「フランスでの生活 第35話 アルカッションでの生活」
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ドアンスの生活は既に1年となり、僕のフランス語も多少の進歩があり、
中高等学校(Lysee)へ行く事になった。
そのリセは、アルカッション(Arcachon)と言うフランス有数の避暑地にあった。
ボルドーから西へ約54km、フランスで言うなれば南西一の高級避暑地であった。
アルカッションは大きな湾に面していて町(7.56km²)だけでも1962年には人口1万5千人が、湾に沿って( 329Km²)住んでいる住民は6万2千人。
多くの有名人の別荘が立ち並ぶ。
サルコジ前大統領なども別荘を持っていて、
かの有名なアラン・ドロンのお気に入りの別荘もある。
湾の水温は年間通しておよそ20度と温暖なため美味しい牡蠣が育ちやすかった。そのためか養殖量はフランス全土の83%を占めている。
町に出ると、いたるところで生牡蠣に白ワイン、又はロゼ・ワインで食べている姿が見られる。 日本の様にお皿に3個などと言うしみったれた食べ方はしない。一人2ダースは食べている。
まるで生牡蠣でおなか一杯にするかのごとくである。
ピナス (pinasse) と言うアルカッション特有の船の往来を眺め、そよ風を受けながらテラスで冷やしたワインを飲む。 何とも優雅と言うかのんびりした気分がうらやましい。
湾にはヨーロッパ一、高い砂山デュンヌ・ド・ピラ(dune de Pyla)がなだらかに湾へ注いでいるかのようである(100m超)。 実際の所は海からの風が陸に向かって毎年1mずつ押し進んでいるそうだ。
そんな風光明媚な場所にあるリセ・グラン・テール校(Lysee Grand air)の寮に入る事となった。この中高等学校名は大いなる(空気)環境を意味する。
建前は喘息、身体に問題のある生徒たちの為の学校であったが、実際の所ほとんどの生徒はコネによってフランス中からやって来ていた。 広大な敷地の中にはサッカー、ラグビー、テニスとなんでも出来そうな場所でしっかりした校舎が存在していた。
【 道上 雄峰 】
幼年時代フランス・ボルドーで育つ。
当時日本のワインが余りにもコストパフォーマンスが悪く憤りを感じ、自身での輸入販売を開始。