2022年12月11日
「国防バカ」がつくる欠陥戦略~ウクライナ戦争に学ぶ
日本の防衛力整備⑤ 「Alternative Viewpoint」第47号
東アジア共同体研究所・上級研究員・須川清司
政府は今月半ばにも、安全保障関連3文書(国家安全保障戦略、
国家防衛戦略(現・防衛大綱)、中期防衛力整備計画)の改訂を
行う。そのことを念頭に置き、AVP 前号で日本が専守防衛能力を充実させるために取り組むべき5つの課題を論じたほか、これまで様々な解説と問題提起を行ってきた。[1][1]
私は、専守防衛の穴を埋めるべく、日本の防衛力を強化することは必要であるとの立場に立つ。だが報道等で見る限り、安保3文書の着地点は、軍事を重視するあまり、中長期的な総合国力の涵養と
いう国家安全保障の最も土台の部分を崩すものとなる怖れが強い。「自衛隊と国防族栄えて国滅ぶ」と言えば、言い過ぎだろうか?
AVP本号では、私の感想を挟みつつ、現時点で判明している安保3文書改訂の内容について解説を行う。保有する兵器等の各論には立ち入らず、総論を議論するので、そのつもりでお読みいただきたい。
防衛費の近未来予想図=年率10%超えの軍拡
まず、今後5年間の防衛費がどうなるのかについて、
全体像を押さえておこう。政府・与党のとりまとめ案は既に大方
報道されている。しかし、いろいろな数字が踊っていたり、新しいカテゴリーが作られたりしているため、普通の人が簡単に理解できるとは思えない。現時点の情報に基づき、私なりに、なるべく噛み砕いて解説したい。
本稿では、具体的な財源論には敢えて触れないつもりだ。
「財源なき防衛費増に持続性などあるわけがない」とは思う
ものの、その議論に入れば、防衛費の規模感や増額ペースといった問題の本質が曖昧になりかねない。極端な話、「増税すれば防衛費をジャバジャバ増やしても構わない」という議論に陥る可能性すらある。
《11月28日の岸田総理指示》
去る11月28日、岸田文雄総理は鈴木俊一財務大臣と浜田靖一防衛大臣に以下の3点を指示した。[1][2]
(1)予算は財源がないからできないということではなく、様々な工夫をした上で必要な内容を迅速にしっかり確保すること
(2)27年度に防衛費とそれを補完する取り組みを合わせ、現在のGDPの2%に達するよう予算措置を講ずること
(3)強化された防衛力は、27年度以降も維持強化する必要が
あり、27年度に向けて歳出・歳入両面での財源確保の措置を
一体的に決定すること
第1の指示の意味は、財務省に対して「つべこべ言わずに防衛費を増やせ」と言い渡したということ。岸田は当初、もう少し財政に
配慮した増額を考えていると聞いていたが、安倍派を中心とする
右派や国防族議員たちの圧力に屈したのであろう。
1つ飛ばして、第3の指示には、二つの意味がある。
まず、今般増やす防衛費は2027年度以降も減らさない、
場合によっては増やすこともあることを明確にした。
ロシアのウクライナ侵攻後、国防費の対GDP比2%達成を表明したドイツは、今後5年間で使うために1,000億ユーロ
(約13兆円)の特別基金を創設したが、2028年以降については
方針を曖昧にしている。日本は一度増やした防衛費を減らすことはない、と現時点で決めたわけだ。
次に、防衛費を永続的に増やす以上、増税を含めた恒久財源が必要であると右派に釘を刺した。ただし、自民党内でサンドバッグ状態の岸田がこの方針を貫き通せるのか、怪しいところもある。
《27年度の「総合防衛費」≧GDP比2%》
第2の指示は、相当に〈トリッキー〉だ。
数値目標の対象となる「防衛費とそれを補完する取り組み」は何を意味するのか? 政府は、従来からの防衛費(≒自衛隊の武器・弾薬など、防衛省で計上する予算)に〈これまでは他省庁で計上していたが、本来なら防衛関連と考えてもよい予算〉を加え、
「総合防衛費(仮称)」という新しい枠組みを創設する方針だ。
広義の防衛費と言ってもよい。2021年度予算を使って具体的
イメージを示せば、下記のような感じになる。[1][3]
Ⓐ 従来の防衛費
6兆2,000億円(補正込み)
Ⓑ 海上保安庁予算(N) 2,600億円(補正込み)
Ⓒ 恩給費(N) 1,100億円
Ⓓ 内閣衛星情報センター予算(N)
800億円
Ⓔ 遺棄化学兵器処理経費(N)
510億円
Ⓕ 国連PKO分担金(N) 650億円
Ⓖ その他(N)
1,300億円
Ⓗ 防衛関連インフラ公共事業費 不明
Ⓘ 防衛関連科学技術関係予算 不明
NATO基準に拠れば、従来の防衛予算(Ⓐ)に加え、(N)のついた予算(Ⓑ~Ⓖ)も防衛費にカウントされる。
これに〈自衛隊や米軍が使用する可能性のある民間飛行場・港湾等を整備するための公共事業(Ⓗ)〉と〈科学技術関係予算(=総額4兆円)のうち、防衛利用が見込める予算(Ⓘ)〉を足しあげたものが「総合防衛費」になる。
【 コラム: 総合防衛費に対する〈水増し〉批判 】
上記でⒷ以下の予算はこれまで、
国土交通省や内閣官房、文部科学省、経済産業省等に計上されていた。ここの予算が増えて総合防衛費のGDP比が上がっても、
