2022年3月6日
今週の所感
村田光平(元駐スイス大使)
3月4日 ウクライナ、欧州最大級の原発で火災 「ロシアが砲撃」
:日本経済新聞
皆様
反原発の動きを報じないことを旨とさせられてきた世界のメディアはその姿勢を一変させることを余儀なくさせる事態がウクライナで起こりつつあります。
在ウィーンのウクライナ政府代表部は、国際原子力機関(IAEA)に対し、チェルノブイリ原発の作業員92人が2月28日までにロシア軍の人質となったと通知したと報じられ、世界は同国に15基の原発が存在することに注目し始めたのです。
さらに、下記の速報は世界に衝撃を与えております。
ウクライナ、欧州最大級の原発で火災 「ロシアが砲撃」:日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB041E20U2A300C2000000/
原発はその所在国に対して向けられた核ミサイルであることを世界は思い知らされております。
ご報告したEU委員長に対する日本の5人の元首相の脱原発の立場からの働き掛けは、原発の危険性に対する世論の覚醒を背景にして確実に重く受け止めらて行くと思われます。
3月4日 ザポロジエ原発への攻撃について 小出
皆様
小出裕章様から早速いただいたメッセージを取り急ぎお届けいたします。
村田 光平 様
こんにちは。
この間もたくさんの貴重な情報を私にもお送りくださり、ありがとうございました。
ご返事を差し上げず、失礼しました。
ロシア軍がウクライナの原発を攻撃したとの情報、心配ですね。
情報が不足していますが、すでに複数の人から問い合わせをいただきましたので、今の時点で思いつくことを下に記します。
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私には、ネットで流れている以上の情報がありません。
その範囲で、今、思うことは以下です。
攻撃を受けたという原発はザポロジエ(Zaporizhzhia)原発です。
6基の100万kWのVVER(ロシア型加圧水型炉)が
操業中でした。
合計出力600万kWはヨーロッパ最大の原発です。
ウクライナにはほかに3カ所に原発があり、合計15基の原発が
操業中です。
ウクライナでの電力の40%から50%は原発依存でしたし、
ザポロジエ原発はウクライナの全電力の20%程度を受け持っていたようです。
その原発へのロシアの攻撃ですが、被弾したのは敷地外の
訓練施設のようで、今現在は、大きな危険ではないと思います。
ロシアが軍の正式命令としてこの原発を破壊することは多分ない
と思います。
なぜなら、そんなことをすれば、ロシア自体が甚大な放射能汚染を
受けるからです。
でも、ウクライナのライフラインを停止させることは軍事的な
意味があるはずです。
チェルノブイリ原発には4基の原発がありましたが、すでに4基とも停止しており、この原発を占領することには何のメリットもないはずです。
実際に占領したのは、チェルノブイリ原発がベラルーシから
キエフに侵攻する通り道にあるからでしょう。
ザポロジエ原発も今後ロシア軍に占領される可能性は大いにあると思います。
でも、原子炉自体が破壊される可能性は、小さいのではないかと
私は思います。
そのため、日本にいる私たちが直ちに被曝防御の行動をとる必要もないと思います。
以上、取り急ぎ、お知らせします。
2022/3/4 小出 裕章
3月5日 ザポリージャ原発最新情報
皆様
原自連の木村結事務局長より寄せられたザポリージャ原発最新情報をお届けいたします。
みなさま
海外への原発輸出に反対する団体の福永正明さんから最新情報が届きましたので、お送りします。
ロシアによるザボリージャ原発(原子炉6基)の攻撃およびその後の状況は、IAEA事務局長の発表によれば。
・ウクライナ南部から侵攻したロシア軍が施設を占拠
・原発稼働(4号機)は、現地正規職員により行われている
・全6基の原子炉安全システムは正常に機能している
・放射性物質モニタニング・システムは正常運転中
・ 放射性物質の大気中への放出はない
<6基の状況>
1号機はメンテナンスのため停止中
2号機と3号機は制御停止済み
4号機は60%の出力で稼働運転中
5号機と6号機は低出力モードで「予備( “in reserve”)」状態
攻撃により火災炎上したのは、原発施設敷地内の「訓練施設(Training Center)」。
写真は、The New York Times 、赤枠建物が火災炎上した。
以上、少し遅くなりましたが、お知らせのみ。
木村結