2022年5月19日(木)人間自然科学研究所 平和会議 レジュメ
『環境、健康、平和』
中川十郎 (名古屋市立大学特任教授、日本ビジネスインテリジェンス協会理事長)
2021年2月22日に続き、本年も本平和会議を開催される小松昭夫・小松電機産業株式会社社長、人間自然科学研究所理事長のリーダーシップと平和へのその熱意と情熱に強い感銘を受けています。
小松昭夫社長は世界平和を三本柱すなはち、1)環境、2)健康、 3)平和 から構築すべきとの説を唱えられていますが、私もこの構想に賛成で、私の本日の発表もこの3点から考究しようと思います。
- 環境;
昨日のテレビや新聞報道によれば、私が商社マンとしてかって駐在したインドでは気温が49度に上昇し、飲料水も不足、日射病などの病人が激増。大変な事態に陥っているようです。インドのお隣のパキスタンでも同様の50度近い高温で国民が苦しんでいるようです。
かってバグダッド駐在中、7月の最高気温摂氏50度という灼熱を経験したことがあります。TV報道の映像によると、高温のためバグダッドでは砂嵐が荒れ狂い、視界がさえぎられ、車も運転できない状態だとのことです。
一方、ネパールやパキスタンでは高温でヒマラヤの氷河の一部が溶け、洪水が発生している地域もある由。このように環境問題は地球上に異常気象をもたらし、人間の生存権を脅かしつつあります。
企業のESG(Environment, Social, Governance=環境、社会、統治)、国連が主導している30年目標のSDGs(Sustainable Development Goals=持続可能な開発目標)により国際社会が必死に希求しているこれらの目標は世界の環境問題解決の重要性を強調しています。
日本では先に菅首相が50年のカーボンゼロを国際的に宣言しましたが、目標達成に原発の温存を条件にしています。しかしこの政策は非常に問題で、まず日本が大きく遅れている太陽光や、風力など再生エネルギーへの注力こそ肝要だと思われます。
小松電機産業が所在している松江は日本最大クラスの原発から10キロ圏内とのこと
ですが、日本においては原発のFade Outを真剣に検討すべき時と思われます。
2)健康;
上記のように環境は健康に甚大な影響を及ぼしています。とくに食と農は医食同源の見地からも今後十分注目すべき分野です。日本ではこの分野の真剣な検討がおろそかになっています。
ヨーロッパ連合諸国では遺伝子組み換え食料や食品の輸入は禁止されています。これに反し、日本では遺伝子組み換え食料、食品、飼料などの輸入は禁止されておりません。
一方、農薬、肥料、動物用抗生物資、成長促進剤、人工色素などの規制も甘く、これが日本人の健康に甚大な影響を与えています。かかる現状から日本人は2人に一人がガンにかかり、3人に一人が死亡する現状で、ガンは国民病になりつつあります。
しかしこのような状況にも関わらず日本政府、厚生省はガン撲滅にはほとんど無頓着に見えます。
健康なくして国民の幸福はなく、日本政府の抜本的な対策が今ほど求められている時はありません。われわれ国民から率先して医食同源、国民の健康に尽力すべきと思います。
3)平和;
ウクライナ危機を奇禍として核の傘、米国との核共同保有、敵基地攻撃論―敵反撃論、防衛費の2倍増額論、憲法改正論が自民党内で吹き出しています。これらの便乗論には十二分の警戒が必要だと思います。
ウクライナ危機を機にロシア悪人説、ロシア包囲網構築が世界的に高まっています。
岸田政権は5月23日に訪日するバイデン米大統領の訪日を機にロシアのみならず、日米で中国を共同抑止し、対処する方針を共同声明に明記。米国の「核の傘」による日本防衛や日米の安全保障戦略の共有も打ち出すという。
アングロサクソン的な「武力に対する武力での対抗」ではなく、アジアの『和をもって貴となす』の精神で話し合い、交渉で中国、ロシア、北朝鮮、韓国、日本の近隣友好構築に平和憲法の精神を生かし、今こそ日本が立ち上がりリーダーシップを発揮してアジアの平和、ユーラシアの平和、世界平和構築に乗り出すべき時だと思います。
今回のウクライナ問題への解決に関して、残念ながら、バチカンも国連も力がないことが明らかになりました。
そのためには小松昭夫社長が長年唱えておられる「国民国連」の早急なる構築と、谷口 誠 元国連大使が唱えておられる国連の改革、特に5大国の拒否権の改革が国連の平和構築への実現に必須であると思われます。
中でも戦後77年をへて日本の米国への依存体質からの脱却、独自の平和外交推進が、経済外交も含めて強く求められております。今こそ日本は21世紀アジアの時代にアジアに立脚したアジアの平和と繁栄の構築に尽力すべき時であると思います。 以上