2022年10月15日
Organic & Sustainable Review from M. Tokue
一般社団法人フードトラストプロジェクト(FTP)
徳江倫明
オーガニック&サステナブル通信
有機農業、オーガニック、食の安全環境問題、
生物多様性、SDGs情報等の情報を配信
Vol.104号
ロシアのウクライナ侵略も核兵器使用の可能性が高まり、
どこで終息するのかわからない状況です。
更に最近のロシアのミサイル攻撃の標的が天然ガスのパイプライン爆破であったり、供給そのものを止めるということであったり、
さらには穀物の不足をつくり出す戦略など見ると、戦争の本質が
エネルギーと食料にあることを、とてもリアルに感じます。
日本においても、ほぼ100%を輸入に頼る化学肥料原料・飼料穀物の高騰が続き、全国の農家、酪農家が苦境に立たされている中、
今回は公開されている国と自治体による緊急の支援策をまとめました。また、これに関連する主要な記事を幾つか取り上げました。
しかし、一方で手数料率一定のJAにとっては、価格高騰は
そのまま利益の最大化をもたらすということになり、
今年は、最高益を出すのではないかという話も伝わってきます。
さらに、国、自治体による支援策がどの様な構造で行われるかも
気になるところです。今回のトピックはこの問題に関する記事を
集めてみました。
まさに、50年、100年先を見た取り組みの一つは、森里川海の健全な維持と、それが作り出す地域の有機物循環を活用し、地域資源で堆肥等を持続可能な形で創り出していく有機農業の推進にあると
言えます。
今年は、“みどりの食料システム法”が成立し、
日本の有機農業元年ともいえる年になりました。当会では、それに際し11月23日
「有機農業 これまでの50年、これからの50年を語りつくそう」と題したシンポジウムを開催します。
注目のイベント欄に案内があります。どうぞご参加ください。
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・注目トピックス
・今月の注目イベント
・オーガニックの動向
・食料、農業、地域づくり
・環境、サステナブル関係
・アニマルウェルフェア、ヴィーガン
・各メディア紹介/注目商品・企業
■ 注目トピックス ━━━━━・・・・
かつてないほどの肥料・飼料の高騰が続き、全国の農家、酪農家が苦境に立たされて
いる中、今回はWEBで公開されている国と自治体による緊急の支援策をまとめまし
た。また、これに関連する主要な記事を幾つか取り上げました。
・肥料高騰はいつまで続く? 国や自治体による肥料高騰対策支援事業まとめ
https://smartagri-jp.com/agriculture/5144
・餌、肥料、燃料の高騰に生産者悲鳴 JAが緊急要請、補助へ動く行政
https://www.asahi.com/articles/ASQ7601CGQ6WUTPB00R.html
・畜産対策決定 配合飼料1トン6750円 10~12月上昇分を補填(*全文は
無料登録が必要)
https://www.agrinews.co.jp/news/index/104702
・肥料価格上昇分の9割まで上乗せ助成へ 千葉県が農家への独自支援へ11億円余を
予算化
https://www.jacom.or.jp/shizai/news/2022/09/220914-61570.php
・肥料補填、24県が上乗せ 国の「7割」に、補正予算で
(*全文は無料登録が必要)
https://www.agrinews.co.jp/news/index/107560
・政府の肥料高騰対策、使用量を減らすほどメリット大きく。目的は「農家の行動変
容」
https://agri.mynavi.jp/2022_10_04_205302/
・飼料用油脂が高騰 原料価格2倍超に 航空燃焼と争奪戦(*全文は無料登録が必
要)
https://www.agrinews.co.jp/news/index/104162
・国内大手の豚・牛畜産グループ「神明畜産」が民事再生 負債総額は574億円
https://maonline.jp/articles/tsr0410-shinmei
・「子牛の引き取り手がいない」 畜産大手の民事再生法申請の影響は
https://agri.mynavi.jp/2022_09_23_204540/
・【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】正念場続く農業・酪農情勢~支え合う
