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        2022年3月15日

        話のタネーウクライナ危機のゆくえ

                    

        日本ビジネスインテリジェンス協会中川十郎理事長より

        元国連事務次長・赤坂清隆先生のウクライナ問題について

        素晴らしい論考を頂きましたので、特別配信いたします。

         

        前略、

         今 私が一番関心があり、たぶん皆さんもそうではないかと思うのが、「ウクライナ危機はこの先どうなるのか」と「ロシアとプーチンはどうなるのか」ということです。一寸先は闇のような状況が続いており、だれか、これから先の1か月でもよいから分かりやすい予測をしてくれないかと思う不安な毎日です。もちは餅屋に、船は船頭に任せよと言いますから、今回の「話のタネ」では、私たちの船頭になっていただけると思われる幾人かの識者の意見をご紹介したいと思います。

         

         なお、私は本日、国際基督教大学(ICU)で、「厳しいメディアの目から見た国連」と題して対面での講演を行ってまいりました。

        ウクライナ危機と国連の対応についても取り上げました。学生さんもこの問題には大変興味を示して、活発な議論がありました。

        そこで使いましたパワーポイントをご参考までに添付させていただきます。

         

         さて、ウクライナ危機については、月刊雑誌「Voice」と「文藝春秋」の4月号が特集を組んでいます。しかし、各記事の執筆時期が2月のロシアの侵攻直後だったこともあり、今一つこれから先を見越せていない気がします。例えば、テレビなどでも大活躍中の

        宮家邦彦さん(元外交官)は、「Voice」誌で、これからは当分、

        主要国の政治家が、「勢い」と「偶然」と「判断ミス」による政治決断を繰り返し、つねにその時点で「新常態」が生まれていくと

        予測でき、ウクライナ危機はその典型例と考えられるので、同危機の今後の行方は予想が難しいと述べています。先の予想は難しいという、きわめて正直なご意見ですが、それでは、残念ながら私たちの不安解消にはあまり役立ちませんね。

         

         はっきりとした予測を立てているのが、「歴史の終わり」の著書で有名な米政治学者フランシス・フクヤマ氏です。会田弘継さん(共同通信客員論説委員)からフェイスブックで紹介していただきました。3月10日付の「アメリカン・パーパス」という

        オンライン・マガジンで、フクヤマ氏は、次のような「予言」をしています。

         

        1,ロシアはウクライナで完璧な敗戦へと向かう。ロシア軍は、

        補給の困難とウクライナ人の抵抗で、ウクライナで進退きわまる。

        2,ロシア軍の崩壊は、徐々にではなく、いっきに起きる。

        補給もなく撤退も困難で、兵士の士気も消え失せる。

        まずは北部戦線で、続いて南部戦線でも。

        3,双方に受け入れ可能な妥協策はなく、この戦争に外交的な解決はない。

        4,国連安保理は再度無益なことを証明した。ただし、国連総会の決議は誰が善で悪かを明確にするのに役立った。

        5,ロシア軍の崩壊とともに、プーチンも失脚する。

        6,この戦争は、台湾を狙う中国にとっても貴重な教訓。

        特に、ロシア空軍の散々な戦績は、中国空軍も繰り返しかねない。

        7,ロシアの敗戦は、「自由の再生」を可能にし、世界的な民主主義の減退に終わりを告げる。

         

        ロシアの敗戦、プーチンの失脚、民主主義の復活というのは、

        フクシマ氏流の、かなり希望的な観測かもしれません。

        ただ、すでに戦闘が始まってから3週間もたっていますし、

        プーチンもウクライナの攻略、ウクライナ軍と人々の根強い抵抗を甘く見すぎていたのではないかと言われています。ロシア軍が破竹の勢いでウクライナ軍を蹴散らすという状況でないのは確かでしょう。この先、どのようなシナリオが現実的なのでしょうか?

         

        3月7日付のBBCのランデイル編集委員の解説記事は、戦争の

        結末について、以下の5つのシナリオの可能性を挙げています。

         

        第1のシナリオは、短期決戦。ロシアの勝利宣言。ロシアによる

        ウクライナ傀儡政権の樹立。紛争の再発。

        第2のシナリオは、長期戦。攻防の泥沼化。ロシア軍の士気低下。長期の包囲戦。

        第3のシナリオは、欧州戦争。モルドバ、ジョージア、バルト三国への紛争の拡大。NATOとの戦争の可能性。

        第4のシナリオは、外交的解決。停戦合意。中国の仲介。

        第5のシナリオは、プーチン失脚。流血クーデター。

         

        この記事は、これらのシナリオは、それぞれ独立せずに重なり合う可能性もあるが、今後どのような展開になろうとも、世界はすでに変わり、かつて当たり前だった状態には戻らないと予測しています。新型コロナについて言われる「世界は元の当たり前だった状態には戻らない」ということが、ウクライナ危機後の世界情勢についてもいえるということですね。改めて、世界は大変不確定で、

        不安定な状況になりつつあると思わざるをえません。

         

        3月11日付のニューヨークタイムズ紙は、看板記者のトマス・フリードマンの記事を載せています。彼は、プーチンに残された道は、唯一ロシアの敗戦しかなく、

        (1)早く、小さく負ける(屈辱は少なくて済む)か、

        (2)遅く、大きく負ける(屈辱は大きい)かの二つの選択肢しかないと言い切っています。しかし、プーチンが(1)の選択肢を

        拒絶して、(2)の選択肢しかなくなった時、敗戦を認めがたいがために、核兵器の使用を検討するところまでウクライナ攻撃を激化する可能性があることが最大の問題だとしています。

