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        奥 義久の映画鑑賞記

        2022年1月

         

        *私自身の評価を☆にしました。☆5つが満点です。(★は☆の1/2)

         

        2022/01/08「マークスマン」☆☆☆

        演技派アクションスターの評価が高いリーアム・ニーソンの最新作。元狙撃兵のジムはメキシコ国境付近で牧場を営んでいた。1年前の最愛の妻を亡くしたジムは、ある日メキシコの麻薬カルテルから逃走してきた母子を助けるが、母親は銃弾に倒れ息子ミゲルをシカゴの親戚まで送り届けてくれと懇願して息を引き取る。ジムも銃撃の時にボスの弟を撃ってしまい二人の逃避行が始まる。リーアムも60を超し、派手なアクションは出来ないが、円熟味のある演技を見せている。

         

        2020/01/10「スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム」☆☆☆★

        トム・ホランドのスパイダーマン“ホーム”シリーズの完結編。スパイダーマンの正体がピーター・パーカーと知られ、そのうえ、他の世界から強敵の悪魔たちを呼び寄せてしまう。ピーターは如何にしてこの難局を乗り越えるか。マーベル・スタジオが送る超大作エンターテインメント大作は、観るものの期待を裏切らない面白さである。本作ではベネディクト・カンバーバッチ扮するドクター・ストレンジも重要な役で出演している。その他のレギュラー陣ゼンデイヤ、ジョン・ファウロー、ジェイコブ・バタロン、マリサ・トメイらも顔を揃えているが、他の世界からの応援者として歴代のスパイダーマン俳優がゲスト出演している。

         

        2020/01/15「クライ・マッチョ」☆☆☆☆★

        クリント・イーストウッド監督50周年記念作品。監督作も40作目という節目の作品である。イーストウッドが本作で描くのは老カウボーイと少年の“人生”であり、真の強さ(マッチョ)とは何かを問いかけている。冒頭に森の中を走る車のシーンがあるが、まさしく馬を駆るシーンを連想させ、流れるカントリー・ウエスタンの効果も抜群で西部劇を思わせるのは、イーストウッド作品の集大成であり原点復帰なのだ。新年早々に素晴らしい作品にめぐり会えたことは嬉しい限りと言える。

         

        コンフィデンスマンJP 英雄編」☆☆☆★

        英雄と言われた詐欺師の三代目ツチノコが亡くなった。弟子のダー子、ボクちゃん、リチャードの騙しあいバトルが始まる。今回の舞台は何と世界遺産のマルタ島。レギュラー陣の長澤まさみ、東出昌大、小日向文世、小出伸也、江口洋介、広末涼子らに加えて松重豊、瀬戸康史、角野卓造、高島政宏らが参加。騙しあいバトルの勝者は?内容は語らなくても家族揃って楽しめる作品です。

         

        2022/01/16「スティルウォーター」☆☆☆★

        「スポットライト 世紀のスクープ」でアカデミー賞作品賞と自身の脚本賞を受賞したトム・マッカンシー監督が構想10年をかけて作りたかったと言っている作品。舞台はフランスの港町マルセイユ。愛娘の無実を信じ、僅かな情報を頼りに真犯人を探す父親の姿を描いている。主人公ビルを演じるのは、ジェイソン・ボーンシリーズで人気スターとなったマット・デイモン。今回演じるビルは平凡な労働者でジェイソンのような特殊な能力を持っているわけではない。娘からも期待されないダメ親父が贖罪と人生を取り戻す姿をデイモンが淡々と演じ新境地を見せている。娘のアリソン役は「リトル・ミス・サンシャイン」で高評価をされたアビゲイル・ブレスリン、他にビルを支える親子でカミーユ・コッタンとリル・シャウバウが共演している。リルは初主演と思えぬ新人子役で今後を期待したい。最後の驚愕の真実を含め、地味だが良く出来上がった作品である。

         

        ハウス・オブ・グッチ」☆☆☆☆

        巨匠リドリー・スコット監督が華麗なる一族グッチの崩壊の実話を描いた作品。フィレンツェの名門グッチの後継者マウリツィオはあるパーティーでパトリツィアと知り合い結婚する。野心家のパトリツィアの才覚でマウリツィオはグッチの頂点に立つが、マウリツィオの心はパトリツィアから離れていく。パトリツィアを演じるのはレディ・ガガ、マウリツィオにアダム・ドライバー、父親役はジェレミー・アイアンズ、伯父アルドにアル・パチーノ、従兄弟パオロにジャレッド・レト等のアカデミー賞受賞者とノミネート者という演技派のスターたちが揃って見ごたえのあるドラマを作り上げている。

         