仕組みが足りない
https://www.jacom.or.jp/column/2022/09/220929-61854.php
■ 今月の注目イベント ━━━━・・・・
・第3回とことんオーガニックシンポジウム「有機農業 これまでの50年、これから
の50年を語りつくそう―藤本敏夫没後20年記念シンポジウム―」開催のお知らせ
https://tokoton3-organic.peatix.com/
主催:一般社団法人フードトラストプロジェクト
日時:2022年11月23日(水・祝) 第1部12:00~16:30・第2部18:30~20:30
会場:東京ミッドタウン日比谷6F BASEQホール1
申込リンク:https://peatix.com/sales/event/3389162/tickets
・「グリーンな栽培体系を学ぶ第1回オンラインセミナー」
https://www.maff.go.jp/j/press/nousan/gizyutu/220920.html
「みどりの食料システム戦略」の実現に向けて、農業現場での実践や拡大を目的とし
て、オンラインセミナーを開催いたします。「総合的病害虫管理(IPM)と天敵利
用」 では、総合的病害虫管理(IPM)の基本的な考え方と、露地および施設での天敵
利用方法を紹介します。「緑肥等の有機物による土づくりと化学肥料代替」では、土
づくりに役立つ緑肥の効果と、後作物の減肥につなげるためのポイントを紹介しま
す。今回のオンラインセミナーを通して、各産地の取組状況について知ってもらい、
「グリーンな栽培体系」についての理解を促進します。
主催:農水省
日時:10月26日(水)13:00分~16:10
参加費:無料
事前登録フォーム:https://hubs.ly/Q01l2NBN0
登録締切:10月19日(水)
・「アグリビジネス創出フェア2022」
https://www.jacom.or.jp/nousei/news/2022/10/221006-61986.php
主催:農水省
期間:10月26日(水)~10月28日(金)10:00分~17:00
場所:東京ビッグサイト
参加費:無料
事前登録が必要:https://agribiz.maff.go.jp/register
・「全国オーガニック給食フォーラム?有機で元気!?」開催!!
https://morinohito.net/information/4455/
主催:全国学校給食フォーラム実行委員会
後援:中野区
日時:10月26日(水)14:00~18:20
会場:なかのZERO大ホール(東京都中野区中野2-9-7)
定員:1200名(会場) /オンライン(zoom)3000名
参加費:1000円
申込:https://organicschoollunchforum-1026.peatix.com/
・「自然栽培フェア」
https://nakano.keizai.biz/headline/2468/
中野で2年ぶりのリアル開催へ、オーガニック生産者ら一堂に
主催:NPO法人オーガニック事業協会
期間:10月29日(土)、30日(日)10:00~16:00
場所:中野セントラルパーク パークアベニュー
入場無料。荒天中止、少雨決行。
・オンライン環境学習講座「食品ロスをおいしく減らそう」
https://www.jacom.or.jp/ryutsu/news/2022/09/220928-61814.php
主催:東京都
日時:11月26日(土)13:30~15:00
方法:Zoomウェビナー
講師:東京聖栄大学付属調理師専門学校教員 村上匡氏
参加費:無料
申し込みフォーム:https://www.tokyokankyo.jp/form/?sid=412
申込期限:11月26日11:00
・プレミアムフードショー第6回オーガニックフードEXPO 2023出展者募集中
https://ofj.or.jp/ofe/top.html
主催:一般社団法人オーガニックフォーラムジャパン
会期:2023年4月12日(水)-14日(金)10:00-17:00
会場:東京ビッグサイト東ホール
申込リンク:https://ofe.ofj.or.jp/ofe_ex/ofexpo.html
申込期限:2023年1月31日
■ オーガニックの動向 ━━━━・・・・
・「有機」官民で推進へ 定期的な会合開催確認 日本オーガニック会議
https://www.agrinews.co.jp/news/index/104208