自衛隊の武器・弾薬は増えない。
そこで、ミサイルが欲しくてたまらない右派の人々は
「財務省は総合防衛費を創設することを通じて見かけだけ防衛費を増やそうとしている」と〈水増し〉批判を繰り広げた。
だが、NATO基準を防衛予算の物差しにするというのは、自民党が選挙公約で主張していたことである。
今になって自民党国防族が難癖をつけるのは天に唾を吐くような
行為でしかない。
また、AVP前号で述べたように、中国のミサイル攻撃から自衛隊機等を生き残らせるためには、民間空港を含め分散配置することが
最も有効な対策の一つとなる。
それを可能にするための公共事業は、〈砂上の楼閣〉のような
敵基地攻撃能力(反撃能力)よりも防衛上よほど意味がある。
米国をはじめ、軍事態勢を強化するのに必要な公共事業等を
国防予算にカウントしている国も少なくない。[1][4]
以上の観点から、私は〈水増し〉批判はひどい〈言いがかり〉だと思っていた。夏頃には、岸田総理は防衛費をここまで激増させるつもりはないと聞いていた。しかし、統一教会問題や物価高等で
支持率がダダ下がり、政権基盤が揺らぐ中、岸田は党内右派の批判に耐えられなかったと見える。岸田自身にも、「防衛問題への積極姿勢を見せれば、国民の評価を一部でも取り戻せる」と計算した
部分があったかもしれない。結局のところ、次節で述べるように、武器・弾薬を買うための「狭義の防衛予算」も劇的に増やすことが決まってしまった。
総理指示は、2027年度の総合防衛費を〈現在のGDP〉の2%以上にしろ、というものだ。2027年時点のGDPではなく〈現在のGDP〉としたのは、目標数値を少しでも低くしたい財務省の要求に応じたということだろう。
現在のGDP(約564兆円)の2%は11.3兆程度である。[1][5]
一方、2021年度(補正予算込み)のNATO基準に基づいた防衛費(=Ⓐ~Ⓖの合計)は6.9兆円でGDP比は1.24%程度になる[1][6] これにⒽとⒾを足した総合防衛費を2027年には11.3兆円まで増やすよう、岸田は命じたわけだ。ただし、ⒽとⒾにどの程度の予算を注ぎ込むのかは、今のところ不明。総合防衛費については、
(狭義の防衛費について5か年の使い道を示した)
「中期防衛力整備計画」に当たる文書を作る予定もないと言う。
少なくとも現時点では、曖昧模糊とした部分がどうしても残る。
《狭義の防衛予算総額 ⇒ 5年間で15.5兆円増加》
では、狭義の防衛費、すなわち防衛省で計上する予算からSACO・米軍再編関係経費等を差し引いた「真水の防衛費」はどうなるのか? 現在の中期防衛力整備計画(中期防)では、2019年から5年間で約27.5兆円の防衛力整備経費を費やすことになっている。
12月5日、岸田は浜田・鈴木両大臣に対して、2023~2027年度の5年間にわたる中期防で約43兆円の防衛力整備経費を計上するよう指示した。中期防経費の規模を巡っては、40兆円を主張する
財務当局――当初は35兆円を主張していたと言われる――と、
43兆円を主張する防衛当局、そして48兆円を主張する安倍派が
攻防を繰り広げていた。(安倍派の48兆円はブラフで、実際には「最低でも43兆円」が獲得目標だったように見える。) 形式的には岸田の指示の形をとっているが、自民党右派の攻勢に岸田と
財務省が押し切られたというのが実態だ。
非常に乱暴な言い方であることを承知のうえで言えば、
「5年で43兆」ということは、現在6.2兆円(2021年度、補正込み)の防衛省予算が、来年度から6.5兆、7.5兆、8.5兆、9.5兆と増えて行き、2027年度は11兆円になる、というイメージだと思ってよい。[1][7]
次期中期防対象経費が43兆円になると聞き、私が最初に思ったのは、2027年度における総合防衛費の対GDP比は2%を超えるのではないか、ということである。
2027年度には、前節で見たⒶは11兆円+SACO・米軍再編経費
(2千億円強)となる。Ⓑ~Ⓖは2021年度で約7千億円だが、海保や衛星関連予算の増加を見込めば、2027年度には1兆円を超えているだろう。ⒶからⒼの合計だけでもう12兆円を突破する。
これに防衛関連インフラ公共事業費(Ⓗ)や防衛関連科学技術関係予算(Ⓘ)が加われば、現在のGDP比2%に当たる11.3兆円を
相当にオーバーする計算になってしまう。
(この疑義が正しいか否かを判定するには、総合防衛費と中期防について詳細な説明が出るのを待たなければならない。)
2027年度には総合防衛費でGDP比2%を超え、狭義の防衛費も
11兆円程度に増額されるのであれば、これはもの凄い軍拡ペースだ。今後5年間の狭義の防衛費の増加率は年率にして10.3%になる。ちなみに、中国の2022年度の国防費は前年比伸び率が7.1%だった。日本の防衛費増加は中国並みかそれ以上のインパクトを世界に与えるだろう。
防衛費増額の悪乗り
繰り返しになるが、私は専守防衛の穴を埋めるために防衛費を増額することは避けられないと考えている。