         

        3月11日付の英ファイナンシャル・タイムズ紙の社説は、

        ロシア、ウクライナとも、この戦争で完全に勝利することは難しく、双方が、交渉による解決策を探るかもしれないと判断しています。ウクライナは、EU加盟やクリミア半島および東部二州をあきらめることは困難としても、集団的な安全保障体制ができる見返りとしてNATO加盟をあきらめ、「中立」を議論する用意があるとの情報や、ロシアも、ウクライナの政権転覆はもはや狙わないとの情報もあると紹介しています。いずれにせよ、プーチンが交渉による解決を検討することに真剣ならば、まずは停戦に合意し、軍事攻撃をストップしなくてはならないと主張しています。ロシアが真剣に交渉する兆しという、本日(3月14日)入っているニュースは、この社説の見通しがかなり正確なのかと思わせます。

         

        3月12日付の日経新聞は、英国の歴史学者でアメリカで活躍中のニーアル・ファーガソン氏との、短いですが示唆に富んだインタビュー記事を掲載しています。彼は、10パーセントの確率でプーチンは失脚すると読んでいます。プーチンは、「プーチン皇帝」によるロシア帝国の回復を期しており、ウクライナとの戦争に勝てなければ自国での立場がぐらつくので、究極的な合理主義者で計算高いプーチンのことゆえ、いくらかの譲歩には前向きだろうとも述べています。ただし、ウクライナは外的な権力に反抗する長い歴史をもち、キエフが陥落しても、ゼレンスキー大統領が殺されたり逮捕されたりしても戦い続けるだろう、と予想しています。ファーガソン氏は、ロシアはNATO(北大西洋条約機構)との戦争には勝てないし、プーチンの核使用発言もはったりだが、どこかで、

        バルト諸国、ポーランド、モルドバの問題に発展する可能性があると指摘しています。イスラエルとイラン、中国と台湾についても、近い将来に火がつきやすく、紛争のリスクは上がったと警告しています。

         

         最近のニュースによれば、NATOに未加盟のフィンランドや

        スエーデンで、将来の不安からNATO加盟を支持する世論が過半数を超えたということですが、すでにNATOに加盟しているバルト三国(エストニア、ラトビア、リトアニア)への紛争の波及も心配です。長島純中曽根平和研究所研究顧問(元空将)は、「Voice」誌で、ロシアは再び膨張をめぐらす方針に回帰しつつあると観測しています。その再膨張の観点からはベラルーシの存在が重要で、

        ロシアは将来的にはベラルーシ領内でロシア軍部隊を核戦力と併せて駐留させる可能性があり、その場合は、ポーランドおよびリトアニアとの両国境に近い地帯で、ロシア、NATO双方からの軍事的な緊張が高まることが予想されると述べています。バルト三国は、

        作戦支援上もNATOから分断され、ロシアやベラルーシに包囲されるおそれがあり、ロシアの軍事進攻があれば、ロシアとNATOとの戦争が起きる可能性もあると危惧しています。

         

         私たちは、この先、第三次世界大戦が起きる可能性まで心配しなければならないのでしょうか? 3月11日、バイデン米大統領はロシアへの追加制裁を発表する際に、「我々はウクライナでロシアと戦争はしない」「NATOとロシアの直接的な衝突は第三次世界大戦となり、我々はこれを防ぐために努力しなければならない」と語っています。米国およびNATOは、ゼレンスキー・ウクライナ大統領の必死の訴えにもかかわらず、ウクライナの領空を飛行禁止区域に設定することを拒んでいます。同区域を設定すれば、ウクライナ上空を飛ぶロシア戦闘機を迎撃しなくてはならなくなり、ロシアとNATOとの戦争、ひいては、第三次世界大戦につながる恐れがあるからです。3月13日、ポーランド(NATO加盟国)のドゥダ大統領は、BBCとのインタビューで、もしロシアがウクライナで化学兵器を含む大量破壊兵器を使ったら、ゲーム・チェインジャーになると意味深長なことを述べており、メディアは、NATOの介入の可能性を示唆したものと受けとめています。

         

         第三次世界大戦を防がなければならないという声がしきりに聞こえてくること自体、今そのような可能性が現実に心配されるような危険な事態になっているということでしょう。これまでのところ、米国およびNATO諸国は、世界大戦を防ぐために、仮にウクライナがロシアに軍事的に屈服することになっても、直接的な軍事介入を自制し、(そうははっきりと言いませんが)そのような事態もみすみす看過せざるを得ないという立場をとってきました。これは、つまるところ、ウクライナを見殺しにするもので、欧米諸国にとっても断腸の思いの、忍び難きを忍ぶ苦渋の決断だと思います。それゆえにこそ、英雄的に戦っているウクライナ軍や、連日爆撃や銃弾の恐怖にさらされているウクライナの子供や人々を救うために、一日も早くこのロシアによるこの無法な侵略戦争を終わらせなければなりません。これまで以上に、ロシアに対する非軍事的な制裁や抗議行動を可能な限り強めて、プーチンに早期停戦を余儀なくさせることが大事で、この点では日本政府や民間企業の対応も極めて重要だと思います。

         

         春の訪れを感じさせる陽気となり、新型コロナ感染症の懸念も少し和らいできたというのに、ウクライナ危機が続いているために、心配の種は尽きません。皆さんに明るい話のタネを提供できなくて、恐縮です。来週から、また性懲りもなく、ヨーロッパに行ってまいります。4月に帰国しましたら、漫遊記を送らせていただこうと思っておりますので、乞うご期待。(了)                   

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