・金子美登さん死去 日本の有機農業けん引
https://www.agrinews.co.jp/news/index/105790
・求められる有機農業の再定義 ポイントはすべての生き物を生かし、増やすことに
ある
https://seikatsuclub.coop/news/detail.html?NTC=1000001958
・耕さない有機農業はなぜ注目されるのか ロデール研究所CEO「食は健康な土壌か
ら」
https://globe.asahi.com/article/14718930
・在来種・固定種のみの種苗を無肥料・無農薬で育てる「OHARA FARMYシェアファー
ム」
https://eleminist.com/article/2272
・茨城大学農学部で育てた作物を子ども食堂へ―多くの方の協力で命をつなげる―
https://www.ibaraki.ac.jp/news/2022/09/26011718.html
・トキ放鳥15年 羽ばたけ共生の心 環境配慮型農業を佐渡から発信
https://www.agrinews.co.jp/news/index/105010
■ 食料、農業、地域づくり ━━━━・・・
・『みどり法』本格運用開始 24年にモデル地区50創出
https://www.jacom.or.jp/nousei/news/2022/09/220915-61599.php
・みどり戦略へ技術解説 農水省 農家、指導員向け講習会 月1回 先進産地の報
告も(*全文は無料登録が必要)
https://www.agrinews.co.jp/news/index/105730
・基本法の検証がスタート 農業の価値「国民の理解を」 食料・農業・農村政策審
議会
https://www.jacom.or.jp/nousei/news/2022/09/220930-61878.php
・米粉用米振興に本腰、生産者30年度3倍へ 農水省(*全文は無料登録が必要)
https://www.agrinews.co.jp/news/index/102603
・”5年間コメを作らないと交付金カット” 水田活用直接支払交付金が厳格化され
るなか、麦・大豆・飼料用トウモロコシへの助成は?
https://agri.mynavi.jp/2022_10_06_205737/
・雇用就農が過去最多 21年15%増 若手は「親元」上回る(*全文は無料登録
が必要)
https://www.agrinews.co.jp/news/index/107840
・輸入菌床シイタケ激減 産地表示変更控え「純国産」注目
https://www.agrinews.co.jp/news/index/105008
・ジビエ利用量最多 21年度 コロナ禍から回復18%増 鹿肉牽引28%増 農
水省
https://www.agrinews.co.jp/news/index/107327
・「バイオ炭」実証・活用 長野県でプロジェクト始動 農産物商品PRも JAや生協
https://www.agrinews.co.jp/news/index/102833
・立命館がバイオ炭による炭素貯留のJ-クレジットを日本の大学で初めて購入
https://newscast.jp/news/1279872
・EUが炭素貯留で法制化 農業、脱炭素の主戦場に(会員登録で、月10本まで無料閲
覧)
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO64230240Q2A910C2EA4000/
・農水省、農産物生産のCO2算出簡易ツール公表。まずコメ、トマト、キュウリの3品
目
https://sustainablejapan.jp/2022/09/13/agriculture-co2/77148
・生協の宅配インフラで使われない食品を回収 フードドライブ パルシステム千葉
https://www.jacom.or.jp/ryutsu/news/2022/09/220921-61668.php
・地域資源を最大限活用した「里山牛プロジェクト」がThe Japan Times
「Sustainable Japan Award 2022」で優秀賞を受賞
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000107763.html
・環境に配慮した農産物「一般商品と同等価格なら買う」5割 日本公庫調査
https://www.jacom.or.jp/nousei/news/2022/09/220916-61636.php
