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         2022年11月4日発行

        世界の最新トレンドとビジネスチャンス

        第316回

        11月8日の中間選挙はアメリカ終焉の象徴か

        中国に買収される米企業

        浜田和幸

         

        ウェブで読む:ウェブで読む:https://foomii.com/00096/20221104100000101492

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        間近に迫ったアメリカの中間選挙です。

        下馬評ではバイデン大統領の率いる民主党は上下両院で

        議席を失い、共和党に議会の多数派を奪われることになりかねません。

         

        その最大の理由は、加速する一方のインフレやガソリン

        価格の高騰に対してバイデン政権が有効な手立てを講じていないからです。

        何しろ、半数の国民が物価高の影響で健康にまで不安を感じているとのこと。

         

        確かに現在のインフレの上昇率は8%を超えています。

        有権者の37%はストレスに悩まされ、21%は健康的な食事がままならない状況下で、タバコとお酒に過度に依存するようになった模様です。

         

        中間選挙において、大きな争点は

        「インフレ、犯罪、移民」の3つに集約されています。

        ブルームバーグでは「2023年に不況に突入する」との予測を公開。

        中には、中間選挙の前後にアメリカ発の株価の大暴落が

        発生すると警告を発する専門家も出てきました。

         

        アメリカ国民の4分の3は「電気代やガソリン代の値上がりで生活苦を感じている」と答えています。

        これだけ多くの国民が生活苦を訴えているにもかかわらず、アメリカの政治家は民主、共和を問わず、相手を非難することばかり熱心で、問題の解決に本気で取り組む姿勢が感じられないわけです。

         

        バイデン大統領もトランプ前大統領も「選挙が公正に行われていない」と投票日の前から無効を示唆する発言を繰り出しています。

        こうした状況では、11月8日の中間選挙は有権者が投票に向き合う最後の機会になるかも知れません。

         

        日本でも政治離れや選挙への無関心が広がっていますが、アメリカでは候補者や選挙管理委員会のスタッフが襲撃されたり、中には殺害されるような事件が相次いでいます。

        先週もナンシー・ペロシ下院議長の夫がサンフランシスコの自宅で侵入してきた暴漢にハンマーで殴られ重傷を負ったばかりです。

         

        犯人はペロシ議長を狙ったと言われていますが、実は、

        アメリカ各地で民主、共和を問わず立候補者や選挙運動員が襲われる事件が頻発しています。

        民主主義の根幹たる選挙が成立しなくなりつつあるわけです。

        その意味でも、「今回の中間選挙がアメリカでの最後の選挙になる」との悲観的な見方も出てきました。

         

        その背景にはアメリカ経済そして企業の衰退という現実が隠されています。

        誰もが知っているような大企業が相次いで中国の軍門に下っているのです。

         

        例えば、発明王トーマス・エジソンが立ち上げた「ゼネラル・エレクトリック(GE)」は2016年に中国の「ハイアール」に54億ドルで買収されました。

        同じ年、「ヒルトンホテルグループ」も中国の「HNAグループ」に65億ドルで経営権を譲渡しました。

        「AMCシアターズ」も大連の「ワンダ・グループ」に

        2012年に26億ドルで買収され、全米8200か所の映画劇場は中国の所有になっているのです。

         

        また、世界最大の豚肉生産会社である「スミスフィールド・フーズ」は「シュアンフイ」に2013年に47億ドルで買収されています。

        アメリカ最大の自動車メーカーである「ゼネラル・モーターズ(GM)」でさえ、1998年に「上海自動車」の傘下にはいっています。

         

        「IBM」のパーソナルコンピューター部門は2005年に「レノボ」によって12億5000万ドルで買収されてしまいました。

         

        いずれもアメリカを代表するブランド企業ばかりですが、今や中国企業になっているのです。

        これらは氷山の一角に過ぎません。

        アメリカの主要企業が次々と中国に抑えられてしまい、

        アメリカ人の雇用が危機的状況に陥ってしまったのです。

        最も衝撃的だったのは「マイクロソフト」でしょう。

        誰もがビル・ゲイツの会社と思っているに違いありませんが、2016年に少なくとも電話事業は3億5000万ドルで「FIHモバイル」に買収されました。

        同社の4500人の社員は中国人のトップの下で働いているのが現実です。

         

        要は、アメリカ経済や雇用を支えてきた基幹産業が中国の影響下に入ってしまったと言っても過言ではありません。

         

        有効な経済対策を打ち出せず、自国企業を守れないアメリカ政府に国民は愛想をつかすばかりです。

         

        11月8日の中間選挙に有権者がどう反応するでしょうか?

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