┌┬───────────────────────────2021年5月
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│└┼┐ 資産家のための資産税ニュース 第113号
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└──┴┴────── 辻・本郷 税理士法人 www.ht-tax.or.jp/
辻・本郷 税理士法人の資産税の専門家が
相続・贈与税、資産にかかわる最新の情報をお届けする
「資産家のための資産税ニュース」 毎月15日配信です。
(※15日が休日の際は、前営業日に配信いたします)
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■□ 奇跡の水 1億3千万円なり! ■□
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【1.相続前の現金引き出し】
相続開始前に1億3千万円が引き出され、500mlの水1本を病気治癒のために
購入したとして、争いになった事例がありました。
相続人は、相続開始1日前に水を購入したので、相続開始時にはその現金は
なかったとして、1億3千万円の現金を相続財産として計上せずに申告書を提出しました。しかし、その1年後に調査が行われて、問題となりました。
ペットボトルの水1本を1億3千万円で購入!・・・そんなことがあり得るの? という事案です。
【2.見知らぬ男性から水を購入?】
亡くなったご主人は歯科の開業医で、重い病気を患っていました。
亡くなる1週間前に、長女と妻の3人で車で銀行に行き1億2千万円を現金で
おろしました。さらに別の銀行に行き、ご主人一人で1千万円をおろしました。
合計1億3千万円です。
そして相続開始の前日10時頃には、確かに現金1億3千万円は存在しました。
しかし、「その日の11時頃に見知らぬ男性から、『病に効く奇跡の水』を
1億3千万円で購入したので現金はない」と主張しました。
「どこの誰から購入したのか? 売買契約書は? 領収書等は?そのペットボトルはどこに?」との調査官の質問には、以下のように回答しました。
相続人の回答:「その男性の住所・氏名・電話番号もわからない。」
相続人の回答:「その売買契約書も、領収書等もない。
そのペットボトルは捨ててしまった。」
相続人である娘の申述:「母がお金を払ったのは事実です。
そのお金を取り返せるものなら今すぐお金を返して欲しい。」
しかし、詐欺ということで警察に届け出ていませんでした。
国税不服審判所は、その申述に信ぴょう性がないというということで、
相続開始時には現金は存在したと判断しました。
【3.あまりにも常識外の主張をすると】
この、現金を費消していないにもかかわらず現金の記載のない遺産分割
協議書を作成(偽造?)し、税理士にその現金を除外した相続税申告書を
作成(偽造?)させた。さらに税務調査の時にも、調査官に「水の購入のために
その現金を費消した」と申述をし(偽証?)、真実の課税財産を隠ぺいする態度を
できる限り貫こうとした。これらの一連の行為は、外部から伺いえる特段の
行為に該当するということで、重加算税がかけられてしまいました。
配偶者の税額軽減も使えずに、まさに踏んだり蹴ったりの結論になって
しまいました。
(担当:税理士 木村 信夫)
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