・Z世代「農業に関心ある」65% 短期ボランティアや短期就労の利用意向も トラス
トバンク
https://www.jacom.or.jp/ryutsu/news/2022/09/220930-61873.php
・土壌診断・生育診断を通じた施肥設計に アプリ提供とLINE無料相談窓口を開設
サグリ
https://www.jacom.or.jp/shizai/news/2022/09/220922-61710.php
・衛星技術を農業へ!畑の現状を把握・可視化し、圃場管理の労力・コストを削減
https://agrijournal.jp/renewableenergy/68643/
・農家が使う農業アプリ8選 利用農家や制作者の声から知る、おすすめポイントやノ
ウハウ
https://agri.mynavi.jp/2022_09_29_203394/
・果実・野菜摂取多いと―― 死亡リスク約10%低く 横浜市立大など10万人追跡調
査
https://www.agrinews.co.jp/news/index/101905
・「ポケマル親子地方留学」全員が「生産者のもとへ再訪したい」と回答 雨風太陽
https://www.jacom.or.jp/ryutsu/news/2022/09/220928-61801.php
・養老孟司さん、不耕起栽培を語る「1万年続けたことでも、180度違うこと考えてい
い」
https://globe.asahi.com/article/14722504
・対談)すでに日本は「食料危機」に突入している
https://seikatsuclub.coop/news/detail.html?NTC=1000001846
・対談)「飽食」と「呆食」の時代は過ぎ去ったのだから
https://seikatsuclub.coop/news/detail.html?NTC=1000001847
■ 環境、サステナブル関係 ━━━・・・・
・主要47カ国の発電量 エネルギー危機の中で自然エネルギーが増加、火力と原子力
は減少
https://www.renewable-ei.org/activities/column/REupdate/20221006.php
・エネルギー危機に対する欧州の選択
https://www.renewable-ei.org/activities/column/REupdate/20220913.php
・日本の水素戦略の再検討 「水素社会」の幻想を超えて
https://www.renewable-ei.org/activities/reports/20220909.php
・エネルギー安全保障対策、みどり戦略後押しへ。バイオマス活用80%目標
https://agri.mynavi.jp/2022_09_09_203297/
・都、新築住宅「太陽光パネル」義務化 25年4月施行 を目指す
https://www.kankyo-business.jp/news/e650ce9d-9fc4-48d9-860f-4ce66a071a42
・太陽光パネルの大量廃棄が予想されるのは2036年頃。私たちが今できるのは、パネ
ルのリユースやリサイクルが当たり前の未来をつくること
https://greenz.jp/2022/10/07/npc_panel_reuse_recycle/
・環境省グリーンライフ・ポイント付与が順次スタート。企業の行動変容能力問われ
る
https://sustainablejapan.jp/2022/10/02/env-green-life-point/77724
・フランス「2時間半以内の国内線を禁止」 プライベートジェットの規制も検討
https://eleminist.com/article/2243
・世界初となる食肉広告を禁止へ オランダ・ハールレム市が2024年より実施
https://eleminist.com/article/2269
・日本 政府が人権DD指針策定、強制労働の防止求める
https://www.alterna.co.jp/52265/
・「いまだ新彊綿が使われている」世界ウイグル会議総裁が訴え
https://www.alterna.co.jp/55092/
・「気候変動の危機感伝えたい」、大学生がCOP27へ
https://www.alterna.co.jp/55613/
・読者59人のリアルな声をもとに、座談会を実施 私たちが本当にほしいサステナブ
ルなアイテムとは?
