2022年4月17日
今週の所感
村田光平(元駐スイス大使)
4月10日 哲学と政治(ウクライナ危機の教訓)
皆様
世界の現状を見るにつけ古代ギリシャの哲学者のプラトンの名言(すべての国王が哲学者とならない限り世の中の不幸は無くならないとの趣旨)が想起されます。
世界はウクライナ危機を前にして政治指導者に最も求められる資質は人道主義であることを思い知らされております。
ウクライナ危機の教訓として市民社会は下記の3点を学んだと思われます。
1. プーチン大統領が核兵器をいつでも使用できる状態に置いたことで核廃絶は理念の域を脱して、こうしたリスクを排除することが人類の現実の追及目標になったこと
2. 原発が現実に砲撃の対象になったことで所在国に向けられた
核兵器であることが改めて立証され、脱原発の必要性が世界的規模で認識されるに至ったこと
3.国連常任理事国のみに認めらている拒否権問題を含む国連改革、福島事故の放射性汚染水の海洋流出を当初から容認するなど
原発推進に前向きな国際原子力機関(IAEA)の改革が不可避になったこと
世界が直面するに至った真因は倫理の欠如であるとの認識が広がりを見せていることもあり、これらの問題を取り上げる場として内外の市民社会の国連倫理サミット開催への期待の盛り上がりが看取されます。
皆様のご指導とご支援をお願い申し上げます。
追伸 核兵器のない世界の理念を説いたオバマ元米大統領、98歳にして今なお日中関係の緊密化に尽力されている村山富市元総理、96歳にしていかなる状況の下でも紛争を解決する手段として戦争に訴えるべきではないことを現職の議員として訴え続けるマハティール・マレイシア元首相の三人のことが哲人政治家の実例として想起されます。