しかし、増やせばいいと言うものではない。
日本が今後、国家予算を重点配分すべき分野は防衛関連だけではない。2027年までに今言われているような額を防衛費に回すのは、〈悪乗り〉の域に達している。
《「戦後レジームの解体」の総決算》
本家本元のNATO(北大西洋条約機構)で「GDP比2%」という
数字が生まれたのは、ドイツなど欧州のNATO加盟国の国防費負担が自らに比べて少ないことに米国が不満を強めたことに由来する。最初は2006年に〈ガイドライン〉として導入された。
その後、2014年のロシアによるクリミア併合を受け、2%未達国は10年以内に2%まで引き上げるよう努力することが合意された。
このように、NATOの2%目標は政治的に決まったものだ。
そもそも、「国防費を〇%にすれば国防上の安全が確保される」という根拠など、軍事の世界にはない。
米国の国防費の対GDP比は3.5%だ。しかし、米軍は世界中に展開しているのだから、その水準を求められても他国は困る。
日本の場合、「5年でGDP比2%(NATO基準)」の大元は自民党の選挙公約や安保提言だ。[1][8]
2%はNATOに倣っただけであり、自民党右派が政治的に作って
押し込んだ数字。
自民党選挙公約等の思想的源流をさらにたどれば、安倍晋三元総理の唱えた「戦後レジームの解体」に行き着く。
21世紀に入ると、自民党内では「日本会議」に連なる右派議員が勢力を伸ばし、安全保障の議論を牛耳るようになった。
さらに、今年2月に起きたウクライナ戦争が国民の間に広がる
嫌中感情と中国脅威論を一層増幅した。
自民党内の中道派や公明党、主だった野党も自民党右派の動きに
正面から抗おうとすることはなかった。
《有事は迫っているのか?》
百歩譲ったとして、日本有事が差し迫っているのであれば、
「5年でGDP比2%」という目標設定もまだわからないではない。だが客観的に見て、現状はそのような状況にない。
ロシアがウクライナに侵攻したことにより、日本では「次は台湾有事だ」という強迫観念が強まっている。
ところが、安全保障の専門家の間では「ウクライナ戦争におけるロシアの苦戦を見た中国は、少なくとも当面、台湾の武力統一に対して慎重になる」という見方の方が支配的だ。(ただし、日本の専門家の大多数はテレビ等でそれを言いたがらない。)
2021年3月、フィリップ・デービッドソン米インド太平洋軍司令官(当時)が米議会で「台湾を巡る危機は2027年までに顕在化する恐れがある」と述べた。
これを日本のメディアは、「中国、6年以内に台湾侵攻の恐れ」と一斉に報じた。この証言はデービッドソンが議会に国防費増加を
求める中で出てきた。「6年以内」についても説得力のある根拠は示されていない。[1][9]
「ありがたいお告げ」のように扱っているのは日本くらいだ。
台湾が独立に向かうようなことがあれば、習近平であれ誰であれ、中国共産党指導部は武力を行使してでも必ず、それを阻止しようとするであろう。
だが幸い、台湾の世論が独立志向を強める気配は今のところ見えない。今年8月、ペロシ米下院議長訪台とそれを受けた中国軍の大規模軍事演習後に行われた台湾の世論調査でも、
「できるだけ早く独立を宣言したい」は6.4%にとどまり、
86.1%が「現状維持」を望んだ。[1][10]
北朝鮮はどうか? 頻繁に行われるミサイル発射実験を受け、
日本国民の間で不安が募るのは当然である。
しかし、米軍と戦えば「必敗」して体制が崩壊することを金正恩たちは十二分に理解している。
米国の方から北の核施設を攻撃したりしない限り、朝鮮半島有事はまず起こらない。
しかも、朝鮮半島有事で主要な戦闘を担うのは米韓軍だ。
極端な話、自衛隊が参戦しなくても北朝鮮軍は確実に打ち負かせる。
《穏当な防衛費増額がよい》
防衛費を増やす以上、当面は国債発行でごまかしたところで、
最終的には国民負担増が避けられない。
しかも、経済の停滞が続く日本で防衛費だけを特別扱いすることになる。
であれば、防衛省・自衛隊も身を切る合理化を断行しなければおかしい。従来の防衛予算の中には、必要性の下がったものや非効率なものが相当あるはず。
防衛予算を全体として増やすにしても、防衛省・自衛隊に経費の
例えば5%(=年額にして3,100億円)カットを義務付けるような措置を課すべきだ。
詳細に精査した数字ではないが、中期防対象経費(狭義の防衛費)を来年度以降年率3%で増やせば、2021年度の6.2兆円は2027年度にはざっと7.2兆円に増える。
総合防衛費の対GDP比は1.5%台後半になるだろう。
年率4%増であれば、2027年の中期防対象経費は約7.5兆円、
総合防衛費の対GDP比は1.6%台後半くらいになるイメージだ。
現在の安全保障環境を冷静に見れば、これくらいのペースで十分だと私は思う。
新しい方針の下、2027年度の総合防衛費は今よりも
5兆円(=消費税換算で約2%分)以上増え、それ以降も維持されるか増加していく。
しかし、政府が歳出を増やすべき重要分野は、教育・少子化対策・子育て支援など、他にもたくさんある。