https://eleminist.com/article/2225
・「大手町の森」、ビジネス街に本物といえる自然を組み込む
https://www.alterna.co.jp/55096/
・12月5日の「世界土壌デー」とは 制定の目的と世界が直面する危機を学ぶ
https://eleminist.com/article/2261
・「サステナブル★セレクション」2022三つ星に5件
https://www.alterna.co.jp/52369/
■ アニマルウェルフェア、ヴィーガン ━・・
・アニマルウェルフェアウォッシュに気をつけよう
https://www.alterna.co.jp/52428/
・カゴメがプラントベースフードについて調査 「味に不安を抱えていたが、また食
べたい」多数
https://eleminist.com/article/2301
■ 各メディア紹介/注目商品・企業 ━━・・
<書籍・メディア>
・「SHARE THE LOVE 大地を愛する人々」
命の源「大地」に人生をかける 農家57人のストーリー
https://www.asahi.com/and/article/20220718/420138544/
・「世界食料危機」
ウクライナ危機が浮き彫りにする飢餓の構図
https://www.nochuri.co.jp/publication/books/9033.html
・デジタルメディア「和牛新聞」創刊
畜産農家から流通業者、消費者を結プラットフォーム
https://www.agrinews.co.jp/news/index/104704
<注目企業・商品>
・TADORi、製造工程と原価を透明化したモンゴル産「タドれるカシミア」を発売
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000130.000050516.html
・パタゴニア創業者、「地球が唯一の株主」 全株4300億円を環境NPOなどに譲渡
https://www.sustainablebrands.jp/news/os/detail/1210851_1531.html
・ネスレ、「ネスカフェ プラン2030」を発表 再生農業を推進し、温室効果ガス排
出量を削減、またコーヒー生産者の生活向上を支援
https://www.zaikei.co.jp/releases/1815423/
・おしゃれなバッグ型コンポスト、小田急が無償貸し出し
https://www.alterna.co.jp/52267/
・ミズノのサステナブルシューズ「WAVE NEO COLLECTION」約10万本の植林でCO2を
オフセット
https://eleminist.com/article/2305
・植物性洗剤「Happy Elephant」で“人間もゾウもしあわせに暮らせる地球”へ
https://eleminist.com/article/2242
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【発行】一般社団法人フードトラストプロジェクト
【編集協力】株式会社UPDATER
【記事協力】一般社団法人オーガニックフォーラムジャパン 株式会社オルタナ
Organic Press 一般社団法人日本有機農産物協会
お問い合わせ・連絡先……
〒104-0032 東京都中央区八丁堀2-22-8内外ビル7階
TEL:03-3523-0028 FAX:03-3523-0861
MAIL: ftpinfo@food-trust.jp
※@を小文字に変換してください
事務局 渡邊竜史
話のタネ・どうか翼を切らないで
前略、
先週、多くの中学生と接する機会がありました。
大阪の富田林中学一年生の生徒たちを対象にした「世界をめざそう」と題したオンライン講演と、ジャッジとして参加した高円宮杯全日本中学校英語弁論大会の準決勝です。
最近の中学生の様子の一端を知る良い機会でしたが、生徒たちの
元気で才気活発なこと、それに国連やSDGsなどの知識、英語のレベルが極めて高いことにびっくり仰天しました。
中学生と言えば、12歳から15歳ぐらいの、伸び盛りの子供たちですね。私などは、大阪の田舎育ちですから、そのころの思い出と言えば、毎日遊び惚けていたことと、英語のアルファベットを
習い、辞書は「字引く書なり」、お妾さんは「困窮売淫」と発音することを教わったこと、「少年老い易く学成り難し」の漢詩を覚えたことなどと共に、淡い初恋の人に出会ったことなどがあるくらいで、大勢の人前ではすぐ赤面する恥ずかしがり屋でした。
ところが、富田林中学校一年の生徒たちは、物おじせず、
元気いっぱいでした。今でも、「起立、礼!」の慣行は続いているのですね。授業後半の質問の際には、多くの手が一斉に上がりました。どのようにして国連で働くようになったのか、月給はどのくらいかなど、多くの質問が出されました。あとで送ってもらった感想文には、「ミャンマーで赤ん坊にポリオのワクチンを打ちにいかれた話を聞いて、
「国連の仕事はこんなにも充実した仕事なのかと衝撃を受けました」「国連職員は、給料は普通の人の少し上くらいなのに、何よりも
世界のことを考えられる人なのかなと思いました」
「自分も、世界に羽ばたけるようになりたいと思います。英語、
がんばります。講演を聞いて、新たに将来の夢がきまりそうです」と、けなげな言葉がつづられています。中学校一年生ですよ!
