2022年3月20日
今週の所感
村田光平(元駐スイス大使)
3月13日 福島事故11周年を迎えて(所感):反響
皆様
お届けした所感に対して友人から下記の所見が寄せられました。
<プーチンのウクライナ侵略は、どのように考えても正当化できるものではありません。村田様のメールにある全てのご意見のとおりだと思います。ウクライナの人々にとってプーチンは正に悪魔そのものではないでしょうか!
避難された方々が口々に「何故私たちがこのような目に遭わなければならないのか!」
と怒りとも哀しみとも言えない表情で語っておられました。
特に子供たちが悲しい目をして「戦争は嫌だ!」と言っていたのが
印象的でした。
わたしたちだって、いつ同じような目に遭うとも限りません。
村田先生がかねてからおっしゃられています「母系社会への転換」が、地球からあらゆる「争い」を無くす『KEY』なのではないかとの思いを強くしました。
民間人で宇宙から地球を見た方が言われていた言葉が印象的でした『地球に国境はなかった』❕❕
ウクライナから日本へ避難したいと言う方たちが結構いらっしゃると聴きました。日本政府はただ受け入れるだけでなく、キチンと生活が出来るような措置を強く希望します、衣食住、就労などを含め。
こうしたことに私たちの税金が使われるのは大歓迎です。
今は、一日も早く悪魔がウクライナから消え去るのを願うばかりです❕❕ >
これに対して当方から下記のコメントをお届けいたしました。
<ご返信ありがとうございます。
今や全世界が禍根の消滅を願うお気持ちを共有しております。
ご指摘の通り破局をもたらす「力と支配に立脚する父性文明」から「連理と連帯に立脚する母性文明」への移行の必要性は自明となりました。
数百万規模の避難民の発生を前にして人道主義に基ずく対応が不可欠となりました。
内外の市民社会の結束に益々期待が寄せられます。>
市民社会を代弁する立場からの発信活動を通じて、かねてから予見されていた日本一新、世界一新の胎動を感じ始めております。
3月14日 一事が万事、愚策の極み(ウクライナ)
皆様
入口紀男熊本大学名誉教授より寄せられたご提言をお届けいたします。
特に注目されるのは下記の諸点です。
<ウクライナという日本の安全保障と国民生活に相対的にはそれほど関係があるとは思えない国のために、ロシアという安全保障に
直接関係が深く、かつ日本の国民生活と世界経済のために将来も
利用価値のある国を失いました。>
< プーチンは発射ボタンに手をかけているという意味のことを
明示的に言いましたが、ロシア国民はプーチンの核の使用を是認していると考えられます。現在のプーチンは「最後の覚悟」を決めていると私は思います。
発射準備を終えた 2,750発の核弾頭ミサイルのうち日本への
ミサイルも、あるときプーチンの意思によって、または、その死の
瞬間にデス・スイッチによって、あるいはAIによって発射されかねません。
ここに、生じてしまった、我われ日本人と子孫に降りかかったとんでもない国難(核弾頭、北方領土の地対空ミサイルなど)に対して、それを取り除く努力こそ現実かつ喫緊の課題として我われの世代が負う責任でしょう。>
<与党の政治家ではプーチンに会うことはできないでしょうが、
首相経験者なら会えるかもしれません。彼らならば、プーチンに
会い、NATO加盟の断念、中立の維持などロシアのひきどころと日本が援助できる可能性について話し合うことが可能かもしれません。たとえ失敗しても、その努力する「姿」を世界に見せることに、我われ日本人と子孫のための、はかりしれない安全保障上のほとんどありえない機会がありそうです。>
村田 光平 様
入口紀男です。
お疲れさまです。ご参考まで下記の「論考」を拝送いたします。
– – – – (ここから)- – – – –
日本は決してロシア非難決議をしたり経済制裁をしたり、
ウクライナに防衛装備品を贈ったりという策をとるべきでなく、
最初から「平和憲法・第九条」をもつという理由で仲裁をする姿を
世界に見せるべきでした。すると、日本は世界における地位(プレゼ
ンス)も向上したでしょう。
