BIS論壇No.352『続日本衰退論』中川十郎 21年9月23日
首記に関し、これまで、『リープフロッグ』(野口悠紀雄著)、『ファクトで読むー米中新冷戦とアフターコロナ』(近藤大介著)、『中国VS.世界』(安田峰俊著)、『2030⃣年ビジネスの未来地図』(THE21編集部)など活用し、日本はこのままでは衰退するとの「日本衰退論」を論じてきた。
今回は『貧乏国ニッポン』(加谷珪一著)、『アメリカは中国に負ける~日本はどう生きるのか』(孫崎 享著)、『10大民族で読み解く世界史の興亡』(宮崎正勝著)なども参考にしつつ、「続・日本衰退論」を論じたい。
孫崎 享氏は「2010年に中国は1968年以来42年間世界第2位を保持してきた日本を抜き去り、世界第二位のGDP大国になった。後世、歴史家は2010年を東アジアでの大転換の象徴的年とみなすだろう」、「中国がGDPで日本を抜いたという現象は世界二位の経済大国をめぐる戦いに終わらない。中国が米国を追い抜く序章でもある」と予見しておられる。
中国は2030年前後に米国を追い抜き、さらにインドが日本を追い抜くだろうと予測される。そうなるとGDP一位中国、二位、米国、三位、インド、四位、日本となる。
日本では平成の30年間、賃金が上がっておらず、逆に、さがっている状態だ。日本での初任給は20万円程度が普通だ。グーグルやアップルの新入社員の年収は1500万円以上。一般的な米国企業の大卒初任年収は500~600万円が普通だ。日本と比較し2倍以上の開きがある。中国ファーウエイ日本法人の大卒初任給は40万円と日本企業の2倍近くで話題になった。(貧乏国ニッポン21ページ)
スイスのIMDの調査によると世界競争力ランキングで日本は1990年代初期にランキング1位だった。だが、2003年に27位に低下。2019年にはさらに30位に後退。2019年には1位シンガポール、2位香港、3位米国、4位スイス、中国14位、台湾16位、ドイツ17位、マレーシア22位、タイ25位、韓国28位よりも、日本は30位と下位にランク。インドネシアが32位で日本を追い上げているという情けない状況である。
中国とロシアが主導するSCO(上海協力機構)にはタジキスタン、キルギス、カザフスタン、ウスべキスタンに加え、西アジアの雄、インド、パキスタンが加盟。9月の会議でイランも参加が検討されている。中国はRCEP(東アジア地域包括的経済連携)15か国の締結に続き、
このほど11か国のTPP(環太平洋連携)への加盟も申請。一帯一路戦略に加え、アジア太平洋への進出も努力している。近未来に世界第一のGDP国になる中国との経済分野での協力を強化し、日本衰退に歯止めをかける戦略を日本は真剣に考究すべきではないか。