道上の独り言
「幼年時代の旅行 第12話 ジブチ」
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ジブチを昔の日本の地球儀で探すと何と載っていない。仏領だからだ。
アデン(旧イギリス領)の方が日本では有名だろう。
そんな、僕にとってわけの分からない国へと船は向かう。
が、さすがにインド洋は揺れた!
あまりの揺れにプールを覗き込むと水嵩(みずかさ)が半分ぐらいになったり、かたやあふれたり。 僕は漁師町の生まれなのでいつも目の前に海が在った。
大きい船が来るとよく海に飛び込んで大きな波に揺られるのが好きだった。
なのでいてもたってもいられずプールに飛び込んでしまった。すると案の定叱られた。たしかにプールの水が船の脇からこぼれているほどだったので危ない。
船員は皆僕に対しては感じがよかったのでここは素直に聞いておいた。
東洋人のガキは僕一人。目立っていたからだ。
しかし差別の国フランス、である。
依然として3等の人達にはあまり感じ良く接していなかったように思う。
最近はずいぶん変わってきたがエール・フランスのスチュワーデスも昔はそうだった。フランスはコネ・差別の国だ!いわゆる優秀と言われている人種ほど差別があり、また妬みがある。
相変わらず食堂はがらがらで、そこで沢山食べた!
何を食べたかは覚えていないがとにかく沢山食べた。
紅海に入った。突然海が赤く染まった。ああ、だから紅海なんだ!
赤土のせいか、油のせいか、聞いたような気がするが憶えていない。
前置きが長くなったが、そうこうするうちにジブチに着いた。小さな港だ。
何も無い。日本の地方にある港よりも殺風景だ。
(現在は軍事基地になっているそうだ)
港からバスで砂漠を2~3時間ほど揺られて行っただろうか?
小さなオアシスがあった。
何を隠そう僕は砂漠が好きだ!前世はアラブ人だったのかも、と思うほど。
砂漠を見ていると胸が熱くなる。
そう言えば小さい頃からアラビアン・ナイトやギリシャ神話が好きだった。
この住民が100人ぐらいのオアシスに到着したとたんにビックリしてしまった。
何とそこの住人に中国人が居たのだ!え?!中国人は地の果てまで居るのか!
中国人が世界中にいる事を初めて知った。
実はこのメルマガを今香港で書いている。
年に数回中国(上海・北京・深セン)に、また年に数回香港に行っているが、今回はずいぶん驚かされた。よくいろいろな人が、上海は3年行かないと全く変わっていて見分けがつかないと言う。
僕の意見は全く違う。上海・北京に関して言うと全然変わっていない。
多少外観は変わっているが相変わらず同じ品位、人種、同じサービス、である。
しかも昨年行った時などは全く活気が無く、中国はあと5年持たないだろうと思ったほどだ。
しかし香港は外観よりも中身が大幅に変わった。
まず、活気があった。毎日154名(1日の制限数)の中国人が香港に住民票を移し「香港人」になっている。
中国への返還前にオーストラリア、カナダに脱出した香港人が皆戻って来ている。
そして、外国人の数が増えている。
多くのモールに世界中のブランドが入っており、しかもちゃんと客が入っている。
ガラガラの上海とは大違い。
現在世界で有名ブランドの店舗が一番多いのが香港だ。
そして女性が以前より綺麗になっている。みんなオシャレだ!
すれ違い際にちょっとぶつかってもすぐ挨拶をする。マナーも品も良くなっている。
台湾人の様に「我々は中国人ではない」と香港人も胸を張っている。
ただ残念だったのは今回滞在中3日間食べた店すべてが偶然不味かった。
昔は何処で食べても美味しかったのに。代わりに東京の青山なんかに有りそうなデザイナーズ・レストラン。飯はクロスオーバー・創作料理が増えていた。
美味しい中華は何処だ!!!
ただ香港もいずれ本土の煽りを食うだろう、
などと思いつつも本文の船はスエズに向かう。
続く
【 道上 雄峰 】
幼年時代フランス・ボルドーで育つ。
当時日本のワインが余りにもコストパフォーマンスが悪く憤りを感じ、自身での輸入販売を開始。