重要なことは、必ずしも仲裁の成否ではなく、その努力する「姿」を世界に見せることに成功するか否かでした。
もうほとんど遅きに失しています。日本はその機会を自ら捨てて、とんでもない国難を迎えました。
日本は、1956年鳩山一郎(初代自民党総裁で鳩山由紀夫の祖父)が羽田から当時プロペラ機で何日かけてモスクワへ行き、「日ソ共同宣言」に署名をして国交を回復・正常化させました。
ロシアは今月(2022年3月)北方四島を税なしの経済特区にして
地対空ミサイルを配備するなど実効支配を強化しました。
日本は、戦後 70年間の努力をあっさりと無駄にしてしまいました。
日本は、欧米メディアの情緒的・感情的で一方的な報道に翻弄され、ウクライナが可哀そうの一色でほとんど思考が停止してしまいました。ウクライナという日本の安全保障と国民生活に相対的にはそれほど関係があるとは思えない国のために、ロシアという
安全保障に直接関係が深く、かつ日本の国民生活と世界経済のために将来も利用価値のある国を失いました。
それは、アメリカが「力による現状の変更」を目的としてイラク
に一方的に侵攻し、日本はそれに金を出して加担し、アフガニスタン侵攻も、コソボ侵攻もすべて「正義」「善」「道徳」としてきたことを都合よく棚に上げてです。
日本は、発射準備を終えた核ミサイルを幾つか向けられているでしょう。
プーチンは「国際法」に反していることが分かっていてウクライナに侵攻しましたが、それは「ご法度」であることが分かっていて主君の仇(かたき)邸(やしき)に討ち入る行為と、覚悟のうえで変わるところがありません。
これは一昨日(2022年3月12日)ノンフィクション作家で何度もロシアに行ったことのある保坂正康(83)さんから聞いた話ですが、ロシアの国民性が今のプーチンを誕生させているようです。
そこにあるのは「ロシアなくして世界なし」という思想です。
これは70年間続いた(2~3世代交代した)ソ連の共産党社会の中で、そのような国民的基盤が出来上がっているようです。
プーチンは発射ボタンに手をかけているという意味のことを明示的に言いましたが、ロシア国民はプーチンの核の使用を是認していると考えられます。
現在のプーチンは「最後の覚悟」を決めていると私は思います。
発射準備を終えた 2,750発の核弾頭ミサイルのうち日本へのミサイルも、あるときプーチンの意思によって、または、その死の瞬間にデス・スイッチによって、あるいはAIによって発射されかねません。
ここに、生じてしまった、我われ日本人と子孫に降りかかったとんでもない国難(核弾頭、北方領土の地対空ミサイルなど)に対して、それを取り除く努力こそ現実かつ喫緊の課題として我われの世代が負う責任でしょう。
与党の政治家ではプーチンに会うことはできないでしょうが、
首相経験者なら会えるかもしれません。彼らならば、プーチンに
会い、NATO加盟の断念、中立の維持などロシアの
ひきどころと日本が援助できる可能性について話し合うことが可能かもしれません。たとえ失敗しても、その努力する「姿」を世界に見せることに、我われ日本人と子孫のための、はかりしれない安全保障上のほとんどありえない機会がありそうです
3月16日 【日刊IWJガイド号外】
岩上安身です。ウクライナ関連のスクープです。
皆様
フリージャーナリストのIWJの岩上安身氏から今回のウクライナ
侵攻に関しては極端な情報操作が見られ、日本国内において、ロシア人差別やロシアンヘイトを生みつつあることに下記の警告が寄せられましたので、そのまま共有させていただきます。
同氏は、この戦争の根本原因である「ドンバス問題」と「NATO東方拡大問題」に国際社会が誠実に向き合うよう訴えております。
記
村田光平様
【スクープ!】ドンバス戦争でロシア系住民を弾圧し「愛国者」ゼレンスキー大統領ともユダヤ系オリガルヒ、イゴール・コロモイスキー氏を介して関係のあるウクライナのネオナチ集団「アゾフ大隊」の実態!イゴール・コロモイスキー氏が資金提供する極右ネオナチの歩兵部隊「アゾフ大隊」は米国市民もリクルートしていた!
米国連邦議会議員たちもそれを認識して 国務省の海外テロリスト組織(FTO)リストに入れるよう要請していた!
