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        2022年3月30日

         

        日本ビジネスインテリジェンス協会会長・理事長中川十郎

         

        増田善信 理学博士・元日本学術会議会員(99歳、広島・長崎黒い雨訴訟で活躍された)のウクライナ問題に関する提言をご紹介します

         

         

        ロシアのウクライナ侵略は、国連や各国の首脳、政党やその

        責任者、政治家の立ち位置を焙り出すリトマス試験紙

                   豊かな狛江をつくる市民の会 増田 善信

         

        ロシアのウクライナ侵略は、国際組織や国家の首脳、政党やその党首、著名な政治家の言動などを浮き彫りにしています。その問題を取り上げてみました。

         

        トップは何といってもロシア大統領プーチン。ウクライナの東部2州を勝手に独立国として承認し、国連憲章51条の集団的自衛権の規定を使ってウクライナに侵略し、病院や住宅など無差別な攻撃を行っています。予想に反してウクライナの強硬な反撃にあい、生物・化学兵器も使うかもしれないと報じられている。3月22日には、ベスコフ大統領報道官は「国家存亡が脅かされる時は核兵器が使用される」とまで言明している。まさに、国連憲章、国際人道法、NPT(核不拡散)条約に違反するものと言わねばならない。

        なぜプーチンはこの暴挙に出たのか。

        冷戦時代は、NATOとワルシャワ条約機構の力はほぼ拮抗していたが、ソ連崩壊後NATOに蚕食され、ロシア、ベラルーシ、ウクライナだけのミンスク合意だけになった。

        プーチンはそれに堪えられなくなって、今回のウクライナ侵略に

        及んだのではないかと言われている。もちろん、いかなる理由があろうと今回のウクライナ攻撃を認めることはできないが、その根拠になっている国連憲章51条(注)の「集団的自衛権」の文言の削除が急務になってきた。

        (注)この憲章のいかなる規定も、国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の

        権利を害するものではない。この自衛権の行使に当って加盟国がとった措置は、直ちに安全保障理事会に報告しなければならない。また、この措置は、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持又は回復のために必要と認める行動をいつでもとるこの憲章に基く権能及び責任に対しては、いかなる影響も及ぼすものではない。

        国連改革の問題では、国連安全保障理事会(安保理)での核兵器保有国5ヵ国(p5)米・英・仏・ロ・中国の拒否権を先ず廃止すべきだ。今回のロシアのウクライナ侵略非難の決議もロシアの拒否権行使で採択できなかった。

        一方、国連総会では141カ国もの賛成で、ロシアのウクライナ侵略非難決議が採択され、国連の面目を保った。p5が拒否権を使わなければ、核兵器禁止条約も承認されると思う。国連ができて77年、国連憲章は時代遅れである。この機会に改革を実施させる必要がある。

        国際司法裁判所(ICJ)は3月16日、ロシアに対し、ウクライナでの軍事行動を即時停止するよう命じた。拘束力はないが、具体化させたいものだ。

        一方、中国は、国連安保理のロシア非難決議に棄権したが、現在もまだロシアのウクライナ侵略に対する態度を鮮明にせず、ロシアへの援助を続けている。

        3月23日、ロシアの侵略を受けて、大きな犠牲を払いながら、

        必死になって祖国防衛のために戦っているウクライナのゼレンスキー大統領がわが国の国会でオンライン演説をした。

        先ず、わが国のロシアへの経済制裁に感謝し、引き続き継続を要請した。ロシア軍のチェルノブイリ原発占拠に触れ、核物質処理場や原発を戦場にする危険性を告発し、ロシアのサリンなどの化学兵器や核兵器使用に強い警戒感を示し、機能不全に陥っている国連などの改革を訴えた。

         

        国内では、自民党の一部、日本維新の会、国民民主党は、この機会とばかりに、「憲法九条では日本は守れない」とか、「憲法を変えろ」などと叫んでいる。安倍元首相に至っては、あるテレビ番組で「プーチンは領土的野心ではなく、ロシアの防衛、安全の確保で行動を起こした」と擁護する発言さえ行っている。さらに、安倍元首相は橋下徹元大阪市長とともに、「米国の核兵器の共有(ニュークリア・シアリング)」まで持ち出している。

        日本には非核三原則(つくらず、もたず、持ち込ませず)がある。これは1967年12月、沖縄返還を前に、核兵器のない沖縄を要求した国民の声に押されて、当時の佐藤栄作首相が表明したもので、「国是」にまでなっている。それさえ変えて、アメリカの核兵器を持ち込むというのである。もし戦争が起これば、核戦争になり、日本が核戦場になる虞がある。広島・長崎の惨禍では済まないと思う。

        日本の政党で、いち早くロシアのウクライナ侵略を糾弾した声明を出したのは志位和夫日本共産党委員長で、「ロシアは軍事作戦を直ちに中止せよ」と題する声明を、ロシアがウクライナ侵略を開始した2月24日に発表した。3月6日にはウクライナ支援の募金を訴え、僅か4日で集まった2024万円余を3月10日にUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)に届け、さらに3月16日には1968万円余を届けている。もちろん、私も直ちにこの募金に応じた。

        岸田首相は2月25日の総理記者会見で、「この侵攻は、力による一方的な現状変更の試みであり、ウクライナの主権と領土の一体性を侵害する明白な国際法違反です。国際秩序の根幹を揺るがす行為として、断じて許容できず、厳しく非難します」と述べ、立憲民主党などすべての政党が、ロシアのウクライナ侵攻糾弾の声を上げている。この国を挙げての「戦争反対」の声で、「敵基地攻撃論」や「日米核共有」などの声が聞かれなくなった。

        しかし、ロシアのウクライナ攻撃は一段と強まり、住宅や病院、

        原発などへの無差別な攻撃が続き、多数の子供たちを含む民間人が犠牲になっている。3月14日、ロシアの政府系テレビ「第1チャンネル」の編集スタッフのマリー・オフシャニコワさんが生放送中、ロシアのウクライナ軍事侵攻をめぐり「戦争反対」「(ロシアの)プロパガンダを信ずるな」と書いたパネルを掲げて登場した。この勇気ある行動を無にさせてはならない。今こそ、私たちも声をそろえて「ロシアのウクライナ侵略反対」を叫び、ウクライナ支援募金を広げに広げて、プーチンのウクライナ侵略を断念させようではないか。

                          (22・03・24)

        制作協力企業

        • ACデザイン
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