未必の故意(五輪と原発)
令和3年6月24日
村田光平
(元駐スイス大使)
皆様
東京五輪の迷走は遂に急速な五輪廃止論の世界的広がりをもたらすに至っております。
6月23日18時、過労で検査入院をした小池百合子都知事不在の東京都庁(新宿区)に過去最大規模のデモ隊が集結しました。今回のデモは日本の反五輪団体だけでなく、
次期開催都市のパリやロサンゼルスなどと連帯し世界同時多発デモとなっているとのことです。(AERA dot.)
来日五輪関係者が感染した場合の対応振りの不手際は市民社会の直観が予見したものです。
五輪が国民の反対を無視して開催して感染の拡大を招く
蓋然性が高いことは否定できません。
ここで、原発との類似性が想起されます。東京五輪が未必の故意による犯罪を構成すると指摘される可能性です。
感染拡大を望まないにせよその結果を招く可能性がインド型変異株感染の急速な拡大により確実に強まりつつあるからです。
市民社会はかくも大義名分を失った不道徳東京五輪は開始前に頓挫すると確信しております。
皆様のご理解とご支援をお願い申し上げます。
落語家の立川談四楼さんは次のように、ツイートしています。
「G7後のイギリスはコーンウォールの新規感染者が2450%に急上昇した。
厳戒態勢で臨んだはずなのこの数字で、誰もが震え上がったという。
サミットには悪いが、東京五輪に蝟集する人数は桁が違う。規模が違う。
にも関わらず、開催は最低1万人の観客で強行される。
彼らを狂気が支配しているとしか思えない」
24日の「羽鳥慎一モーニングショー」で田坂元内閣官房参与は極めて傾聴に値する下記の提言を行いました。
①専門家組織には政府から独立した強い「勧告」を行う
権限を与えるべきである。
② 政府が「勧告」と異なる方針を決める時は「理由」を
明確に説明すべきである。
③ 政府が決めた方針で生じる問題には政府が「責任」を
持つべきである。
この提言が生かされることになれば先般の英国でのG7サミットで東京五輪開催の支持を取り付け、尾身茂分科会会長による五輪中止の進言の道を閉ざすようなことは防げたはずです。
バイデン米大統領が去る2月の電話会談で菅総理に対して米国の五輪出席は科学に基づいて判断すると伝えた趣旨は生かされなかったことになり、大いに問題です。
この番組で紹介された橋本組織委会長の「尾身会長は中止の発言をしなかった」との指摘はこのような経緯を無視するものであることが指摘されました。
インド型変異株感染の急速な拡大ぶりが本日も確認されました。
中断の可能性も認められない五輪が開始されればその
罪深さは容易に想像できます。
未必の故意の法的要件が満たされるとの判断への道が開かれることにもなり得ましょう。
皆様のご理解とご支援をお願い申し上げます。