他方、高円宮杯全日本中学校英語弁論大会の準決勝は、赤坂区民センターで行われました。
コロナ禍のために、全国の地区予選を勝ち抜いてきた40名の生徒の5分間のスピーチを、ビデオで見ての審査でした。各生徒の英語スピーチのレベルの高いこと!発音、イントネーションなども申し分ない生徒がほとんどで、点数で差をつけるのに苦労しました。
この大会に帰国子女は参加資格がありませんから、皆さん国産の
努力が実ったものですよ! 臆せず堂々として、プレゼンも上手なこと!心底びっくり仰天しました。日本の中学生の英語レベルは、
こんなにも高くなっているのかと、驚くやら、嬉しくなるやら、
いっぺんに日本の将来に明るい希望が開けてきた気がしました。
特に大多数を占めた女生徒の英語のレベルや、プレゼンの上手さは、目を見張るものがあり、今後このような女性の活躍ぶりが楽しみです。
このような中学生が大きくなったら、さぞや日本も変わるだろうと期待はふくらむのですが、心配があります。
このような元気いっぱいの中学生は、日本の新しい世代の成長と
変化を示しているものなのでしょうか? あるいは、この子たちが大きくなるにつれて、今の大半の大学生や大人のように、ボツ個性の、集団の一人でしかない人に変わっていくのでしょうか?
後者の恐れは大いにあります。
例えば、ほとんどの大学や社会のセミナーなどでは、講義や講演のあと質問する人はまばらです。
質問があっても、周りを気にして手を挙げません。40歳になったら世界で活躍しているかと思う日本の若者は、世界各国に比べて
格段に少ないのです。少し古いですが、下記の調査結果をご覧ください。
英語の好き嫌いについては、以下の表を見てください。中学生までは半数以上が英語を好きと答えているのに、高校生になるとずいぶん減ります。大学生にも、講演に行った機会に何度か聞きましたが、もっと少ないです。
日本の教育に、もっと自由とか、自立心、個性を伸ばす教育が必要と叫ばれてきましたが、目立った改善の兆しはあるのでしょうか?フィンランドやデンマークでは、自立心や自尊心をはぐくむ教育が盛んだということで、その教育ぶりを学ぼうと日本から研究者や
関係者が現地視察をしているのを知っています。徐々に、日本の
教育も変わっているのでしょうか?
2014年にノーベル平和賞を受賞したマララ・ユスフザイさんの父親は、マララさんにどのような特別の教育をしたのかと問われて、「私は彼女に教育を与え、翼を切らなかっただけだ」と話しています。下記の朝日新聞のインタービューもそうですが、ユーチューブのTEDで彼のスピーチを聞くことができます。
私は、小泉元首相も毎朝真っ先に読むという、読売新聞の「人生案内」記事を、よく読みます。日本の家庭での諸問題の傾向がよく分かります。親が子供の教育や進路、結婚などに口うるさく、
しかも成年に達した後も長くちょっかい、介入して、
子供の翼を切っている例がなんと多いことでしょうか!家庭だけではありません。日本社会全体に、同調圧力や世間体といった足かせがあって、あれするな、これするなの洪水ではないでしょうか?
これでは、せっかく元気いっぱいに育った中学生の翼が切り取られて、世界に飛躍することができなくなってしまいます。
富田林中学校では、「世界をめざそう」との話に、生徒が活発に応じてくれました。高円宮杯弁論大会で聞いた中学生のスピーチの
大半は、自分の理想を大事に、差別や偏見をなくして、
世の中を少しでも良くしたいとの内容でした。どうかこの子たちの翼を切らないで、と心から願わずにはいられません。この子たちが、大きく成長して、日本の将来を明るくしてくれることを期待しています。(了)