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        BIS論壇 No.358『データエコノミー時代の到来』中川十郎

        ポストコロナ時代にはグリーン革命、デジタルトランスフォーメーション、さらに新たなビッグデータ、データエコノミー時代が到来する。人口減少、GDP(国民総生産)減少に拍車がかかる日本はいかなる戦略で2030年代に向けて国家戦略を打ち出すべきか。 2030年までに中国はGDPで米国を抜き、インドが日本を抜くとの見方が現実味を帯びつつある。

        日本は製造業中心の経団連などがいまだに力を有しているが、世の中はIT革命時代を迎えている。1970年代にPCが登場。80年代にはPCが普及。90年代にはインターネットが普及。2000年代になると携帯電話がインターネットと融合。スマートフォンが登場。2007年にはiPhoneの発売が開始され、IT革命が急速に進展した。

        中国は固定電話や大型コンピュータの時代を飛び越え、インターネットとスマートフォン時代に突入。さらに中国は5G(第5世代移動通信スステム)を2019年11月に北京や上海など国内50都市で商業サービスを開始。これは世界最大の5Gネットワークになるとみられている。これに対し、製造業に固執している日本では固定電話を所有している世帯の比率は64.5%といまだに過半数を占めており、5G時代に乗り遅れつつある。

        情報化時代、情報サービスを提供する米国のGAFAM(Google, Apple, Face Book, Amazon, Microsoft)や中国のBAT(百度バイドウ、アリババ、テンセント)などのプラットフォーム情報企業には膨大な量のビッグデータが集まり、これが新たな大きな商権となっている。

        今日データを制する者が世界を制しつつある。米国や中国の巨大IT企業がビッグデータを基盤としたビジネスモデルを構築し、ビッグデータ時代を制覇しつつある。工場や機械、店舗などの物的資本ではなく、データが経済価値を生み出す新たな「データ資本主義」「データエコノミー時代」が到来しつつあることを強く認識する必要がある。

        経済学者の野口悠紀雄氏は『日本はこれまで、ビッグデータの活用に立ち遅れた。日本経済衰退の根本的原因は、工場や店舗でなく、データが基本的資本となる「データ資本主義」に対応できなかったことだ。』「データエコノミ―入門」(PHP新書)と指摘されているが筆者も全く同感である。『データ資本主義』はわれわれの想像を超えて加速化している。

        「米国のGoogleと Face Bookの二社で東証一部上場企業の時価総額の4割を超えている。

        今後10年間で両社の株価が8.6倍、日経平均株価が3.2倍になると仮定すると10年後には両社の時価総額だけで、東証一部上場企業2190社の時価総額を上回るだろう」と上記野口教授は驚くべき試算をしておられる。(上掲書20ページ)

        一方、ユニークな情報分析で定評のある堤 未果氏は近著『デジタル・ファシズム』~日本の資産と主権が消える。街も給与も教育も米中の支配下に!(NHK出版新書)で、鳴り物入

        りで設立されたデジタル庁について「今世紀最大級の巨大な権力と利権の館。それがデジタル庁だ」(32ぺージ)と批判し、個人情報、政府の国家機密情報を扱う政府にとって最優先事項はまずセキュリテイだ」と警告しておられる。十二分に味読すべき忠告だ。    以上

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