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        2022年6月25日

         話のネタ・ガールズ!ビー・アンビシャス!

                      元国連事務次長・赤坂清隆

        前略、

         ちょうど一年前に、この「話のタネ」で、女性のエンパワーメントを取り上げたのを覚えておられるでしょうか? 

        先日、日米のメンターがそろう女性のリーダーシップ育成プログラムで、同様のテーマでお話しする機会がありましたので、

        そこで使いましたパワーポイントをご参考までに添付いたします。

         

         去年の「話のタネ」では、外国で長く住んだ後、日本に戻ってすぐに気がつくのは、日本の女性がみなきれいで、服装もファッショナブルなほか、どの女性も老若を問わずしっかりとお化粧をしていることだと書きました。確かに、東京の地下鉄などは、いつも女性をきれいにするための広告で満ち溢れています。やれ、口紅、化粧品、脱毛、エステと、連日これでもか、これでもかと「女性美の追求」のための消費をあおっています。他方、ニューヨークの国連本部などでは、どの女性も化粧なんかしていませんでしたし、スカートをはく人すらもまばらでしたから、このコントラストは目を見張るものがあります。

         

         このところ毎年札幌の北海道大学に招かれて講義に行くのですが、広々とした校庭の一隅に、ウイリアム・スミス・クラーク博士の

        胸像があります。「少年よ、大志を抱け」(ボーイズ!ビー・アンビシャス!)の、あの博士です。私は、同博士の言葉をもじって、

        上記プログラムに参加の日本の若き女性を相手に、叫びました。

        「ガールズ!ビー・アンビシャス!」お化粧をしてきれいになるのも大変結構ですが、もっと大きな野心をもって、世界のリーダーになることを目指してほしいですね。

        そこで、今回の話のタネは、「ガールズ!ビー・アンビシャス!」

         

         今年のタイム誌の「世界で最も影響力のある100人」には、

        女性では、フォン・デア・ライエン欧州委員会委員長、クリスティーヌ・ラガルド欧州中央銀行総裁、俳優・司会者のオプラ・ウインフリーなどが選ばれ、全体の半数近くを女性が占めています。

        日本人では、2020年に、大坂なおみと伊藤詩織が、2021年には大坂なおみ、大谷翔平、隈研吾が選ばれたのですが、

        残念ながら、今年は日本人は誰も選ばれませんでした。他方、フォーブズ誌の2021年の「世界の影響力のある女性」ランキングでは、55位に女性初の日本銀行理事となった清水季子氏、59位に小池百合子東京都知事が選ばれています。

         

         グーグル、マイクロソフト、ペプシコ、IBMグループなど、

        アメリカの巨大企業のCEOにはインド系の人物が多いのですが、

        ペプシコの前CEOなど、女性も頑張っていますね。フランスの高級ブランド、シャネルは、今年1月からグローバル最高経営責任者(CEO)に、インド出身の女性を登用しました。インド系の人たちは、「英語に堪能で、総じて理数系に強く、チャレンジ精神を持ち、

        知的好奇心にあふれ、コスモポリタンで適応能力が高い」からだと言われます(スライド5)。

         

         最近は様子が変わってきているかもしれませんが、新型コロナの感染の初期段階では、ドイツ、ニュージーランド、台湾、フィンランド、アイスランド、ノルウエー、デンマークなど、女性が首相などの政治的リーダーを務める国のほうが、コロナの感染拡大を防ぐのに成功していると言われました(スライド20)。

        2020年12月30日付の「ハーバード・ビジネス・レビュー」に載った記事によると、効果的なリーダーシップを示す19項目のうち、1項目(技術的、専門的知識)を除けば、女性のほうが男性よりも優秀で、特に、「イニシアチブをとる」、「他人を元気づける」、「経済よりも人命を大事にする」、「正直である」、「論理的で、上手に話す」「チームワークを大事にする」などの13の項目で、男性をはるかに引き離して優秀であると結論付けています(スライド21)。

         

         しかしながら、日本に目を向けると、日本女性の地位は、国際的にみて非常に低いですね。世界経済フォーラムが2021年3月に公表した男女平等ランキングでは、日本は156カ国中120位で、先進国の中で最低レベル、アジア諸国の中でも、韓国や中国、アセアン諸国よりも低いという結果でした。女性の国会議員の数が少ないのと、企業などの管理職の女性の比率の低さ、男女間の賃金格差などが原因と言われています。

         