日本経済がせいぜい1%しか成長しないことを考えると、
自然税収増は大して望めない。[1][11]
増税するにせよ、歳出を削減するにせよ、防衛費の大増額は間違いなく経済の足を引っ張る。
一方で、年率3~4%程度の増加ペースなら、2027年度の総合防衛費は現在の水準から2兆円強増えるにとどまる。
日本経済の実力を考えた時、副作用のあまりない範囲で吸収できるとすれば、この程度が限度であろう。
《2%で終わるのか?》
右派の人たちが防衛力増強を正当化する際のロジックは、それによって中国や北朝鮮に「日本を攻撃したら痛い目にあう」と思わせ、戦争を抑止するというもの。
だが、政府の計画どおりに防衛費を増額したとしても、2027年度に日本が中国や北朝鮮を抑止できるようになるとは到底考えられない。
中国の国防費は現在、日本のざっと4倍に及ぶ。
そして、日本(及び米国・台湾)の防衛力増強を見た中国は必ず
手を打ってくる。中国経済は2023年から27年までの5年間で平均4.5%位の成長を続ける予想だ。[1][12]
そして中国の国防費の対GDP比(2022年、中国基準)は1.19%に過ぎない。
つまり、中国は今後、日本以上に国防費を増やす余力を持っているのである。
万一、台湾が独立の方向に向かえば、抑止の論理を振りかざすこと自体がまったく意味をなさない。台湾独立という事態に直面した時、中国は(米国が軍事介入した際に)勝てるか否かの見通しとは無関係に武力行使する、からだ。
台湾独立を許せば、共産党による中国統治の正当性が土台から崩れてしまいかねない。
日本が「中国領内を攻撃するぞ」と脅したところで、中国指導部は歯牙にもかけまい。
米中関係がある程度落ち着かない限り、国民は5年後も中国に対して現在以上の不安を抱き続けるだろう。
だが、新しい安全保障戦略の下で、米中関係を鎮静化させるために日本が両国に外交的な働きかけを強める、といった発想が出てくることはない。
自民党右派や国防族、専門家、そして多くのメディアはいずれ、「GDP比2%では足りない」という大合唱をあげかねない。
さる11月22日、ストルテンベルグNATO事務総長は「何らかの形で(現在2%の国防費対GDP)目標が引き上げられると確信している」と述べた。[1][13]
どこもかしこも同じような光景が広がる雲行き。
でも日本の場合、5年後にそんな余力が残っているのか、という
別の問題も重くのしかかってくるはずだ。
捨て置かれる「国力の勝負」
軍事力は欠くべからざる国力の構成要素であり、これを疎かにして日本を守ることはできない。
だが同時に、軍事力は国力の一構成要素でしかない。
「軍事力(自衛隊)を強化しさえすれば、日本を十分に守れるようになる」という考えは浅薄である。
ところが、安保3文書の見直しを通して政府は〈軍事力偏重の罠〉に嵌ろうとしている。
《米国の国家安全保障戦略》
2022年10月12日、米バイデン政権は国家安全保障戦略(NSS)を発表した。[1][14]
民主主義という価値観を振りかざし、「世界は米国を中心に動く」と言わんばかりの言辞には正直、辟易する。
米国の国家的最優先課題は中国との競争(抗争)に勝利することだと強調して、ことさらに米中関係をゼロサムゲームに追い込む姿勢も困ったものだと思う。[1][15]
そのうえで言えば、中国に問題があることは否定できないし、協力や友好と言っていれば中国とうまく付き合える時代は終わった。
米国の対中戦略には我々が参考にすべき点があることも事実である。
NSSで示された対中戦略の柱は以下の3つだ。
第1は、米国経済を再建すること。
米国のインフラとイノベーションに歴史的投資を行い、
中国の経済力と技術力を米国が凌駕する。
それによって他国は米国に挑戦することが間違いであると再び認識するであろう、と言う。
第2は、欧州とインド太平洋で同盟国及びパートナー国とのネットワークを強化すること。
中国やロシアは米国が持つ同盟ネットワークに比肩する国際的な
枠組みを持たない。
米国にとって、同盟ネットワークの〈利用価値〉はなおさら高まる。
第3は、米軍を近代化し、強化すること。大国間の戦略的競争――中国やロシアが念頭にあることは言うまでもない――を勝ち抜くための装備を整え、米本土に対するテロリストの脅威を阻止する。
つまり、「国力(経済・技術)」、「同盟」、「米軍」が3本柱である。興味深いのは、米国が自国経済の強化を対中戦略の筆頭に持って
きていること。同盟国もできる限り利用するものの、中国との競争に勝つには、結局のところ、米国自身が中国を凌駕し続けるしかない、という醒めた現実認識の反映であろう。
さらに、中国との競争は、軍事もさることながら、経済と技術が
核心になる、という意識も強く窺える。米NSSの基調にあるのは、〈自力〉と〈経済重視〉である。
バイデン政権の経済重視は着実に実行されつつある。[1][16]
2021年11月には、総額1兆2千億ドル(約170兆円)規模の
インフラ投資法が成立。数十年来の規模と言われる財政資金が、