        2021/01/20「ヴォイス・オブ・ラブ」☆☆☆★

        世界NO1と言われる人気歌手セリーヌ・ディオンの半生を描いた作品。現在も活躍中のセリーヌに敬意を表して映画の主人公はアリーヌとしている。親子ほど年の違うプロデューサーとの純愛を含め、12歳のデビューから今なお健在の大スターの半生を忠実に再現したのは、ヴァレリー・ルメルシエ。監督・脚本・主演の一人三役をこなしている。ヴァレリーのセリーヌに対するリスペクトが本作の成功の要因である。また、アリーヌの歌声はフランスの人気歌手ヴィクトリア・シオが担当し、見事なな歌唱力も本作を成功に導いた一因といえる。

         

        2021/01/21「Coda あいのうた」☆☆☆☆★

        サンダンス映画祭史上最多4冠に輝き、アカデミー賞の有力候補といえる傑作。主人公の高校生ルビーは歌うことが大好きで合唱部に入っている。彼女の両親と兄は聾啞者のため、仕事や日常生活では通訳をしている。歌の才能に気づいた合唱部の顧問は、バークリー音楽大学に推薦するが、ルビーは家族のため夢をあきらめようと考える。ルビー役大ヒットTVドラマ「ロック&キー」でブレイクしたエミリア・ジョーンズ、家族役の3人は実際に耳の聞こえない俳優たちが演じている。素晴らしい作品である。

        2022/01/23「ライダーズ・オブ・ジャスティス」☆☆☆☆

        デンマーク・アカデミー賞15部門ノミネート4冠受賞という傑作アクション映画。本作で主演マッツ・ミケルセンがアナス・トマス・イェンセン監督と5度目のタッグを組む。同じマッツ主演のアカデミー国際長編映画賞を受賞した「アナザーラウンド」を超え、2020年度オープニング成績TOPを記録したのも、マッツ+イェンセンの効果と思える。マッツ扮する軍人マークスは妻が列車事故で亡くなった聞き帰国する。妻の死がギャング抗争の巻き添えと知らされ犯罪組織“ライダーズ・オブ・ジャスティス”への復讐を決意する。ラストの一ひねりと親子の愛情、さらには列車に乗り合わせた統計学者の協力を得た復讐戦等々、見せ場たっぷりのアクション・エンターテインメントに仕上がっている。

         

        2022/01/25「シルクロード.COM」☆☆☆

        天才的頭脳を持つロスは現状に不満を持ち、表では買えない違法物の売買の闇サイトを立ち上げる。“シルクロード”と名付けられたサイトは熱狂的な支持をされ、ロスも栄華を極めるが派手な動きで警察にマークされる。SNS時代の犯罪を描いたユニークな作品。ロスに近づく刑事がアナログの熱血漢という設定も面白い。ダブル主演のロス役にニック・ロビンソン、刑事役にジェイソン・クラークが扮している。

         

        2022/01/27「ブラックボックス 音声分析捜査」☆☆☆★

        最新型航空機が墜落して乗客全員が死亡する。ボイスレコーダーに残された音声を分析して事故の原因を追究する分析官の活躍を描いた作品。「イヴ・サンローラン」でセザール賞を獲得したピエール・ニネが分析官マチューを演じている。その妻で事件の鍵を握るノエミにルー・ドゥ・ラージュ、調査局の責任者にフランス映画界の重鎮アンドレ・デュソリエが扮している。フランスで100万人突破の大ヒット作だけに緊迫した上質なサスペンス映画に仕上がっている。

        2022/01/30「前科者」☆☆☆☆

        前科者の更生・社会復帰に力を尽くす女性保護司を描いた作品。主人公の阿川佳代は保護司になって3年だが、心から寄り添い更生した人々からも好かれていた。今、担当している殺人犯の工藤も保護観察期間満了が近づき、仕事先の正社員採用も決まっていたが、突然と姿を消してしまった。警察は工藤を連続殺人犯の容疑者として追いかけ、佳代も真相を求めて奮闘する。主人公・阿川佳代には有村架純が扮し、新境地を見せている。工藤に森田剛、工藤を追う刑事に磯村優斗、他にマキタスポーツ、リリー・フランキー、木村多江が共演している。社会派サスペンスの傑作が誕生した。

         

        2022/01/31「ノイズ」☆☆☆★

        過疎化の進む猪狩島で農園を営む泉圭太の黒イチジクがSNSで大人気となり、国からの補助金5億円が内定した。島の復興に力をつくす泉と親友の猟師、警官の前に突如不審人物が現れ、誤って殺してしまう。島と家族のために3人は死体を隠す事を決意するが、その男を追って刑事たちが島にやって来る。ヤングジャンプのコミックを映画化、主人公の泉に藤原竜也、猟師に松山ケンイチ、新米警察官に神木隆之介が扮している。映画の質では、同日公開の「前科者」に劣るが、テンポの良さと面白さは本作が勝るとも劣らい出来ばえである。

        制作協力企業

        • ACデザイン
        • 日本クラシックソムリエ協会
        • グランソールインターナショナル
        • 草隆社
        •                 AOILO株式会社

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