┏━2021年11月━━
┃■■■ ■
┃■■ 国際資産税ニュース 創刊号 ■■
┃■ ■■■
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 辻・本郷 税理士法人
海外資産保有の皆様
この度、辻・本郷 税理士法人では、新メールマガジン
『国際資産税ニュース』を創刊いたしました。
相続財産が海外にある場合どうすれば良いのか?
その際に、どんな点に気を付ければ良いのか?
相続人が非居住者だったら?被相続人が外国籍だったら?
・・・そんな疑問の解決に役立つ情報を提供していきます。
このメルマガをご覧いただき、安心でスムーズな相続を実現していきましょう。
※当メルマガは毎月1回、最終週に配信いたします。
※初回は「資産家のための資産税ニュース」メルマガ読者の
皆様にお送りしております。
□-□-□-□-□-□-□-□-□-□-□-□-□-□-□-□-□-■
ジョイント・テナンシーの課税関係
~夫婦で購入したハワイのコンドミニアム~
□-□-□-□-□-□-□-□-□-□-□-□-□-□-□-□-□-■
【1】概要
夫婦がジョイント・テナンシーという形態で不動産を所有した場合、
一緒にその不動産を100%所有することになります。夫が亡くなると、サバイバーシップ
(生存者への権利帰属)の原則に基づき、残された所有者である妻に自動的に権利が移ります。
例えば、遺言で「その不動産は長男に相続させる」と書いてあっても、
ジョイント・テナンシーが組まれている不動産は相続財産にはあたらないので、必ず妻が引き継ぐことになります。
夫が日本人の場合の準拠法は日本法となり、民法が適用されることになりますが、不動産については財産所在地のハワイ州の法令が優先され、ジョイント・テナンシーについての夫の権利は相続人間で協議することなく妻に移ることになります。英米法系の国に財産を所有する場合、プロベートという裁判所手続きの対象となる可能性が高いですが、ジョイント・テナンシーはプロベートを回避する策としても有効です。
【2】購入時
日本居住者である夫婦がハワイでジョイント・テナンシーを組んでコンドミニアムを購入する際に、夫が全額資金負担をしたことにより、2分の1相当について妻にみなし贈与として課税された事例があります(名古屋地裁平成29年10月19日判決)。現地の不動産屋のアドバイスでジョイント・テナンシーを組んだようですが、日本の贈与税については説明を受けていなかったようです。
【3】売却時
仮に何十年も前に夫婦名義で購入し、贈与税は時効になっている場合でも
売却時にはそれぞれ譲渡申告をする必要があり、売却代金はそれぞれの名義人に帰属します。
日本人がハワイの不動産を売却した場合には、ハワイ州と連邦に源泉所得税を支払う必要があります。また、譲渡益が発生する場合には米国と日本の譲渡申告も必要となりますが、外国税額控除の適用を受けることにより二重課税を回避することができます。
【4】相続時
では売却せずに【1】のように夫の相続を迎えた場合、相続税の課税対象となるのでしょうか。答えは被相続人の死亡による権利の増加は、対価を支払わないで利益を受けた場合に該当するため、夫の権利相当額について妻が贈与により取得したものとみなされることになり(相法9)、夫から相続又は遺贈により財産を取得した場合には生前贈与加算により相続税の課税対象となります。
ハワイにコンドミニアムをお持ちの方は、ご自身がどのような所有形態をしているか一度確認されることをお勧めします。
(担当 島田 亮子)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■辻・本郷 税理士法人 www.ht-tax.or.jp/
■本メールマガジンに関するお問合せ先
発行責任者:木村 信夫
MAIL:global-tax-pt@ht-tax.or.jp
受付:辻・本郷 税理士法人 国際資産税PT
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━