道路・橋梁、鉄道、水道、高速インターネット回線、電気自動車(EV)充電スポット、電力グリッド網などに投入されている。
今年8月9日には「CHIPS及び科学法」も成立した。
政府による研究開発の促進や民間へのインセンティブ付与など、
5年間で約2,800億ドル(39兆円程度)が半導体関連事業に投じられる。[1][17]
《防衛一辺倒の日本》
2013年に安倍内閣で策定された現行の「国家安全保障戦略」は、外交防衛に特化した文書であった。[1][18]
産業基盤や教育に関する記述もないわけではないが、安全保障との関連でしか出てこない。
岸田内閣はこれを間もなく改定する予定だ。安保戦略の骨子案では、中国の動向について「我が国の総合的な国力と同盟国・同志国等との連携により対応すべき、これまでにない最大の戦略的な挑戦」と指摘しているらしい。[1][19]
字面のうえで「総合的な国力」という言葉が出てくるのは、米NSSを意識したのかもしれない。しかし、実態は違う。防衛費を5年間で激増させる方針こそが、政府が「総合的な国力」に目配りしていないことの最大の証左である。
日本経済が地を這うような成長しかできない現下の状況で、来年度以降、年率二桁の防衛費増額を続けて行けば、少子化対策や
教育予算など、長い目で見た時に日本の経済力や技術力を底上げするための事業に回す予算はあまり増やせない。
また、防衛費激増を賄うために増税/歳出削減を行えば、経済は
冷え込む。しかも、米国など外国製の武器を買ったところで、
日本経済へのメリットはない。日本企業から買う武器・弾薬等も、自衛隊が訓練で使うか在庫として積みあがるのみだ。
新しく道路を作って物流が円滑化するといった経済波及効果はあまり望めない。
今後の中国経済は、人口減少、中所得国の罠、不動産バブル等の
影響で成長速度が相当落ちる。
それでも、ニッセイ基礎研究所の予想では、今後10年間の実質GDP平均成長率は+3.6%(2032年の成長率は+2.6%)。
一方で日本経済の方は、女性・高齢者の労働参加促進やデジタル化の進展を見込んだうえでも、今後10年のGDP平均成長率は=1.0%(2032年=+0.6%)でしかない。
2026年には経済規模でインドに抜かれ、2020年代末には経常収支も赤字化すると見られている。[1][20]
「角を矯めて牛を殺す」ではないが、防衛予算を一点集中で増やして〈ヨレヨレ経済〉の足を引っ張り、(中国はもちろんのこと)
世界との国力競争で後れを取る――。そんな国家戦略は欠陥品以外の何ものでもない。同じ金を使うのであれば、今後5年間の防衛費増分は年額2兆円程度ですませ、(様々な制度改革を行うのと並行して)少子化対策・教育・科学投資を年額3兆円増やす方が、ずっとマシである。
防衛予算をいくら増やしても、経済の全体像が変わらなければ、
中国は日本を軽視するようになる。日本人は益々中国を怖がり、
一層米国にすがろうとするであろう。最悪の構図だ。
敵基地攻撃論議の不毛
世の中の耳目を集めている敵基地攻撃能力(反撃能力)についても多少コメントしておく。
足りない部分はAVP第43号(トマホークについてはAVP第46号)を参照していただきたい。[1][21]
《「ミサイル基地を叩く」のマヤカシ》
12月2日、自民・公明両党の「与党国家安全保障戦略等に関する検討ワーキングチーム」は、敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有に合意した。主な攻撃手段は地上・艦船(潜水艦を含む)・航空機から発射するミサイルになると思われる。
この「反撃能力」について、国家防衛戦略(=防衛大綱を衣替えしたもの)は「万一相手からミサイルが発射される際にも、ミサイル防衛網で防ぎつつ、反撃能力によりさらなる武力攻撃を防ぐ」ものと記述するらしい。[1][22]
自民・公明両党やマスコミ各社も、反撃能力(敵基地攻撃能力)の保有は「敵領内にあるミサイル発射拠点などをたたく」ため、
と説明してきた。
こうした説明は、虚偽と言って悪ければ、悪質な誇大広告と言うべきだ。現実には、日本が保有を予定する中距離巡航ミサイルで相手国領内のミサイル発射基地(車両)を叩くことは、技術的に極めて困難である。無理やりやれば、撃つだけならできないことはない。しかし、効果は控えめに言っても極めて限定的なものにとどまろう。
その理由はAVP第43号で詳しく述べた。
そもそも、ミサイル発射車両(TEL)のような〈移動する標的〉をミサイルで破壊するという考え方そのものが軍事的には非常識である。巡航ミサイルを発射してから目標に到達するまで、数十分から1時間程度かかる。その間に相手のTELは逃げてしまうからだ。[1][23]
米軍も移動目標の攻撃は「空爆」に拠っている。
中国軍のTELを空爆しようと思えば、自衛隊・米軍は中国本土上空で航空優勢を獲る必要がある。
現状、それは叶わぬ夢と言わざるを得ない。
《リベラルの反対理由もわからない》
一方で、リベラル陣営の中には、敵基地攻撃能力に「専守防衛を逸脱」「国際法違反」というレッテルを貼りたがっている人もいるようだ。これもどうかと思う。
