2022年4月24日
今週の所感
村田光平(元駐スイス大使)
4月21日 ウクライナ危機と歴史の法則
皆様
外務省出身の外交問題評論家の孫崎享氏は別添の日刊「ゲンダイ」
4月22日付記事で極めて注目される下記の趣旨の指摘を行っております。
1. ウクライナ問題で指導者が最優先すべきは人命の消耗を防ぐことであり、プーチン大統領が求めている「ウクライナはNATOに加盟しない」「東部に<自決権>を与える」が受け入れられれば、これは可能である。
2. 他方、「侵略したロシアと合意したくない」というのは国連憲章が認める
民族自決権に基ずく立派な主張である。
ゼレンスキー大統領は和平を求めないであろう。ウクライナの「戦場」は継続する。
3. 米国の政治作家ダイアナ・ジョンストン氏は米国の目的はロシアを破壊することであり、米国はあらゆる手段を講じて戦争を継続させると予言していたが事態は彼女の予言通りに展開している。
4.この戦略のもとに踊っているのがゼレンスキー大統領であり、彼を大統領に選んだ国民にそのツケが重くのしかかっている。
このようなウクライナ危機を前にして市民社会は現状と今後の見通しについて途方に暮れるほかはないと言わざるを得ません。市民社会はこれまで世界の危機の真因は倫理の欠如であるとの認識に立脚してまいりましたが、ロシアによるウクライナ侵攻がもたらした危機はその正しさを立証いたしました。
ここで想起されるのは不道徳の永続を許さないという歴史の法則です。無辜の市民の生命が生き地獄を思わせる状況の中で失われつつある現状の中で,本来人類と地球を守るものであると悠久の歴史が示す天地の摂理が想起されます。
このような歴史の法則と天地の摂理からしてウクライナでの和平の実現は意外に早期の実現への期待が許されるのではないかと期待しております。
ウクライナ危機の教訓として市民社会は下記の3点を学んだことが改めて指摘されます。
1. プーチン大統領が核兵器をいつでも使用できる状態に置いたことで核廃絶は理念の域を脱して、こうしたリスクを排除することが人類の現実の真剣な追及目標として認識されるに至ったこと。
2. 原発が現実に砲撃の対象になったことで所在国に向けられた核兵器であることが改めて立証され、脱原発の必要性が世界的規模で認識されるに至ったこと。
3.国連常任理事国のみに認めらている拒否権問題を含む国連改革、福島事故の放射性汚染水の海洋流出を当初から容認するなど原発推進に前向きな国際原子力機関(IAEA)の改革などの必要性が認識されるに至ったこと。
世界が直面するに至った真因は倫理の欠如であるとの認識が広がりを見せていることもあり、これらの問題を取り上げる場として内外の市民社会の国連倫理サミット開催への期待の盛り上がりが予見されます。
皆様の御指導と御支援をお願い申し上げます。