BIS論壇 No.394『日本の大学・世界ランキング急沈下』中川十郎22・10・28

近年の日本の政治、経済の世界での衰退ぶりは、近時の自民党の旧統一教会との驚くばかりの癒着ぶりなど目を覆うばかりだ。

経済面でも本年4月からの上半期の日本の貿易赤字が過去最大の11兆円に達し、一年で20兆円を超える赤字に達する勢いである。日本人一人あたりに換算すると、国富一人当たり約20万円が外国に流出することになる憂慮すべき事態だ。

通貨高競争に於いても日本は一人取り残され、米国金利3.5％、カナダ２．5％、韓国３％、英国2.25%、ユーロ圏1.25%に比し、先進国では日本が唯一 マイナス0.10％という超低金利だ。ドル独歩高の中、円の弱さが目立っている。今年初めから10月中旬にかけてタイ・バーツやインドネシア・ルピアに対しても日本円は1~2割下げて世界が驚いた。日本の円安は食料・エネルギー危機の深刻化で、日本国民の生活にさらに悪影響を与えつつある。

日本人の賃金は過去20年で３％しか増加しておらず、お隣の韓国の40％増、米国の30%増に比べ、日本は途上国並みの低賃金国に落ちぶれつつある。

政治、経済のみでなく、国の根幹たるべき教育分野においても、特に日本の大学の衰退ぶりは目も当てられない由々しき事態に立ち至っている。このままだと教育から日本は衰退を加速化させるのではないか。アジアを中心に外国の有識者が日本のことを『年老いたゴールドメダリスト』、『衰退途上国』と揶揄するのもさもありなんと思われる。日本の「政・官・財・学」の抜本的な対策と改革が強く求められる。

英国教育専門誌タイムズ・ハイヤー・エジュケーション（THE）がこのほど「2023年の世界大学ランキング」を発表した。この評価は教育、研究、知識移転、国際的展望の4つの分野での教育機関のパーフォーマンスを測定。104の国と地域の1799の大学が評価された。

結果、日本の大学のランキングは急降下しており10年前と比べても格段に評価が下がり日本の教育は由々しき事態に立ち至っている。だが文科省を始め関係者の危機感は希薄だ。

 

以下、世界でトップ１0⃣の大学と日本の大学の順位は下記だ。

１位） オックスフォード大学(英) ２）ハーバード大学(米)、３）ケンブリッジ大学(英)、

４）スタンフォード大学(米)、５）マサチューセッツ工科大学(米)、6)カリフォルニア工科大学(米)、７）プリンストン大学（米）、８）カリフォルニア大学バークレイ校（米）、

9）イエール大学(米)、10)インぺリアル・カレッジ・ロンドン(英)

アジアのトップは精華大学(中国)で16位。シンガポール国立大学19位。日本の大学は遥かに下位で、東大 39位、京大68位 という情けない状態だ。ほか東北大学 201~250位、

大阪大学251~300位、名古屋大学 301～350位、東京工業大学 301～350位、北海道大学

501～600位、九州大学 501～600位、慶応義塾大学 801～1000位、近畿大学 801～1000位、立教大学1001～1200位、早稲田大学 1001～1200位と下位を独占。憂うべき状態だ。