菅 義偉内閣総理大臣殿
令和3年7月2日
村田光平
(元駐スイス大使)
拝啓
貴総理の日夜のご健闘に心から声援を送らせていただきます。
東京五輪問題が最終段階を迎えたこの際、この問題の穏当な解決を願う立場から市民社会の問題意識を取りまとめさせていただきます。
欧州では万人単位の感染者を生んだインド・デルタ株の脅威が日本を襲おうとしております。この状況下で緊急事態宣言を避けようとしていると受け止められることは統治能力の欠如と批判されかねません。
他方、市民社会が注目する「未必の故意」、その成立による「国家の犯罪」の問題提起が現実化する可能性が排除されない状況が現出しつつあります。最近のWHOのロドリゲス事務局長の警告発出は無視できません。
丸川大臣が5者会議で中止も含めて対応ぶりを議論するとの発言があったにもかかわらず、いつのまにか「無観客」論だけにすり替わっていることは問題視されております。
中止以外の選択は無用な準備作業を増やすだけだということが実感されだしました。濃厚接触者対策のみを取り上げてもこの期に及んで完全を期すことは不可能であることが認識されるに至りました。
次回の五者協議では現地から反対の声が上がっているIOC幹部の広島、長崎訪問の問題を含め、日本の毅然とした対応が求められております。
下記は知人から寄せられた率直なメッセージです。
「情けないですね。バッハ氏やコーツ氏にどうして毅然とした態度が取れないのでしょうか!」
貴総理のご一存にかかる五輪開催中止の決定を心からお願い申し上げます。
敬具