         内閣府の男女共同参画局のデータが、日本における女性の活躍の現状と課題を分かりやすく説明しています。衆議院の女性議員比率(2022年、9.9%)は、世界190カ国中166位です。国家公務員の上級管理職(局長・審議官級)に占める日本の女性比率(2021年、4.2%)も、カナダ(44.6%)、英(42%)、米(37.1%)などと比べると著しく低いですね。日本企業の女性役員比率は最近上昇していますが(2021年、12.6%)、それでもフランス(45.3%)、イタリア(38.8%)、スエーデン(37.7%)などと比較すると、まだまだ低いですね。

         

         6月22日に公示された今年の参議院選挙(7月10日)の全立候補者に占める女性の割合は、33.2%で、戦後の国政選挙で初めて3割を超えたと、大きなニュースになっています。現在参議院の女性議員比率は23.0%と、衆議院よりも相当多い比率です。有能な女性の方に、ぜひとも頑張ってもらって、この比率をさらに上げてもらいたいですね。

         

         内閣府の男女共同参加局のサイトには、働き方改革や女性リーダー人材バンクなど、政府が推進する種々の政策が説明されています。推進本部や、会議や、専門調査会、研究会など、いろいろと努力はなされてはいるのですね。ただ、データが示すように、国際的な比較をすると、進展のスピードがあまりにも遅いですね。どうしたら、もっと早急に、女性の活躍の比率を上げられるでしょうか?

         

         いいアイデアが必要ですね。例えば、ニューヨーク・フィルの奏者の採用で有名になった「ブラインド・オーディション」というのをご存じでしょうか?オーケストラのオーデイションの際に、

        審査員の前にカーテンがあり、審査員は演奏者が見えないようにしたら、女性やアジア系の人が選ばれる比率が上がったというものです。審査員には、白人、男性を優先するバイアスがあったことを示す具体例として知られるようになりました。

         

         国会議員の候補者や議席の一定割合を女性に割り当てる「クオーター制」の導入はどうでしょうか? 2011年の数字ですが、世界で国政レベルでは、87カ国(議員割り当て制17カ国;候補者クオーター制34カ国;政党による自発的クオーター制36カ国)が導入しています。「法の下の平等に反する」「逆差別だ」という

        反対論が聞こえてきそうですが、フランス、ドイツ、ノルウエー、

        フィンランド、メキシコ、ルワンダなどの導入国で、女性議員の数を大幅に増やす効果を発揮してきたのも事実です。

         

         国連など国際機関は頑張っています。国連は、2020年に、

        幹部レベル(事務次長および事務次長補)で、男女同数を達成しました。全体の専門職員の中では、女性職員は43.5%(2016年)を占めています。現在のアントニオ・グテーレス事務総長や、

        前任のバン・キムン事務総長も、女性の登用には力を入れてきました。バン事務総長の際は、部長以上のポストの候補者は、事務総長自身が最終チェックをして決めたのですが、審査を担当したパネルから事務総長に届ける候補者リストは3名で、そのうち少なくとも1名は女性でなければならないとのルールが決められていました。女性が含まれていない候補者リストが届いた際は、面接試験のやり直しが命じられました。やはり、トップの意気込みの有無がモノを言いますね。

         

         国連関係機関で働く日本人職員の数は、2020年末現在918名ですが、そのうち女性が573名(62.4%)で、過半数を超えています。国連での仕事が魅力的であること以外に、なぜこんなにも多くの日本人女性を惹きつけるのかと考えたことがありました。一つには、女性が採用試験などで優秀な成績を残すこと。二つ目には、優秀な女性を惹きつける要因として、ワーク・ライフ・バランスが魅力的なこと。過労死や長時間の超過勤務というのはめったにありません。三つ目には、女性に対する差別がないことと、

        出産や病気の際の恵まれた待遇も、魅力ではないかと思われます。この二つ目と三つ目の条件は、日本の役所や企業が、大いに改善する必要がある点ではないでしょうか。

         

         私がいた国連広報局では、常に女性職員が5割以上を占めていました。それでも、定期的に、女性職員代表者数名と女性の地位の

        向上について話し合いを行いました。私の部下の3人の部長のうち、女性が一人だけだったので、「まだ改革の余地がある!」と戦闘的な女性職員代表から突き上げられましたが、これは笑って無視しました。

         

         現下の内外の情勢からすると、まだまだ問題はいっぱい残ってはいるのでしょうが、今の若い日本人女性には、以前よりはずっと

        恵まれた環境が整いつつある気がします。女性だからと言って差別が許されない時代になっているからです。むしろ、もっと女性をという追い風が吹いてきている気もします。

        これから25年、あるいは35年先には、アジアから国連事務総長を選ぶ時期がやってきますから、日本女性が国連のトップの座さえも狙うことができるでしょう。「ガールズ!ビー・アンビシャス!」頑張ってもらいたいですね。(了)

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