例えば、社民党の福島瑞穂党首は12月2日の参院予算委員会で、1972年に田中角栄総理(当時)が敵基地攻撃能力は「専守防衛に反する」と国会答弁したことを紹介し、敵基地攻撃能力を保有する方針の政府を批判した。[1][24]
しかし、1956年に鳩山一郎総理(当時)は「わが国に対して急迫不正の侵害が行われ、 その侵害の手段としてわが国土に対し、
誘導弾等による攻撃が行われた場合、 座して自滅を待つべしというのが憲法の趣旨とするところとは考えられない」と答弁していた。1985年に国会へ提出された答弁書でも、「仮に、他国の領域における武力行動で、自衛権発動の三要件に該当するものがあるとすれば、憲法上の理論としては、そのような行動をとることが許されないわけではない」とある。
50年前の角栄節という古証文を持ち出しても、政府は「見当はずれ」と切って捨てるだけだ。
また、今日の国際法理においては、「相手から攻撃を受けて被害が出る前であっても、相手に攻撃の『着手』が認められれば、攻撃を受ける前に相手を攻撃することは国際法違反にならない」というのが多数意見である。
明確な国際法違反とされているのは、「着手」が認められないのに攻撃する「予防攻撃」だ。[1][25]
しかも、「敵基地攻撃は(予防攻撃になるから)国際法違反だ」と批判する人たちの論理を裏返せば、「ミサイルを撃ち込まれた後であれば、敵基地攻撃しても問題はない」という論理につながってゆく。私の知ったことではないが、それでよいのだろうか?
《将来的には米軍と一緒に中国の飛行場を攻撃?》
政府・与党の反撃能力(敵基地攻撃)は、できないことをできることにしたプロバガンダの側面が大きい。
中距離精密誘導ミサイルに関する私の読みは、政治的には敵基地攻撃に使うことが強調される一方で、実際の運用上は、侵攻してくる中国軍の艦船等を公海・公空上で撃退するために
「スタンド・オフ・ミサイル」として使うことが中心になる、
というもの。少なくとも当面は、そうならざるを得ない。
一方で、次期中期防期間(2023~2027年)の先にまで目を向ければ、事態はもっときな臭くなる。
米軍は今後、ミサイル発射車両(TEL)のような移動目標よりもむしろ、中国大陸にある中国軍の飛行場や港湾、レーダー施設、
司令部等の固定目標を攻撃するための態勢づくりを進める可能性がある。日本が政策上、敵基地攻撃能力(迎撃能力)を解禁することになれば、米軍は中国軍の空港・港湾等を攻撃する際に自衛隊の
参加を想定した作戦計画を策定しようとするかもしれない。
そうしたことも視野に入れ、日本政府が年末までに改訂する
安保3文書では、敵基地攻撃能力(反撃能力)の攻撃対象を
ミサイル発射基地に限定するような記述にはならないはずだ。
ミサイル恐怖症に罹った国民には「ミサイル攻撃を防ぐため」と
称して敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有を正当化し、実態は別の用途に使うことになるとすれば、どうにも釈然としない。
《エスカレーション(核による報復)に対する思考停止》
中国のような軍事大国の領土を攻撃すれば、相手は日本に対して報復攻撃を行う可能性が高い。
そう考えることは〈普通の感覚〉であり、安全保障の常識でもある。
ましてや、中国は日本を破滅させるのに十分な数の核ミサイルを保有している。先月29日に米国防総省が発表した報告書によれば、中国の核弾頭保有数は400発を超えた。
現状の増加ペースが続けば、2027年には700発、2035年には1,500発まで増える可能性があると警告している。[1][26]
その中国の領土を叩こうと言うのだ。
最悪の場合、中国の報復が核攻撃となる可能性も否定できない。ウクライナ戦争を見ても、米国はウクライナがロシア領内を(少なくとも本格的に)攻撃することを認めていない。
それがプーチンを追い込み、核兵器の使用が現実のものになることを恐れているためだ。
仮に日本の対中領土攻撃が奏功して中国共産党指導部を追い込むようなことになれば、日本は核攻撃を受けることを真面目に心配しなければならなくなる。
にもかかわらず、この戦略的な大問題が有識者会議や政府・与党で議論されたという話は聞かない。
「俺たちも中国や北朝鮮の領土を叩けるようになる」と言って
留飲を下げたい人たちは、そんな〈都合の悪い真実〉には目を瞑りたいのであろう。
こんな体たらくにもかかわらず、彼らによって情報統制された「防衛力増強祭り」の中で、敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有方針は間もなく閣議決定される。
おわりに
11月23日付の日経新聞は、「防衛強化『まず自国で』
米依存脱却へ一歩」という見出しと共に、政府が行う安保3文書
改訂について解説した。
今回の防衛戦略見直しに関しては、日本の自力志向が強まるという理解が世間でも一般的なようである。本当にそうなのか?
