子。二人の人生に関わるハンサムな弁護士役を高良健吾が演じている。二人の女性の生きざまが人生応援のメッセージと感じる。
2021/03/07「太陽は動かない」☆☆☆★
人気作家吉田修一の原作をWOWOWでドラマ化し、「海猿」の監督羽住英一郎がスケールアップして映画化。主人公の鷹野(藤原竜也)は秘密組織AN通信に所属する情報員で、パートナー田岡(竹内涼真)とともに次世代エネルギーの支配を企む組織の野望を砕くため活動している。AN通信の情報員は24時間毎に定時連絡をしないと体に埋め込まれた小型爆弾が爆発するよう仕掛けられている。死のリスクをもちながら、香港、ブルガリアと世界をまたにかけて活躍する。洋画なみのスケールで見ごたえのある作品。和製版007と言える。
「ステージ・マザー」☆☆☆★
テキサスの田舎町に住む主婦メイベリンは家出した息子の死を知り、夫の反対を押し切りサンフランシスコに向かう。そこで知った現実にショックを受けながらも息子の経営していたゲイバーの再建に立ち向かう。メイベリン役のジャッキー・ウィヴァーの好演とショーの面白さで楽しめる作品といえる。
2021/03/11「ガンズ・アキンボ」☆☆☆
「ハリーポッター」シリーズの主人公から個性派俳優に転進したダニエル・ラドクリフの最新作。今回は気弱なプログラマー・マイルズ役だが、日頃のうっぷん晴らしにSNSに過激な書き込みをしている。ところが、書き込まれた相手から両手に拳銃を固定され、主催するデスゲームに強制参加させられる。最高の殺し屋ニックスと対戦させられ何とか逃げ回っていたが、組織は彼女を人質に取り24時間以内に倒さなければ彼女を殺すと脅迫する。絶対絶命のマイルズの反撃は?奇想天外なB級アクション映画、一気読みの漫画のような面白さが好きな方にお勧めの作品。
2020/03/14「すくってごらん」☆☆☆
「半沢直樹」のIT社長役で人気スターの仲間入りした歌舞伎俳優・尾上松也の映画初主演作。エリート銀行員が左遷されて来た田舎町で悩み、苦しみながらも人々とのふれあいから人間性を取り戻していく姿をミュージカル仕立てで作りあげた作品。
「ブレイブ 群青戦記」☆☆☆★
スポーツ強豪校星徳学院の学校が丸ごとタイムスリップする。時は戦国時代の桶狭間の戦い前夜。織田軍の丸根砦に捕らわれた仲間を救うため、松平元康の力を借りて弓道部、剣道部、野球部、アメフト部がトップアスリートの力と意地で立ち向かう。主役の弓道の達人を演じるのは、新田真剣佑、弓道部の同級生に山崎紘菜、アスリート軍団のリーダーに鈴木伸之、戦国武将役は織田信長に松山ケンイチ、松平元康に三浦春馬が演じている。邦画にしてはアクションシーンの見ごたえもある。
2021/03/15「アウトポスト」☆☆☆
本作品は2009年10月3日にキーティング基地で起きたタリバンとの激闘の実話である。キーティング基地はアフガニスタン北部にあり、四方を険しい山に囲まれた谷底にある。敵に包囲されると恰好の標的になる。この悪条件の前線基地を守った兵士たちにスコット・イーストウッドとケイレフ・ランドリー・ジョーンズが扮している。スコットはクリント・イーストウッドの息子だが、親の七光りでなく大作の主演が相次ぎ実力が認められてきている。本作での熱演も評価されている。
2021/03/16「ビバリウム」☆☆☆
マイホームを求めて見学した住宅地は出口のない迷宮だった。マイホームの夢が悪夢と変わる異色スリラーはスリラー作家の巨匠スティーブン・キングが絶賛した。この脱出不可能な迷宮で次第に若いカップルの精神が壊れていく難役は、ジェシー・アイゼンバークとイモージェン・プーツが演じている。プーツは本作でシッチェズカタロニア国際映画祭の最優秀女優賞を獲得している。
2021/03/18「ラスト・フル・メジャー知らざる英雄の真実」☆☆☆★
1966年のベトナム戦争下で負傷兵を救い、自らは銃弾に倒れたピッツェンバーガーは戦友タリーたちが名誉勲章を申請するが却下されてしまう。ペンタゴン空軍省のハフマンは30年以上も請願されている調査を命ぜられる。実話に基づく感動の戦争秘話は主人公のハフマンをセバスチャン・スタンが演じるが、調査対象の軍人たちの顔ぶれが凄い。ウィリアム・ハート、サミュエル・L・ジャクソン、エド・ハリス、遺作となったピーター・フォンダ、そしてピッツェンバーガーの父親役でクリストファー・プラマーが出演している。この顔ぶれを見るだけでも価値がある作品。
