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        第43話 「モスクワ滞在」

        ________________________________________

        モスクワに着いた。生まれて初めてのソビエト連邦。

        生まれて初めての共産圏。

        日本はアメリカ寄りの情報、教育の為、ソビエト連邦国を色眼鏡で見る傾向が強かった。 ましてや地方では社会主義国は良くない。

        共産主義国は怖いと思っている人達が多かった。

        僕の愛媛県八幡浜では社会党の人達を、あいつは赤だと呼んでいた。

        そう言った固定観念がフランスに居た数年間でも僕の観念として残っていた。

        フランス人、特に高齢の方達は親ロシア、アンチ・アメリカの人達が結構多かったのにはびっくりした。

        フランスはアメリカに助けられ終戦になったのではないか?

        フランス人の持つそのあたりの感覚が僕にも良く理解できないところだった。

        旧ロシアの貴族達は、革命後フランスでタクシーの運転手をしている人達が多かった。

         

        泊ったホテルは大きな広場に面した(赤の広場に近い)超高級ホテル、建物の外観が素晴らしかったのだと思う。

        中に入るとまるで3つ星の安ホテル。天井は高いがまるで病院の様だ!

        案内の人に遠くには行かないで下さいと言われたのであえて出掛けなかった。

        汽車で散々な思いをした後だけに、あえて冒険しようと言う思いは無かった。

        外国人が郊外へ行こうものなら警笛を吹かれる可能性があるといった時代。

        これじゃ何処にも行けないので 大人しくホテルにこもることに。 まるで今の北朝鮮。

        今にしてみれば残念でならない。

        多くの芸術品を持つ美術館を見逃してしまった。

        世界一のバレー団を見逃してしまった。

        オーケストラによるクラシック音楽もだ!

        教育とは多感な子供に多くの感動を奪っている事に気が付いていない。

        ロシアは世界に誇れる芸術の宝庫だ。

         

        日本人は皆、ホテルの同じフロアに押し込まれた。このフロアの女中さん達はおそらく日本語が解るソビエト人だが、解らないふりをして掃除をしている。

        真夜中の12時には部屋に居るかどうか確認の電話が入る。

        だから怖い国と誤解される。

        街並みを見ても貧しさを感じ日本フランスに比べると近代化と言う面ではるかに劣っている国だった。

        日本もそうだが、きっと彼らも間違った教育を受けているのだろう。

         

        僕は、同室になった中島さんと一緒にウォッカを飲んだくれていた。

        この中島さんは、当時明治学院大学の剣道部副主将で、後に三菱重工に入り、 30代の時会社を辞めて再び単身ヨーロッパへ渡った。剣道をイタリアに広めるべく、という目的で7年ほど行っていたかと思います。

        帰国してから三菱重工に再就職。

        しかも役員まで上り詰めたという稀にみる経歴の人でした。

         

        この中島さんとは列車の中で知り合った。

        パリでスリにあってお金は全て取られてしまったとのことでしたので、道中少し御馳走しました。

        日本人が持つ素晴らしいところをすべて持ち合わせているような方で、帰国してからは随分とお世話になりました。

         

        こんな時間を次のハバロスク行きの飛行機を待ちながら4日間過ごすこととなった。

        ホテルで知り合ったフィンランド人カップルと仲良くなり、彼らの部屋で酒を飲むことになった。

        女性の方は凄く美しい人で、しかも親日家。嘘かまことか定かでないが日露戦争のおかげでフィンランドはソビエト連邦から独立出来たと言っていた。

        しかしウォッカは強い。皆しこたま飲んで酔っ払いました。

         

        当時はテニス・シューズとかあるいはボールペン1本でも結構な量のキャビアと交換できた。

        街を歩くと声が掛かってきます。「それ頂戴!」僕の持ち物を指差しています。

        こっちも負けじと「キャビアと交換!」と言う。するとOKと返事がきて簡単に交渉成立です。

         

        今ではロシアでも3Aのベルーガはキロあたり市場で15万円はします。(飛行場の免税店では倍以上です)

        しかもそれを持ち出そうとして見つかると没収か、約3万円の「賄賂金」を払うはめになります。

         

        だが食事の事はあまり覚えていない。

        あまり美味しい印象が無くクリーミーなものが多く満足な食事の覚えがない。

        町の美味しい所へ行っていなかったせいだと思います。

        ただやたらと飲んだくれて居る人が多いのにはびっくりした。

        フランスでは飲んだくれて居る人たちは基本ルンペンで、飲んだくれている人達にまともな人は居なかった。

        しかもどうやらロシア人だけでなく、スカンディナビア人だ。

        彼等は必ず飲んだくれて酔っ払っている。

        スウェーデン、フィンランド、デンマーク人達。 スカンディナビアへは行ったことがないが、真面目な良い人たちが多いというイメージと、美人が多いというイメージしかなかった。

        世界的に有名なパリのリド(レビュー・キャバレー)ここのダンサーはスウェーデン人が多かった。

        フランスでは綺麗な女の象徴はスウェーデン人。

        ”スウェーデン女性の様に美しい”という言い方をよくしていた。

        確かにフランス人形などは決してフランス人女性の顔では無く スウェーデン人女性の顔が多かった。

         

        そこでフランス人に聞いた。

        スカンディナビアの人達は何故海外へ行くといつも酔っ払っているのかと。

        まともな答えでは無かったが、どうやらスカンディナビアではお酒の値段がすこぶる高く海外へ行ったときに思い切り飲むんだと。

        でもその答えには納得できなかった。

        社会保障が行き届いた国ではあるが、イタリア人フランス人の様な陽気さが無く、ちょっと暗い印象を持ってしまう人達。 ひょっとして退屈しのぎに飲んで お酒に飲まれてしまっているのだろう!と思ってしまう程だった。

         

         

        【 道上 雄峰 】

        幼年時代フランス・ボルドーで育つ。

        当時日本のワインが余りにもコストパフォーマンスが悪く憤りを感じ、自身での輸入販売を開始。

        制作協力企業

        • ACデザイン
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