戦後から今日まで80年近く、日本の外交防衛政策は米国依存にどっぷり浸かってきた。
そして、今年2月にロシアがウクライナへ侵攻し、ウクライナの
激烈な抵抗、米国の強力な支援、ドイツの国防費大幅増額方針などを目の当たりにすると、自民党の右派議員たちを中心に、
「自国を守る覚悟のない国を助ける国はない」という、
一聴もっともらしく聞こえるが実に〈さもしい〉主張が大々的に
キャンペーンされるようになった。[1][27]
そして、「同盟国である米国の対日防衛コミットメントをさらに
強固にする」ためと称して、日本の防衛費激増や敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有が正当化されたのである。[1][28]
政治家や外務官僚の思考の根底にあるのは、「米国の役に立つことによって、米国に守ってもらいたい」という他力の発想だ。
今般の安保3文書見直しは、この米国に対する「へつらい根性」と中国に対する「恐怖感」を原動力として進められている。
冷静に考えれば、防衛費をGDP比2%水準まで増やすことは、
トランプ政権の要求だった。自民党などが台湾に対して大っぴらに連携の意を示し始めたのも、米国政治の後追いだ。
敵基地攻撃能力(反撃能力)についても、それで日本が独自に矛の役割を担えるようになると思ったら大間違い。
大部分の攻撃目標に関する情報は米軍からもらうことが前提である。米軍と一緒でなければ、自衛隊は中国領土を攻撃するために
中国本土へ接近することもできない。攻撃後に予想される報復への備えも米軍頼み。日本が敵基地攻撃できるのは、米国が許可
(と支援)を与えた時のみである。
米軍に基地を提供するだけでは足りず、今度は自ら進んで米国の
対中軍事戦略の手駒になり、何故か得々としている日本。
しかも、改訂される安全保障戦略では、台湾を日本にとっての
「極めて重要なパートナー」と位置付けるのだと言う。[1][29]
「一つの中国」を自ら形骸化させ、日中・中台間の緊張を煽れば、日本の安全保障環境は益々悪化する。
正気の沙汰とは思えない。
日本が本当に自立志向を強めるのであれば、価値観外交などと
幼稚なことを言うのをやめ、中国の指導部との間で政治的パイプを強化した方がよい。節度を持って防衛力を強化する一方で、
「台湾独立に反対する」という明確なメッセージを出し、
「場合によっては在日米軍基地を使わせないこともある」と伝えて米国に緊張感を抱かせる。
そのうえで、総理や外相、防衛相などがワシントンと北京の間を
往復し、米中双方に緊張緩和を働きかけるべきだ。
日本がこのような動きを見せれば、欧州や東南アジア、インドなどから日本に同調する動きが出てくるかもしれない。
その結果、米中対立を多少なりとも緩和させることができれば、
台湾問題の顕在化も防げるだろう。
今、日本に求められるのは、そのような「外交・安全保障革命」である。
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[1][1] » 専守防衛を充実させるための5つの課題~ウクライナ戦争に学ぶ日本の防衛力整備④ Alternative Viewpoint 第46号|一般財団法人 東アジア共同体研究所 (eaci.or.jp)
[1][2] 岸田首相、防衛費27年度にGDP2%に増額指示 財源で工夫を | ロイター (reuters.com)
[1][3] 金額のわかるものについて近年の実績値や推定値を参考までに示した。十分に精査したものではないが、大体のイメージを掴むための参考としてご覧いただきたい。
www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia20221028/04.pdf
防衛費、海保予算も含めた算定方法の導入検討へ…「NATO基準」参考にGDP2%に : 読売新聞オンライン (yomiuri.co.jp)
[1][4] NATO基準は加盟国間で防衛費を比較する際に使われるものであり、国内的には自国独自の基準で防衛費を定義している国も少なくない。
[1][5] 防衛費GDP比2%「22年度が基礎」で11.3兆円に 官房長官 | 毎日新聞 (mainichi.jp)
[1][6] 補正込みで2022年度のNATO基準防衛費がGDP比何%になるかはまだ公表されていない。本稿で各種計算の数値に2021年度(補正込み)の数字を使っているのはそのためである。
[1][7] 当初予算――2022年度で約6.1兆円――だけで見れば、もう少し少なくなるかもしれない。
[1][8] 2021年11月に行われた衆議院選挙、2022年7月に行われた参議院選挙の自民党公約に記載された。参院選公約の記述は「NATO 諸国の国防予算の対 GDP 比目標(2%以上)も念頭に、真に必要な防衛関係費を積み上げ、来年度から5年以内に、防衛力の抜本的強化に必要な予算水準の達成を目指します」というものだった。また、今年4月には「安保提言」がまとめられ、「NATO諸国の国防予算の対GDP比目標(2%以上)も念頭に、わが国としても、5年以内に防衛力を抜本的に強化するために必要な予算水準の達成を目指すこととする」という記述が盛り込まれた。 新たな国家安全保障戦略等の策定に向けた提言~より深刻化する国際情勢下におけるわが国及び国際社会の平和と安全を確保するための防衛力の抜本的強化の実現に向けて~ | 政策 | ニュース | 自由民主党 (jimin.jp)
