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        ┌┬───────────────────────────2022年6月

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        │└┼┐  資産家のための資産税ニュース 第126号

        │ └┼┐

        └──┴┴────── 辻・本郷 税理士法人 www.ht-tax.or.jp/

         

        辻・本郷 税理士法人の資産税の専門家が

        相続・贈与税、資産にかかわる最新の情報をお届けする

        「資産家のための資産税ニュース」 毎月15日配信です。

        (※15日が休日の際は、前営業日に配信いたします)

         

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        ■□ タワマン節税は終わったのか? ■□

        〜令和4年4月19日最高裁判決を読み解く〜

         

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        【1.最高裁も国側が勝訴】

         

        資産家のみならず、銀行、デベロッパー、税理士など業界も注目していた、

        いわゆる「タワマン節税」について最高裁で判断が下され、国側の勝訴が確定しました。

        この訴訟は一審・二審とも国側勝訴でしたが、最高裁でもその判断が覆ることはなく、5人の裁判官が全員一致での判決となったようです。

        「タワマン節税」とは、相続税を計算する上での財産評価額(相続税評価額)につき、「土地は路線価」「建物は固定資産税評価額」で評価が可能という点に着目し、不動産の購入金額が相続税評価額に圧縮されることで結果として相続税が下がる、これを期待して物件を購入することをいいます。ちなみに、戸建でも、1棟アパートでも圧縮効果はありますが、タワマンの上層階のように購入金額が極めて高額である物件ほど相続税評価額との乖離が大きくなり節税効果が高まることから、総じて「タワマン節税」と呼ばれています。

        【2.最高裁判決の論点】

        そもそも、相続税評価額は「時価で」評価することが原則とされています。ところが、寿司屋で「時価で」といわれると概ねの客が不安になるように、相続税評価額も単に「時価で」だけでは納税者が不平等な取り扱いを受けかねません。そこで、評価方法を定めた「評価通達」を課税庁自ら公表していますが、この評価通達の曲解や濫用等に備え、「この通達どおりの評価が著しく不適当な場合には国税庁長官の指示で評価する」旨も定められています。このことを、その規定されている条項をもって「総則6項」と呼んでおり、いうなれば「伝家の宝刀」です。

        今回の訴訟では、納税者は「他の人達は評価通達どおりに(路線価等で低く)評価しているのに、自分だけ総則6項が適用され(鑑定評価額で高く)評価されるのは不平等だ」と主張したのに対し、最高裁の判断は「理由もなくあなただけに総則6項を適用したのであれば確かに不平等だけれど、あなたに評価通達どおりの画一的な評価を認めると(逆に)『課税の公平に反するというべき事情』が

        あるので、平等原則に反しません」と納税者の主張を退け、鑑定評価額(総則6項)による評価を適法と判断しています。

         

        【3.判断基準となる「課税の公平に反する事情」とは】

        総則6項が適用され得る「課税の公平に反する事情」とはいったい何か、判決文から抜粋・組立すると「近い将来に発生する相続税の著しい減免を期待してあえて企画して購入・借入を実行しており、そのような行為ができない他の納税者との間に看過しがたい不均衡を生じさせ」とあり、具体的な線引きまではないものの、その行間から「高齢」「富裕層」「意図的な行為による減免」の3要素が著しさを増すほど、事情があるとして総則6項が適用されるリスクが高まると考えられます。

        これで「タワマン節税は終わった」と項垂れる方もいらっしゃるかもしれませんが、この判決で「路線価」や「固定資産税評価額」による不動産評価が否定されたわけではなく、あくまでも「過ぎたるは及ばざるがごとし」の事例として捉えるべきです。しかしながら、どこまで行くと「やり過ぎ」なのかは個別判断とせざるを得ず、不動産投資を検討される際には税理士の見解にも耳を傾けてみてはいかがでしょうか。

        (担当:税理士 前田 智美)

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