BIS論壇No.384『アフリカとTICAD会議』中川十郎 6・20
日本政府が1993年以来、30年ちかく開催しているTICAD(アフリカ開発会議=Tokyo International Conference on African Development)は第8回会議を本年はチュニジアのチュニスで開催。経済、社会、平和と安定を主体に論じるという。(JICA Magazine、June 2022)。 20世紀中葉は第二次世界大戦後の米国のパクス・アメリカーナで「アメリカの世紀」、20世紀後半はハーバード大学・故エズラ・ボーゲル教授の『ジャパン・アズ・N0.1』でもてはやされ、「日本の世紀」と喧伝された。しかし30年後の今日、日本は少子高齢化が進み、安倍政権以来の「アべノミクス」で、10年近くゼロ金利が継続。日本は30年間GDP成長率も先進国中最低の成長で日本没落が加速。アジアの有識者は日本のことを「オールド金メダリスト」と批判する人が増えているという。
米国、ヨーロッパは金利引き上げに入っているが、日銀はいまだに金利ゼロ政策を継続。欧米先進国に比し、逆の金融政策を続けている。
かかる状況下、21世紀前半は「中国の世紀」、21世紀後半は「インドの世紀」、22世紀は「アフリカの世紀」とみられ、かかる長期趨勢に鑑み、日本は早急にグローバル戦略を構築すべきだ。その意味で、現時点より、「アフリカの世紀」をにらみ、TICADが注力するアフリカ市場戦略樹立が望ましいと思われる。
TICADは日本とアフリカ、国際社会の指導者がアフリカ開発の在り方と取り組みを議論・合意する国際フォーラムで、日本政府が主導し、国連、国連開発計画(UNDP)、世界銀行、アフリカ連合委員会(AUC)共同で93年以来これまで7回開催している。発足の93年さらに98年、2,003年は東京、2008年、2013年、19年は横浜、16年はケニア・ナイロビで開催された。第8回は本年8月にチュニジアで開催される。筆者は08年、13年、19年の横浜会議に参加。アフリカ諸国の経済発展への意欲に感銘を受けた。
筆者は総合商社に入社当時、海外業務部に所属、ガーナ向け鉄道改修工事、沿線通信設備建設、さらに米作指導に当時の日本工営と組み関与。さらにトーゴー向け日本車初輸出。エジプト・アルシンベル宮殿移築工事(国連ユネスコ基金)、ミフエルマ鉄鉱石の対日輸出などにも関与、アフリカにはことのほか関心がある。
躍動するアフリカ大陸のポテンシャルを見ると、2020年の13.4億人の人口は2050年に約25億人、世界人口の25%強となる。これは今日の中国とインド人口の合計に匹敵。
2020年の年齢の中央値は約20歳だが、アジアの32歳に比べても飛びぬけて若い。
世界の対アフリカ直接投資残高は20年末で9780億ドル(135円換算で132兆円)。アフリカ54カ国の陸地面積は2965万KM2でアメリカの3倍。日本の80倍で世界最大クラスだ。日本は22世紀の大国アフリカと現時点より経済親善関係強化をさらに努力すべきだ。