連日、メインストリーム・メディアがウクライナにおけるロシア軍の攻撃の悲惨さとウクライナの被害状況を報道しています。
あたかもロシアが一方的な加害者で、ウクライナが一方的な被害者であるかのようです。こうした極端な情報操作は、戦争報道では、つきものとはいうものの、今回のウクライナ侵攻に関しては極端過ぎます。日本国内において、ロシア人差別やロシアンヘイトを生みつつあります。
※ひぼう中傷や差別 在日ロシア人に広がる不安(NHK、2022年3月2日)
日本だけでなく、ウクライナから避難する人たちの多くが到着するドイツで、在住ロシア人への嫌がらせが相次いでいると12日付の東京新聞は伝えています。一部店舗での入店拒否や学校で殴られるなどの事件が起きているといいます。
※子どもが学校で殴られ、入店拒否も ウクライナの避難者が着くドイツでロシア人に嫌がらせ(東京新聞、2022年3月12日)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/165306
こうした情報操作は、ロシアへの制裁の強化とゲリラ戦用の武器供与を肯定してしまう「感情的な土壌」を醸成することになり、紛争のエスカレーションを招いてしまいます。
戦争を嫌悪する反戦感情が、停戦への後押しへと向かわず、ロシア憎悪にとってかわられ、さらなる戦争激化を招いてしまう悪循環に、日本を含む欧米のメインストリーム・メディアは、こぞって加担しているのです。
たとえば、3月11日付日経新聞は、建機や工作機械の7~8割前後を輸入に頼るロシアに対して、日米欧がロシアに対する機械製品の供給を止めると伝えています。
※日米欧、機械の対ロシア出荷停止 キャタピラーや森精機(日経新聞、2022年3月11日)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC10DIN0Q2A310C2000000/
こうしたロシアの経済活動に直接的な打撃を与える動きは、必ずやロシアからの報復を招きます。
3月11日付の日経新聞は、ロシア政府が、ウクライナへの軍事侵攻を受けてロシア事業の停止や撤退を判断した外資系企業の資産を差し押さえる検討に入ったと伝えています。
※ロシア事業停止・撤退なら外資の資産接収も プーチン氏(日経新聞、2022年3月11日)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR10EQ40Q2A310C2000000/?unlock=1
日本企業に限って見ると、ロシアにおける事業を縮小するのが
トヨタ自動車、事業を継続するのがブリヂストンタイヤと電通インターナショナルとなっています。
12日付日経新聞は、ロシアの外資系企業の資産差し押さえは、
国際的な投資協定違反となり、法廷闘争に発展する可能性があると伝えています。
※経済封鎖で企業に試練 ロシア政府「撤退なら資産接収」(日経新聞、2022年3月12日)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD0952Y0Z00C22A3000000/?unlock=1
こうした制裁や武器供与の負のスパイラルに対して、IWJは、一貫して、「冷静に戦争に反対する」ように訴えてきました。そのために必要なのは、欧米の政権やメディアが流す情報を無批判に繰り返すのではなく、この戦争の根本原因である「ドンバス問題」と「NATO東方拡大問題」に国際社会が誠実に向き合うことです。
メディアの仕事は、その条件を作ることでしょう。
3月17日 ウクライナ危機
皆様
ドイツ在住のグローガー理恵様から示唆に富むメッセージが寄せられましたので共有させていただきます。
村田光平先生
いつも貴重な情報を発信しつづけて、私たちに思考する機会を与えてくださっている村田先生に深謝申し上げます。
IWJの岩上安身氏のウクライナ危機に関する情報、興味をもって
拝読させていただきました。 第3次大戦が起こるかもしれない
危機に瀕している、ヨーロッパに住む者として、私は、できるだけ様々なソースから情報を入手して、どのソースが正確な情報を発信しているのかを考慮するように努めています。
つきまして、ウクライナ危機の中、ドイツでどんな事が起こっているのか、私の憂慮していることをできるだけ簡潔にまとめ、原稿を書いてみました。 反ロシア人の動きは、すでに、ドイツで起こっています。 原稿はちきゅう座に掲載されてありますので、もしよろしかったら、ご覧になってみてください:
http://chikyuza.net/archives/117966
一日もはやく、先生がお元気になられることを願ってやみません。
どうぞ、くれぐれもご自愛なさって、私たちを励ましつづけてください。
グローガー理恵