[1][9] デービッドソンは別の機会に、習近平の党総書記3期目の任期が終わる2027年までに「政治的成果」をあげたいと考える可能性があると述べている。しかし、米軍の中でさえ、中国軍が近い将来、台湾上陸作戦を敢行するのに必要な能力を獲得することは困難だという見方の方が多い。中国の方から台湾武力統一を仕掛けて失敗すれば、習の地位だけでなく共産党支配が終わってしまうかもしれない。習近平が合理的な思考の持ち主である限り、デービッドソンの言うようなことが起きる可能性は非常に低い。
[1][10] 8割強が「中国は友好的でない」 過去22年で最悪=台湾の世論調査 – フォーカス台湾 (focustaiwan.tw)
[1][11] 特別会計の剰余金を使うべきである云々の意見もあるようだが、例えば外為特会の剰余金は既に一般会計への繰り入れが構造化しており、新たな財源にはならない。(参考:https://www.nri.com/jp/knowledge/blog/lst/2022/fis/kiuchi/1130_2 )
[1][12] ニッセイ基礎研究所、前掲。
[1][13] NATO、国防費のGDP比2%目標引き上げの可能性=事務総長 | Reuters
[1][14] https://www.whitehouse.gov/wp-content/uploads/2022/10/Biden-Harris-Administrations-National-Security-Strategy-10.2022.pdf
[1][15] NSSでは、気候変動問題などのバイデン政権が重視するテーマでは中国に協力を呼び掛けている。しかし、米中関係全体が悪化する中で中国がおいそれとバイデン政権に協力するとは思えない。
[1][16] 先に行われた中間選挙の結果、下院は今後2年間、共和党が多数を占めることになった。バイデン政権による政策実現はこれまで以上にむずかしくなることが予想される。
[1][17] 米クリーンエネルギー革命はどのようなイノベーションを引き起こすか~その3 米国は半導体関連分野で覇権を取り戻せるか~ – 一般財団法人国際貿易投資研究所(ITI)
[1][18] https://www.cas.go.jp/jp/siryou/131217anzenhoshou/nss-j.pdf
[1][19] 反撃能力「保有」表明、中国に「深刻な懸念」 安保3文書の全容判明(毎日新聞) – Yahoo!ニュース
[1][20] 中期経済見通し(2022~2032年度) |ニッセイ基礎研究所 (nli-research.co.jp) なお、米中対立が緩和するというシナリオの下では、今後10年の平均成長率と2032年の成長率は、中国=4.8%と3.7%、日本=2.5%と1.9%、米中対立が激化するシナリオの下では、中国=2.5%と1.9%、日本=0%と+0.4%、という予想である。
[1][21] » 「敵基地攻撃能力」論議の真実 Alternative Viewpoint 第43号|一般財団法人 東アジア共同体研究所 (eaci.or.jp)
» 専守防衛を充実させるための5つの課題~ウクライナ戦争に学ぶ日本の防衛力整備④ Alternative Viewpoint 第46号|一般財団法人 東アジア共同体研究所 (eaci.or.jp)
[1][22] 前掲、毎日新聞。
[1][23] 米韓は北朝鮮のTELを破壊するための「キル・チェーン」を開発中だが、成功するかはまだわからない。中国軍のTELを破壊可能なキル・チェーンの構築は、中国軍の実力や広大な国土の特性などから見て、なおのこと見通しが立たない。
[1][24] 国会議論も素通りして、攻撃兵器の増強へひた走る自公両党 敵基地攻撃能力保有で合意:東京新聞 TOKYO Web (tokyo-np.co.jp) なお、田中(角栄)の正確な答弁は「専守防衛は、 防衛上の必要からも相手の基地を攻撃することなく、もっぱらわが国土及びその周辺において防衛を行なうことであって、 わが国防衛の基本的な方針であ」る、というもの。
[1][25] 「着手」の認定は非常に重要なテーマであり、この点を巡って議論を深めることについては、私も大賛成である。
[1][26] China Military Power Report (defense.gov)
[1][27] 米国は「民主主義のウクライナが必死で頑張っている」ことが理由でウクライナを助けているわけではない。バイデンに(核戦争のリスクを冒してまで)米軍をロシア軍と戦わせる気など毛頭ありはしない。米国の行動は、一義的には米国の国益と内政上の考慮に基づいて決まるのである。歴史的にも、米国は湾岸戦争では首長達の逃げ出したクウェートのために大軍を派遣し、プーチンと懸命に戦ったジョージアは見捨てた。
[1][28] 鍵括弧内の表現はいずれも、今年4月に発表された『自民党安保提言』から引用したもの。新たな国家安全保障戦略等の策定に向けた提言 ~より深刻化する国際情勢下におけるわが国及び国際社会の 平和と安全を確保するための防衛力の抜本的強化の実現に向けて~ (nifcloud.com)
[1][29] 前掲、毎日新聞。