2021/03/20「ミナリ」☆☆☆☆
アメリカ・アーカンソー州に移住した韓国人家族の物語。農業で成功を夢見る夫に振り回される妻と子供たち、妻の母親が韓国から来て、予想もしない展開になっていく。昨年の「パラサイト」と比較すると地味なドラマだが、たんたんと語られる家族のドラマにはリアリティがあり、辛口批評サイトのロッテントマトも100点満点をつけている。個人的には好きな作品ではない。
2021/03/21「春江水暖」☆☆☆★
杭州市富陽区に住む大家族の四季を描く。母の誕生日の祝宴に母親が脳卒中で倒れる。長男が引き取る事になるが、妻は気に入らない。店の資金繰りが大変なところに義母の面倒は見たくないというのが本音。娘を有力者の息子に嫁がせようと考えるが、娘のグッシーは貧乏な教員と付き合っている。二男夫婦は漁をして生計を立てている。再開発の立ち退き問題で悩んでいる。三男は借金で首がまわらない。末っ子は結婚をして母親を安心させたいと考え、見合いをする。これらの家族の物語が絡み合う1年間を描いた秀作。エンドロールに巻一とあるので、続編があるようで期待したい。
2021/03/22「ワン・モア・ライフ」☆☆☆
交通事故で死亡したパオロは天国の入口で92分の寿命の計算ミスが発覚して地上に戻り、92分間の人生が延長された。身勝手だった人生を改めて、家族の絆を取り戻すため一念発起する。ダメ中年のパオロ役にピエール・フランチェスコ・ディリベルトが扮し、美しいシチリア島のパレルモを舞台にした軽妙なイタリアン・コメディが誕生した。
2021/03/27「騙し絵の牙」☆☆☆★
ミステリー小説「罪の声」の作家・塩田武士が俳優大泉洋をモデルに描いた小説の映画化。物語は大手出版社「薫風社」の創業社長死亡による派閥争いと改革の中で騙し合いバトル仕掛け、雑誌“トリニティ”の生き残りを模索する編集長・速水輝を主人公にしており、そのボスで改革派の新社長を佐藤浩市、ライバルの専務に佐野史郎、専務派の“小説薫風”編集長に木村佳乃、薫風からトリニティに移籍する編集者に松岡菜優、他に國村準、斎藤工、中村倫也等の新旧人気スターが主演している楽しめる作品に仕上がっている。
2021/03/28「ノマドランド」☆☆☆☆★
ベネチア国際映画祭の金獅子賞とトロント国際映画祭の観客賞を受賞した本年度アカデミー賞の大本命作。
長年住み慣れた住居を失い、キャンピングカーの生活で季節労働の現場を渡り歩く中年女性の生きざまを描く。主人公ファーンは現代の遊牧民(ノマド)の生活をしている。多くのノマド仲間との交流をしながら一生懸命生きる姿を実在のノマドも織り交ぜながら物語を進行させるフィクション+ドキュメンタリーの新しい表現で描いた秀作である。「スリー・ビルボード」で2度目のオスカーを手にしたフランシス・マクドーマンドが3度目のオスカーが狙える好演を観せている。
「劇場版、奥様は取扱い注意」☆☆☆
エリート公安警察の夫と元特殊工作員の妻が活躍するTVドラマの劇場版。TVドラマに比較するとスケールアップして、理屈抜き楽しめる作品だが、同じようなTVから映画の「太陽は動かない」と比べるとスケール感で1枚も2枚も落ちている。主人公は綾瀬はるかと西島秀俊がTV同様演じている。
2021/03/30「レンブラントは誰の手に」☆☆☆★
レンブラントの新たな作品発見と売りにでたレンブラントの2枚の作品を巡り、オランダとフランスの美術館の購入騒動の二つを物語の軸としている。レンブラントの作品を愛する人々の証言を交えながら、特に前者の新発見はミステリー映画を見ているような興味深いドキュメンタリー作品に仕上がっている
2021/03/31「モンスター・ハンター」☆☆☆★
全世界でメガヒットしたゲームを「バイオハザード」シリーズの監督と主演のミラ・ジョヴォヴィッチで実写化。ミラ扮するアルテミス大尉率いる小隊が突然の砂嵐に巻き込まれ